人間不信様のハーレム世界
ホグアの決断
「さすが我が主だ。ドラゴンも倒すとはな」
アリアたちは崩れる山とドラゴンを見上げて感嘆の声を上げる。
巣の下にあった山はもう前の形など残っておらず全て石ころへとなって、コロコロと音を立てる。
「あれが悠斗様の必殺技……」
スターゲイザー。
魔力を感知できなかったので悠斗の固有技ということになる。固有技は魔力を使わないという特徴があるからだ。
悠斗は翼の扱いに慣れたようでパサパサとゆっくりと降りてきた。
そして一瞬、光ってホグアと分裂した。
「あ、あのドラゴンをやるなんて凄すぎるっす」
ホグアはコネクトの後遺症か、それとも戦いの感動が身にしみているのか震えていた。
「さすが悠斗、さすが勇者様っすーーーー‼︎」
ホグアはピョーンと悠斗の胸に抱きついた。
「ぬぉ、な、何をしてる貴様!」
「何って?抱きついてるんすよ。コミニケーションってやつっす」
顔をグリグリしてさらに悠斗の温もりを感じようとする。その際に胸が当たり、悠斗は我に返った。
「お、おいホグアあんまりくっつくな」
でないと胸が当たってしまう。
「いいじゃないっすか減るもんじゃないんっすから〜」
「ホグアさん、悠斗様が困ってます。ここはお願いします」
細い、細いその腕で悠斗を持ち上げてホグアから引き剥がした。
「ぬ〜、レイちゃんが言うなら仕方ないっす」
少し不満そうだが、それでもホグアは納得してくれたようだ。
悠斗はこれで解放されると安心してホッと息を吐いた。
「ありがとなレイナ、助かったぜ」
そう囁きかけ優しく頭を撫でてやる。
するとレイナの顔が見る見ると赤くなって行き、頂点に達すると煙を上げた。
「うぉわ。どうしたレイナ」
「お、落ち着くのだ主よ。とりあえず冷まさなくては」
「あっちに湖があるっす」
「よし、よくやった小娘」
悠斗はレイナを背負って、ホグアに案内されるままにその湖へと走った。
「す、すいませんでした皆様に迷惑をかけてしまいました」
「いいんだよ。近くに湖があってよかったな」
レイナはポタポタと水滴を落としながら三人に頭を下げた。
その体は濡れているから服は着ていない。
だが、だからといって裸というわけではない。彼女の肌は装甲となっており幾つもの線が走って模様のようになっている。
「でも、なんであんな風になったんだ?」
さっきのはいわゆるオーバーヒートとというやつなのだろう。機械てある彼女だからこそ起こる現象だ。
「そ、それは言えません……」
レイナはまた顔を赤らめて下を向いた。
なぜかアリアの目が鋭くなったのは気のせいだろうか。
「レイナにもわからないのか、ならそうならないように気をつけとけよ。お前は大事な仲間なんだから。しかも最初のな」
「ゆ、悠斗様……」
小さな湖の周りで四人は少し休憩をした。ただただ疲れたのだ。
巣までの険しい道を歩きドラゴンとのタイマン。さすがに限界ということで少し早いが目を閉じて休むことにした。
しかし、睡眠を必要としないレイナは目を閉じずに空の星を眺めていた。
「やはり私は悠斗様を選んだのは間違いではなかったのですね。今日、それを実感しました」
月夜に照らされるその顔を見て彼女の顔がほころぶ。
そして寝ている彼の頬にそっと口づけをした。それは彼への忠誠の証。
その後もレイナは悠斗の顔を見つめ続けた。
翌朝。早く出発してホグアたちの集落に戻り、食糧庫に居座る年寄りドラゴンを訪ねる。
ドラゴンを倒したことと、巣を全壊にしてしまったことを報告するためだ。
「そうか……まあ、よい。わしが作ったわけじゃないからの。それにいつかはここをお暇しようとしておったしの」
「おいおい、それじゃあ俺たちは無駄足だったのかよ」
「そうでもなかろう。あのドラゴンは気性が荒くて縄張りに入ったものは排除する。もし、若造たちがドラゴンの存在を知らなければ確実にやられていただろう」
「なんだよ割に合わない仕事だな」
「そう言うと思ったわい。ほれわしからこれをプレゼントしよう」
年寄りドラゴンは大きな指を巧みに使い、小さな笛をよこした。その笛は竜人の角に似ている。
「これは?」
受け取った悠斗はハテナマークを頭に浮かべて質問する。
「わしを呼び寄せるための笛じゃて。お前さんのためなら何処へでも飛んで行こう」
また一人、ではなく一匹心強い仲間ができた。
「婆さん、色々と世話になったな。俺たちはこれから旅に出るから俺の伝説ちゃんと作ってくれよ」
最後に大婆の家に寄っていた。別れの挨拶も礼儀のうちだ。
「ああ、任せなさい」
悠斗はそれと報告だけをして外を出た。しかし、ホグアは迷っていた。
ここから出て悠斗たちについて行くか、ここに残るのか?
