転生屋の珍客共〜最強の吸血鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜
第48話 終焉の目覚め
我は誇り高き竜。
本来は我だけでなく竜ならばそれだけで誇り高き存在なのだが昨今の竜には当てはまらないと断言する。
一番の理由はあの愚かな人間と結託しようとしているという事だ。
人間と竜との因縁は我が誕生する前からあり、世代が変わっても消え去るものではない。
どうせ人間が裏切るに決まっている。
最強無比の我であって竜が滅ぶのは無視出来ない。しかし、それは同種であるからなどという同情からではなく単純に我の住処がなくなってしまうから。
魂だけの状態になってからは不便で生前の力を半分も引き出せない事が殆どで嫌になってきていたが、最近ニッグという男に取り憑いたところ何と生前の力を殆どを引き出せた。
これには正直、驚きを隠せないでいる。
我がこの様な無様な境遇になってしまってからは衰退と一途を辿ってブレスを吐けない輩が増えているというのに我の力に耐え得る肉体を有している。
だが残念な事にこの男は人間と結託をしようとする者の中心的存在なのだ。
何とも嘆かわしい。
乗っ取りたいのは山々だがこの男は肉体だけではなく精神も強く、大きな隙がないと呑み込めない。それにまだ前回の傷を癒さなくては。
全く、同種でそれも皆を思って人間を滅ぼそうとしただけなのに肉体ごと封じるとは如何に我を恐れているのかと伝わってきた。
そのせいで大分時間を無駄にしてしまったし、いまだに思うように動けないでいる。
だがもうそろそろだ。
どうやら人間との結託に反対している者がいるようで其奴らと交戦をするようでこれで気絶でもすれば体を乗っ取る事が出来よう。
寝ている最中に乗っ取れる事が出来れば良かったのだが魂が無意識のうちに拒んでくるのでそうならない時を待つしかない。
我の力を引き出せるのなら死にはしないだろうが圧勝してしまっては付け入る隙がないから困るのだが……。
おっと、そう考えている内に漸く出られるようだ。
これだけは何度やっても慣れない。きっとこれからも慣れる事などないだろうな。
などとほくそ笑みながらどの様に暴れてやろうか考えながら表に出ると見覚えのない景色が広がっていた。
「目覚めたか終焉に導く竜よ」
巨大な人間がこちらを睨みつけていた。
其奴の目はまるで勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
侮辱をされている気分で腹が立ったので『何者だ!』と叫ぶがその表情は変わらない。
「すまない。俺は魔獣の言葉は分からくてな。だが今どんな姿になっているのかは教えてやろう」
用意をされたのは鏡。
手のひらサイズのそれに映されていたのは惨めな魔獣だった。それも子供にもやられねしまうような下級の魔獣。
毛むくじゃらでフワフワとした白いその魔獣からは全くの威厳が感じられない。これが我の姿だと言うのか……。
「何が起こったか理解出来ないから説明してやろう。お前は転生したのだ。ニッグと一緒にな」
ニッグ、それは我の力を引き出せる竜。そして現在、取り憑いている者の名だ。其奴と一緒に転生だと?
「ル、ルインさん。もう話しかけても会話は出来ませんよ」
「分かっているさ。しかし、俺の言葉くらいは理解出来る。ならせめて説明をと思ってな」
こいつら何者かは知らないがどうやら我をこの様な姿にしたの者らしい。だが下級の魔獣は総じて命が短い。
最悪、それまで待てばーー。
「それとお前の能力についてだが、発動しないぞ。何せ俺の血を飲んだのだからな」
その言葉の意味を知るのは当分先の話になるのだが、名のない竜は大人しく死ねる時を待つ事にした。
「ベル、こいつの世話はお前に任せるぞ」
「は、はい」
こうして転生屋にペットが一匹増え、それは『ヴァッシュ』と名付けられた。
本来は我だけでなく竜ならばそれだけで誇り高き存在なのだが昨今の竜には当てはまらないと断言する。
一番の理由はあの愚かな人間と結託しようとしているという事だ。
人間と竜との因縁は我が誕生する前からあり、世代が変わっても消え去るものではない。
どうせ人間が裏切るに決まっている。
最強無比の我であって竜が滅ぶのは無視出来ない。しかし、それは同種であるからなどという同情からではなく単純に我の住処がなくなってしまうから。
魂だけの状態になってからは不便で生前の力を半分も引き出せない事が殆どで嫌になってきていたが、最近ニッグという男に取り憑いたところ何と生前の力を殆どを引き出せた。
これには正直、驚きを隠せないでいる。
我がこの様な無様な境遇になってしまってからは衰退と一途を辿ってブレスを吐けない輩が増えているというのに我の力に耐え得る肉体を有している。
だが残念な事にこの男は人間と結託をしようとする者の中心的存在なのだ。
何とも嘆かわしい。
乗っ取りたいのは山々だがこの男は肉体だけではなく精神も強く、大きな隙がないと呑み込めない。それにまだ前回の傷を癒さなくては。
全く、同種でそれも皆を思って人間を滅ぼそうとしただけなのに肉体ごと封じるとは如何に我を恐れているのかと伝わってきた。
そのせいで大分時間を無駄にしてしまったし、いまだに思うように動けないでいる。
だがもうそろそろだ。
どうやら人間との結託に反対している者がいるようで其奴らと交戦をするようでこれで気絶でもすれば体を乗っ取る事が出来よう。
寝ている最中に乗っ取れる事が出来れば良かったのだが魂が無意識のうちに拒んでくるのでそうならない時を待つしかない。
我の力を引き出せるのなら死にはしないだろうが圧勝してしまっては付け入る隙がないから困るのだが……。
おっと、そう考えている内に漸く出られるようだ。
これだけは何度やっても慣れない。きっとこれからも慣れる事などないだろうな。
などとほくそ笑みながらどの様に暴れてやろうか考えながら表に出ると見覚えのない景色が広がっていた。
「目覚めたか終焉に導く竜よ」
巨大な人間がこちらを睨みつけていた。
其奴の目はまるで勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
侮辱をされている気分で腹が立ったので『何者だ!』と叫ぶがその表情は変わらない。
「すまない。俺は魔獣の言葉は分からくてな。だが今どんな姿になっているのかは教えてやろう」
用意をされたのは鏡。
手のひらサイズのそれに映されていたのは惨めな魔獣だった。それも子供にもやられねしまうような下級の魔獣。
毛むくじゃらでフワフワとした白いその魔獣からは全くの威厳が感じられない。これが我の姿だと言うのか……。
「何が起こったか理解出来ないから説明してやろう。お前は転生したのだ。ニッグと一緒にな」
ニッグ、それは我の力を引き出せる竜。そして現在、取り憑いている者の名だ。其奴と一緒に転生だと?
「ル、ルインさん。もう話しかけても会話は出来ませんよ」
「分かっているさ。しかし、俺の言葉くらいは理解出来る。ならせめて説明をと思ってな」
こいつら何者かは知らないがどうやら我をこの様な姿にしたの者らしい。だが下級の魔獣は総じて命が短い。
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「それとお前の能力についてだが、発動しないぞ。何せ俺の血を飲んだのだからな」
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