聖剣を抜いたのが僕でごめんなさい!
第四話 とにかく西へ!
転移魔法とはなんて便利なのだ。
キヌ村を出発して3日目。
一行は王都エスターテイルの西方200㎞の地点にある、交易商人の宿場町[ヨーデル]に到着していた。
宿屋に入るやいなや、このパーティ唯一の転移魔法の使い手であるリーン王女はベッドに倒れこみ、すぐに眠りに落ちた。
それほど、転移魔法「レクサス」は魔力の消費が激しいのだ。決して車の名前っぽいと笑ってはいけない!(こっちじゃ伝わらないし、、)
明日は朝一で馬を走らせ100㎞を走破。そこで再びリーン王女が転移魔法「レクサス」を使い王都までひとっ飛びすると言う。
普段はそのわがままっぷりに腹が立つ事が多いが、連日の「レクサス」だ。流石に今は少しだけ労わる気持ちがある。
「わぁ!アレなんですか!、、アレも美味しそうです!もう、ゴトーさん早くー」
「ユタロウ殿は元気ですなー!ハッハ!」
リーンを宿屋に残し、僕とゴトーさんは町の中央街を歩いていた。各地から交易商人が集まるヨーデルには、他所では手に入らないような珍品や珍味が露店にずらりと並んでいる。
前世で言う所の夏祭りと似た活気のある雰囲気だ。
バリボリバリ、、
「ゴトーさん、これ、、まっずー!」
「南の王国[トッコナッツ]名産コゲサソリの素揚げですな!懐かしい!どれ、私も1つ頂きますぞ」
バリボリバリ、、
「うーん、なんともマズイ!ハッハ!」
ゴトーさんは本当に良い人だ。
十分な地位と名誉を持っているにも関わらず、下民の僕にさえ気遣いを忘れず、人として対等に扱ってくれる。
それに比べてアノ王女は、、、
「ゴトーさん。あと何でしたっけ?メモに書かれた本やお菓子なんかはもう一通り買いましたね」
僕たちが宿屋を出る前、リーンはあらかじめ用意していた“おつかいメモ”を寝ながらゴトーの手に握らせた。
僕はともかく“軍神”におつかいをさせるとは、、
「ゴトーさんは何で文句を言わないんですか?」
「リーン様の事ですか?」
「だってゴトーさんは“軍神”なんでしょ?偉いんでしょ?一回くらい文句を言ったって許されると思いますよ!」
僕は少し興奮気味にまくし立てた。
次の瞬間には調子に乗りすぎたと自覚していた。
「、、すみません」
「何をおっしゃる。良いんですよ。私を思って言ってくれたのでしょう?ユタロウ殿はお優しいお方だ」
ゴトーさんには敵わない。
この人は死んでも、絶対に天界に行くのだろう。
まあ僕でも行けたんだから当たり前か。
「、、それに、私はリーン様のわがままが好きなのですよ。わがままを言えるだけの元気なお姿が」
「何でそこまで?」
ゴトーの顔に悲壮感が漂い出した。
初めて見る表情に少しの戸惑いを覚えてしまう。
「私は一度リーン様の笑顔を奪った男です」
「奪ったって?」
「ええ。私はリーン様の実の兄である、アドルフ王子を殺しているのです」
「え、」
思いも寄らない告白だった。
思考が追いつかず、言葉が出てこない。
立ちすくんでる僕を見て、少しだけ微笑むゴトー。
その時だった。
西門の方角から女性の叫び声が響いた。
人の群れが激しい波の様になり、東へ流れて行く。
「魔物だ!魔物が街に入って来たぞおお!!」
「西門はもうだめだ!東に逃げろ!」
恐怖と混乱は一瞬にして伝播した。
誰もが我先にと東へ向かう。
「ゴトーさん、、西門って!」
「ええ。リーン様は今戦える状態ではありません!全速力で向かいますぞ!!」
「はい!」
アドルフ王子を殺したというゴトーさん。
真実を確かめたいが、今はそれどころじゃない。
全てはリーン王女を助けてからだ!