「ホグア、素直になりなさい。そうすれば自ずと答えは見えくるはずじゃよ」
何もかも見透かしたように大婆が助言する。そしてその言葉に動かされるようにホグアは真っ暗な家から飛び出した。
後先を考えるのは自分らしくない。今の気持ちに正直にいたいと思ったのだ。
ホグアはその背中を必死に追いかけた。
アリアたちは崩れる山とドラゴンを見上げて感嘆の声を上げる。
巣の下にあった山はもう前の形など残っておらず全て石ころへとなって、コロコロと音を立てる。
「あれが悠斗様の必殺技……」
スターゲイザー。
魔力を感知できなかったので悠斗の固有技ということになる。固有技は魔力を使わないという特徴があるからだ。
悠斗は翼の扱いに慣れたようでパサパサとゆっくりと降りてきた。
そして一瞬、光ってホグアと分裂した。
「あ、あのドラゴンをやるなんて凄すぎるっす」
ホグアはコネクトの後遺症か、それとも戦いの感動が身にしみているのか震えていた。
「さすが悠斗、さすが勇者様っすーーーー‼︎」
ホグアはピョーンと悠斗の胸に抱きついた。
「ぬぉ、な、何をしてる貴様!」
「何って?抱きついてるんすよ。コミニケーションってやつっす」
顔をグリグリしてさらに悠斗の温もりを感じようとする。その際に胸が当たり、悠斗は我に返った。
「お、おいホグアあんまりくっつくな」
でないと胸が当たってしまう。
「いいじゃないっすか減るもんじゃないんっすから〜」
「ホグアさん、悠斗様が困ってます。ここはお願いします」
細い、細いその腕で悠斗を持ち上げてホグアから引き剥がした。
「ぬ〜、レイちゃんが言うなら仕方ないっす」
少し不満そうだが、それでもホグアは納得してくれたようだ。
悠斗はこれで解放されると安心してホッと息を吐いた。
「ありがとなレイナ、助かったぜ」
そう囁きかけ優しく頭を撫でてやる。
するとレイナの顔が見る見ると赤くなって行き、頂点に達すると煙を上げた。
「うぉわ。どうしたレイナ」
「お、落ち着くのだ主よ。とりあえず冷まさなくては」
「あっちに湖があるっす」
「よし、よくやった小娘」
悠斗はレイナを背負って、ホグアに案内されるままにその湖へと走った。
「す、すいませんでした皆様に迷惑をかけてしまいました」
「いいんだよ。近くに湖があってよかったな」
レイナはポタポタと水滴を落としながら三人に頭を下げた。
その体は濡れているから服は着ていない。
だが、だからといって裸というわけではない。彼女の肌は装甲となっており幾つもの線が走って模様のようになっている。
「でも、なんであんな風になったんだ?」
さっきのはいわゆるオーバーヒートとというやつなのだろう。機械てある彼女だからこそ起こる現象だ。
「そ、それは言えません……」
レイナはまた顔を赤らめて下を向いた。
なぜかアリアの目が鋭くなったのは気のせいだろうか。
「レイナにもわからないのか、ならそうならないように気をつけとけよ。お前は大事な仲間なんだから。しかも最初のな」
「ゆ、悠斗様……」
小さな湖の周りで四人は少し休憩をした。ただただ疲れたのだ。
巣までの険しい道を歩きドラゴンとのタイマン。さすがに限界ということで少し早いが目を閉じて休むことにした。
しかし、睡眠を必要としないレイナは目を閉じずに空の星を眺めていた。
「やはり私は悠斗様を選んだのは間違いではなかったのですね。今日、それを実感しました」
月夜に照らされるその顔を見て彼女の顔がほころぶ。
そして寝ている彼の頬にそっと口づけをした。それは彼への忠誠の証。
その後もレイナは悠斗の顔を見つめ続けた。
翌朝。早く出発してホグアたちの集落に戻り、食糧庫に居座る年寄りドラゴンを訪ねる。
ドラゴンを倒したことと、巣を全壊にしてしまったことを報告するためだ。
「そうか……まあ、よい。わしが作ったわけじゃないからの。それにいつかはここをお暇しようとしておったしの」
「おいおい、それじゃあ俺たちは無駄足だったのかよ」
「そうでもなかろう。あのドラゴンは気性が荒くて縄張りに入ったものは排除する。もし、若造たちがドラゴンの存在を知らなければ確実にやられていただろう」
「なんだよ割に合わない仕事だな」
「そう言うと思ったわい。ほれわしからこれをプレゼントしよう」
年寄りドラゴンは大きな指を巧みに使い、小さな笛をよこした。その笛は竜人の角に似ている。
「これは?」
受け取った悠斗はハテナマークを頭に浮かべて質問する。
「わしを呼び寄せるための笛じゃて。お前さんのためなら何処へでも飛んで行こう」
また一人、ではなく一匹心強い仲間ができた。
「婆さん、色々と世話になったな。俺たちはこれから旅に出るから俺の伝説ちゃんと作ってくれよ」
最後に大婆の家に寄っていた。別れの挨拶も礼儀のうちだ。
「ああ、任せなさい」
悠斗はそれと報告だけをして外を出た。しかし、ホグアは迷っていた。
ここから出て悠斗たちについて行くか、ここに残るのか?
「ホグア、素直になりなさい。そうすれば自ずと答えは見えくるはずじゃよ」
何もかも見透かしたように大婆が助言する。そしてその言葉に動かされるようにホグアは真っ暗な家から飛び出した。
後先を考えるのは自分らしくない。今の気持ちに正直にいたいと思ったのだ。
ホグアはその背中を必死に追いかけた。
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