転生屋の珍客共〜最強の吸血鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜
第58話 薔薇の魔女
そこはまるで別世界のようだった。
いや、俺たちがいるのは確かに別世界だが先程までいた建物とは打って変わってそこは周囲に棘がありまるで森の中に迷い込んだようだ。
「どうなってるのよこれ」
リルフィーが驚くのも無理はない。
見た目だけでなく、広さもあの扉からは想像できない代物だ。まるで別の場所に飛ばされたのではと思えてしまうほどの。
しかし、背後にある扉は存在しており、そこからは廊下が見える。
「これはグロアムの幻影魔法ですね。実際の部屋はこれ程広くありませんので気をつけてください」
幻影魔法か。それならこの異様な状態にも納得できる。
しかし、この手の魔法に耐性がないせいかまだこの幻影はルインでも見破れない。
「久し振りに会いに来てくれたと思ったらこんな展開になるとは残念だよ」
イバラの奥から薔薇のような赤い髪を束ねて、邪魔にならないように後ろでまとめていて凛とした雰囲気を醸し出している魔女が現れた。
左目が薔薇を模した眼帯で覆われているその魔女は本当に残念そうに呟いた。
「ええ、私もよ。まずはこの方達のお仲間を解放してくれるかしら」
「麗しい貴方の頼みでもそれは無理な相談だ。そちらの方々も実に美しいが、儚く散ってもらいましょう」
何処からともなく薔薇の花びらが周囲に飛び散り、部屋の中に緊張が走る。
「皆さん、隠れていてください」
発せられた魔力を察知してアルチナは注意を促す。
「言われなくても隠れてるわ」
「そうですね」
「は、はい」
が、それは無用で既に三人は安全地帯で身を潜めていた。
「だからといって俺を壁にするのはどうかと思うがな」
こんな時に妙な団結力を見せられても困る。これでは俺だけ仲間外れみたいではないか。
「でもあんた不死身なんだからいいでしょ」
「それはそうだが、任せていいのか」
協力必要なのはこの建物に入るまでだ。
セリエの本で転移すれば潜入するのは簡単だが、問題はそれからで場所は分かっても今そこに誰かいるかどうかは分からない。
もし、そこが敵だらけだとルインだけでは守りきれる確証がないからこそ正面から来たのだが、ここであの魔女と戦う義理などないはずだ。
「ふん、遠慮はするな。あいつは自己犠牲が好きなんだ。それにあんな変態の相手はしなくてよかったと思えるぞ」
「変態とは随分と嫌われたね。君の純粋なる欲望は魔女として評価しているつもりだよ。それにまるで荒野に咲く一輪の花のようなその綺麗な肌……少し舐めさせてはくれないか」
「嫌に決まってるだろ。お前らも気をつけろよ。あいつ、女なら誰でも構わず手を出そうとするからな」
「誰でもではない。美しい者だけだ」
と断言するがそれはそれでどうなのだろうか。
所謂、同性愛者なのだろうが俺は関係ないと思いたいが今は検問を突破する為に性別を女へと変えてしまったので標的にされてもおかしくはない。
別に同性愛者を否定する訳ではない。
色んな奴を見てきたからその中に男でも男が好きな奴もいたし、世界によっては同性で結婚できるところもあった。
といっても俺はそれに巻き込まれるのは良しとしない。ここはアルチナに任せるとしよう。
「まあ、ここは大地の魔女の力量を見せてもらおう」
何故か、傍観者目線のロニは腕組みをして二人の魔女の行く末を見守ることにした。
本当にこいつは一体何様のつもりなのだろうか?
いや、俺たちがいるのは確かに別世界だが先程までいた建物とは打って変わってそこは周囲に棘がありまるで森の中に迷い込んだようだ。
「どうなってるのよこれ」
リルフィーが驚くのも無理はない。
見た目だけでなく、広さもあの扉からは想像できない代物だ。まるで別の場所に飛ばされたのではと思えてしまうほどの。
しかし、背後にある扉は存在しており、そこからは廊下が見える。
「これはグロアムの幻影魔法ですね。実際の部屋はこれ程広くありませんので気をつけてください」
幻影魔法か。それならこの異様な状態にも納得できる。
しかし、この手の魔法に耐性がないせいかまだこの幻影はルインでも見破れない。
「久し振りに会いに来てくれたと思ったらこんな展開になるとは残念だよ」
イバラの奥から薔薇のような赤い髪を束ねて、邪魔にならないように後ろでまとめていて凛とした雰囲気を醸し出している魔女が現れた。
左目が薔薇を模した眼帯で覆われているその魔女は本当に残念そうに呟いた。
「ええ、私もよ。まずはこの方達のお仲間を解放してくれるかしら」
「麗しい貴方の頼みでもそれは無理な相談だ。そちらの方々も実に美しいが、儚く散ってもらいましょう」
何処からともなく薔薇の花びらが周囲に飛び散り、部屋の中に緊張が走る。
「皆さん、隠れていてください」
発せられた魔力を察知してアルチナは注意を促す。
「言われなくても隠れてるわ」
「そうですね」
「は、はい」
が、それは無用で既に三人は安全地帯で身を潜めていた。
「だからといって俺を壁にするのはどうかと思うがな」
こんな時に妙な団結力を見せられても困る。これでは俺だけ仲間外れみたいではないか。
「でもあんた不死身なんだからいいでしょ」
「それはそうだが、任せていいのか」
協力必要なのはこの建物に入るまでだ。
セリエの本で転移すれば潜入するのは簡単だが、問題はそれからで場所は分かっても今そこに誰かいるかどうかは分からない。
もし、そこが敵だらけだとルインだけでは守りきれる確証がないからこそ正面から来たのだが、ここであの魔女と戦う義理などないはずだ。
「ふん、遠慮はするな。あいつは自己犠牲が好きなんだ。それにあんな変態の相手はしなくてよかったと思えるぞ」
「変態とは随分と嫌われたね。君の純粋なる欲望は魔女として評価しているつもりだよ。それにまるで荒野に咲く一輪の花のようなその綺麗な肌……少し舐めさせてはくれないか」
「嫌に決まってるだろ。お前らも気をつけろよ。あいつ、女なら誰でも構わず手を出そうとするからな」
「誰でもではない。美しい者だけだ」
と断言するがそれはそれでどうなのだろうか。
所謂、同性愛者なのだろうが俺は関係ないと思いたいが今は検問を突破する為に性別を女へと変えてしまったので標的にされてもおかしくはない。
別に同性愛者を否定する訳ではない。
色んな奴を見てきたからその中に男でも男が好きな奴もいたし、世界によっては同性で結婚できるところもあった。
といっても俺はそれに巻き込まれるのは良しとしない。ここはアルチナに任せるとしよう。
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