転生屋の珍客共〜最強の吸血鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜
第55話 奪還、そして
塔の中はロニが言ってた通り、監視は少なく制圧するのにそれ程時間はかからなかった。
ベルは牢屋の中にいたが鉄格子はあるが尋問などはされていないようで無傷だ。
「す、すいません皆さんにご迷惑をかけて」
「気にするな。それより捕まえる前の事は覚えているか? どんな些細な事で構わない」
場所は把握できているが二人がこの世界の者でないと知れたら何をされるか分からない。
それに気づかれる前に助け出さなくては。
「え、えっと気がつくと周りに魔女がたくさんいて……招待状がないかって聞かれたんですけど持ってなくて、そしたらこんな所に……」
「アズリエは一緒じゃなかったの?」
「それが分からないんです。声が聞こえたので近くにいたの確かだと思うんですけど……」
「大丈夫だ。それよりもアズリエの気配はあそこからするが警備はどれ程だ?」
ここから少し離れた最奥の地、そこにある城のような建物。そこからアズリエの気配を感じる。
「あそこか。こことは比較にならない程厳重だ。このロニ様がいれば楽勝だが、その前に少し寄り道をさせてくれ」
「寄り道?」
「不本意ではあるがこの天才ロニ様でも協力者がいないとあの中は厳しい。その協力者に会いにいくのだ」
あまりのんびりしている時間がないがそういった事なら致し方ない。この未開の地では協力者が多いのに越したことはない。
「では俺たちはここで待っている。この人数では足手まといになるかもしれないからな」
「それもそうだな。では使えない者共のために労働をしてくるとしよう」
あまり気が乗らなさそうだったが、その上から目線の態度を変えることはなく勢い良く塔から出て行った。
「さて、行ったぞ。では今後の作戦を練ろうか」
「わざと一人で行かせたわね。でも作戦なんて練る必要なんてあるの。後はアズリエと今回のお客様である須藤隼人を連れ戻して帰るだけでしょ」
「それでは根本的な問題が解決していない」
「も、もしかしてあの力のことですか」
「ベルは実際に見たのか。須藤隼人の能力を。それで悪魔の目から見てその能力は何に見えた?」
「魔法……だと思います。少し違和感はありましたけど」
魔女を何度も見ているベルが言うなら間違いないだろう。違和感の正体はもう少し観察してみる必要があるみたいだが。
「それで何よ根本的な問題って。さっさと教えなさいよ」
「魔法だ。何の力も持っていなかった男が突然、使えるようになったのだから何かしら魂に影響があるだろ。そんな状態で転生させて大丈夫か?」
転生は魂を別の世界で別の人物として産まれ返させるというものだが、その魂に不純物があっては何かしらの影響が出てくるとルインでも容易に予想ができた。
「大丈夫ーーと言いたいけど魂にまで影響があるとなると転生が成功しても転生した後に問題が起こるかも」
確証がないのに転生をして、実際に問題が起こっては信用問題に関わる。
「では連れ戻すだけでは駄目だな。何故、須藤隼人が魔法が使えるようになったのかを調べなくては」
「それであの魔女をこの場からいなくなった今それを言ったってことはあんたも疑ってるのね」
「いいや、ただ単にあいつにはそこまで協力をしてもらう義理はないからな」
それにこれを聞いて面白がって参加されては困る。話を拗らすに決まっているのだから。
「ふ〜ん。ま、いいけど」
俺たちの手でこの問題を解決することを決めると大人しくロニの帰りを待つことにした。
ベルは牢屋の中にいたが鉄格子はあるが尋問などはされていないようで無傷だ。
「す、すいません皆さんにご迷惑をかけて」
「気にするな。それより捕まえる前の事は覚えているか? どんな些細な事で構わない」
場所は把握できているが二人がこの世界の者でないと知れたら何をされるか分からない。
それに気づかれる前に助け出さなくては。
「え、えっと気がつくと周りに魔女がたくさんいて……招待状がないかって聞かれたんですけど持ってなくて、そしたらこんな所に……」
「アズリエは一緒じゃなかったの?」
「それが分からないんです。声が聞こえたので近くにいたの確かだと思うんですけど……」
「大丈夫だ。それよりもアズリエの気配はあそこからするが警備はどれ程だ?」
ここから少し離れた最奥の地、そこにある城のような建物。そこからアズリエの気配を感じる。
「あそこか。こことは比較にならない程厳重だ。このロニ様がいれば楽勝だが、その前に少し寄り道をさせてくれ」
「寄り道?」
「不本意ではあるがこの天才ロニ様でも協力者がいないとあの中は厳しい。その協力者に会いにいくのだ」
あまりのんびりしている時間がないがそういった事なら致し方ない。この未開の地では協力者が多いのに越したことはない。
「では俺たちはここで待っている。この人数では足手まといになるかもしれないからな」
「それもそうだな。では使えない者共のために労働をしてくるとしよう」
あまり気が乗らなさそうだったが、その上から目線の態度を変えることはなく勢い良く塔から出て行った。
「さて、行ったぞ。では今後の作戦を練ろうか」
「わざと一人で行かせたわね。でも作戦なんて練る必要なんてあるの。後はアズリエと今回のお客様である須藤隼人を連れ戻して帰るだけでしょ」
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「も、もしかしてあの力のことですか」
「ベルは実際に見たのか。須藤隼人の能力を。それで悪魔の目から見てその能力は何に見えた?」
「魔法……だと思います。少し違和感はありましたけど」
魔女を何度も見ているベルが言うなら間違いないだろう。違和感の正体はもう少し観察してみる必要があるみたいだが。
「それで何よ根本的な問題って。さっさと教えなさいよ」
「魔法だ。何の力も持っていなかった男が突然、使えるようになったのだから何かしら魂に影響があるだろ。そんな状態で転生させて大丈夫か?」
転生は魂を別の世界で別の人物として産まれ返させるというものだが、その魂に不純物があっては何かしらの影響が出てくるとルインでも容易に予想ができた。
「大丈夫ーーと言いたいけど魂にまで影響があるとなると転生が成功しても転生した後に問題が起こるかも」
確証がないのに転生をして、実際に問題が起こっては信用問題に関わる。
「では連れ戻すだけでは駄目だな。何故、須藤隼人が魔法が使えるようになったのかを調べなくては」
「それであの魔女をこの場からいなくなった今それを言ったってことはあんたも疑ってるのね」
「いいや、ただ単にあいつにはそこまで協力をしてもらう義理はないからな」
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