僕はそう腹を決め、ゴトーさんと共に全力で西へ走っていた。
キヌ村を出発して3日目。
一行は王都エスターテイルの西方200㎞の地点にある、交易商人の宿場町[ヨーデル]に到着していた。
宿屋に入るやいなや、このパーティ唯一の転移魔法の使い手であるリーン王女はベッドに倒れこみ、すぐに眠りに落ちた。
それほど、転移魔法「レクサス」は魔力の消費が激しいのだ。決して車の名前っぽいと笑ってはいけない!(こっちじゃ伝わらないし、、)
明日は朝一で馬を走らせ100㎞を走破。そこで再びリーン王女が転移魔法「レクサス」を使い王都までひとっ飛びすると言う。
普段はそのわがままっぷりに腹が立つ事が多いが、連日の「レクサス」だ。流石に今は少しだけ労わる気持ちがある。
「わぁ!アレなんですか!、、アレも美味しそうです!もう、ゴトーさん早くー」
「ユタロウ殿は元気ですなー!ハッハ!」
リーンを宿屋に残し、僕とゴトーさんは町の中央街を歩いていた。各地から交易商人が集まるヨーデルには、他所では手に入らないような珍品や珍味が露店にずらりと並んでいる。
前世で言う所の夏祭りと似た活気のある雰囲気だ。
バリボリバリ、、
「ゴトーさん、これ、、まっずー!」
「南の王国[トッコナッツ]名産コゲサソリの素揚げですな!懐かしい!どれ、私も1つ頂きますぞ」
バリボリバリ、、
「うーん、なんともマズイ!ハッハ!」
ゴトーさんは本当に良い人だ。
十分な地位と名誉を持っているにも関わらず、下民の僕にさえ気遣いを忘れず、人として対等に扱ってくれる。
それに比べてアノ王女は、、、
「ゴトーさん。あと何でしたっけ?メモに書かれた本やお菓子なんかはもう一通り買いましたね」
僕たちが宿屋を出る前、リーンはあらかじめ用意していた“おつかいメモ”を寝ながらゴトーの手に握らせた。
僕はともかく“軍神”におつかいをさせるとは、、
「ゴトーさんは何で文句を言わないんですか?」
「リーン様の事ですか?」
「だってゴトーさんは“軍神”なんでしょ?偉いんでしょ?一回くらい文句を言ったって許されると思いますよ!」
僕は少し興奮気味にまくし立てた。
次の瞬間には調子に乗りすぎたと自覚していた。
「、、すみません」
「何をおっしゃる。良いんですよ。私を思って言ってくれたのでしょう?ユタロウ殿はお優しいお方だ」
ゴトーさんには敵わない。
この人は死んでも、絶対に天界に行くのだろう。
まあ僕でも行けたんだから当たり前か。
「、、それに、私はリーン様のわがままが好きなのですよ。わがままを言えるだけの元気なお姿が」
「何でそこまで?」
ゴトーの顔に悲壮感が漂い出した。
初めて見る表情に少しの戸惑いを覚えてしまう。
「私は一度リーン様の笑顔を奪った男です」
「奪ったって?」
「ええ。私はリーン様の実の兄である、アドルフ王子を殺しているのです」
「え、」
思いも寄らない告白だった。
思考が追いつかず、言葉が出てこない。
立ちすくんでる僕を見て、少しだけ微笑むゴトー。
その時だった。
西門の方角から女性の叫び声が響いた。
人の群れが激しい波の様になり、東へ流れて行く。
「魔物だ!魔物が街に入って来たぞおお!!」
「西門はもうだめだ!東に逃げろ!」
恐怖と混乱は一瞬にして伝播した。
誰もが我先にと東へ向かう。
「ゴトーさん、、西門って!」
「ええ。リーン様は今戦える状態ではありません!全速力で向かいますぞ!!」
「はい!」
アドルフ王子を殺したというゴトーさん。
真実を確かめたいが、今はそれどころじゃない。
全てはリーン王女を助けてからだ!
僕はそう腹を決め、ゴトーさんと共に全力で西へ走っていた。
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