転生屋の珍客共〜最強の吸血鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜
第34話 男と男の約束
「本当に俺たちは手を出さなくていいのか?」
「いいのよ。今回は私たちと関係のない問題なんだから」
あの勇者の時は神の不正を暴くために協力したまでで転生屋にそういったサービスはしていない。
「ふむ、そういったものか。しかし他の連中も来てもいい頃合いだと思うが」 
あれからニッグたちは忙しそうに戦闘の準備を始めてしまったので俺たちはそれをただ見ているだけで今日は終わった。
そして現在、ニッグの厚意によってテントを借りてここで彼らがいるところでは話せないことを語らう。
「今準備してるところでしょ。明日には着くわ。誰かさんが勝手な事をしてなかったらこんな事にはならなかったのに」
「良いではないか。特に問題はなかったのだから」
正直、転移の際は不安定なために問題が起こったりしたことは何度かあったが今回はそうはならなかった。リルフィーも疲労を感じた程度でそれほど影響は及んでいない。だからといってまた使っては怒られるだろうから控えるとしよう。
「問題あるわよ! どうして私があんたと二人で一緒に寝なきゃいけないのよ」
「ふむ、それもそうだな。では俺は外に出るとしよう。吸血鬼は寝なくても良いからな」
俺にとって睡眠は娯楽だ。
あってもなくても生きていける。
「それはダメよ。ちゃんと休憩をとらないと良い仕事はできないんだから。それに店長として店員に無理をさせるわけにはいかないの」
「別に無理などではないさ。吸血鬼というのは元々夜の生き物だ。だからといってそれ以外の時間に活動できないという訳ではないが」
「あんたが良くても私が気にするのよ」
「ではどうするのだ。このテントの中では何かで隔てることしかできないぞ」
しかし、それをすると更に場所が狭くなり寝る際に支障をきたしてしまうのであまりお勧めはしない。それではお互い無理してしまい本末転倒だ。
「そうね……そう! 気にしなければいいのよ。あんたを男として意識しなければ万事解決だわ」
「意識しなければと簡単に言うが本当にできるのか?」
女っぽい男と男っぽい女はいたが男だと知っている相手を男ではないと認識し直すのは難しいはずだ。
「いきなりは無理ね。だから少し話しましょ。あんたが男とは思えない発言を連発してくれればきっと慣れるわ」
「それは俺にどんな得があるというのだ」
つまり俺に女っぽく振る舞えと言っているのだが、それは御免被る。
「だったらどうするのよ。何か良い案であるわけ?」
「では話をしよう。長話を聞かされ続ければ自然と眠くなってくるだろう。幸いなことに話題には困らん」
「じゃあ、そうして。それがダメだったら私の案でいくから」
これは失敗できなくなってしまった。ならば飛びっきりどうでもいい話をするとしよう。
内容は俺が自分を殺せる相手を探していた頃、ひょんな事から一国を滅ぼすことになった話だ。
三十分くらいその事を話しているとリルフィーは寝息を立てていた。
どうやら俺は女の真似はしなくて済んだらしい。
だが、流石に一緒に寝るというのは気がひけるということでルインは朝になるまで時間を潰そうとテントから出た。
そこで見たのは空を覆う星々。
幻想的な景色にルインはしばらく見惚れていた。
「これだけはどの世界でも変わらず綺麗だな」
強大な力があるというのにこの時だけは自分はちっぽけな存在なのだと実感できる。
そんな時、同様に星を眺めていた者が一人。今回の客であるニッグだ。
「お、ルイン。お前も眠れねえのか?」
「まあそんなところだ。そう言うお前もか?」
「明日には戦争だからな。俺も色々考えちまうんだよ。相手は尋常じゃなく強いから勝てるかも分かんねえ」
「戦争はそういうものだ。時間はやったんだから悔いのないようにやる事だな」
「もちろんだぜ! 本音を言うとお前が仲間になってくれると助かるんだけどよ」
「それは出来ない相談だな。上から怒られてしまう。だが、お前たちが勝つに値する連中だと分かったら気づかれないように手を貸してやらんこともないが」 
「ふっ、じゃあしっかり監視してやがれよ」
「ああ、約束だ」
拳と拳をぶつけて二人は星の下で固い約束を結んだ。そしてドラゴンたちの戦争は幕を開ける。
「いいのよ。今回は私たちと関係のない問題なんだから」
あの勇者の時は神の不正を暴くために協力したまでで転生屋にそういったサービスはしていない。
「ふむ、そういったものか。しかし他の連中も来てもいい頃合いだと思うが」 
あれからニッグたちは忙しそうに戦闘の準備を始めてしまったので俺たちはそれをただ見ているだけで今日は終わった。
そして現在、ニッグの厚意によってテントを借りてここで彼らがいるところでは話せないことを語らう。
「今準備してるところでしょ。明日には着くわ。誰かさんが勝手な事をしてなかったらこんな事にはならなかったのに」
「良いではないか。特に問題はなかったのだから」
正直、転移の際は不安定なために問題が起こったりしたことは何度かあったが今回はそうはならなかった。リルフィーも疲労を感じた程度でそれほど影響は及んでいない。だからといってまた使っては怒られるだろうから控えるとしよう。
「問題あるわよ! どうして私があんたと二人で一緒に寝なきゃいけないのよ」
「ふむ、それもそうだな。では俺は外に出るとしよう。吸血鬼は寝なくても良いからな」
俺にとって睡眠は娯楽だ。
あってもなくても生きていける。
「それはダメよ。ちゃんと休憩をとらないと良い仕事はできないんだから。それに店長として店員に無理をさせるわけにはいかないの」
「別に無理などではないさ。吸血鬼というのは元々夜の生き物だ。だからといってそれ以外の時間に活動できないという訳ではないが」
「あんたが良くても私が気にするのよ」
「ではどうするのだ。このテントの中では何かで隔てることしかできないぞ」
しかし、それをすると更に場所が狭くなり寝る際に支障をきたしてしまうのであまりお勧めはしない。それではお互い無理してしまい本末転倒だ。
「そうね……そう! 気にしなければいいのよ。あんたを男として意識しなければ万事解決だわ」
「意識しなければと簡単に言うが本当にできるのか?」
女っぽい男と男っぽい女はいたが男だと知っている相手を男ではないと認識し直すのは難しいはずだ。
「いきなりは無理ね。だから少し話しましょ。あんたが男とは思えない発言を連発してくれればきっと慣れるわ」
「それは俺にどんな得があるというのだ」
つまり俺に女っぽく振る舞えと言っているのだが、それは御免被る。
「だったらどうするのよ。何か良い案であるわけ?」
「では話をしよう。長話を聞かされ続ければ自然と眠くなってくるだろう。幸いなことに話題には困らん」
「じゃあ、そうして。それがダメだったら私の案でいくから」
これは失敗できなくなってしまった。ならば飛びっきりどうでもいい話をするとしよう。
内容は俺が自分を殺せる相手を探していた頃、ひょんな事から一国を滅ぼすことになった話だ。
三十分くらいその事を話しているとリルフィーは寝息を立てていた。
どうやら俺は女の真似はしなくて済んだらしい。
だが、流石に一緒に寝るというのは気がひけるということでルインは朝になるまで時間を潰そうとテントから出た。
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「これだけはどの世界でも変わらず綺麗だな」
強大な力があるというのにこの時だけは自分はちっぽけな存在なのだと実感できる。
そんな時、同様に星を眺めていた者が一人。今回の客であるニッグだ。
「お、ルイン。お前も眠れねえのか?」
「まあそんなところだ。そう言うお前もか?」
「明日には戦争だからな。俺も色々考えちまうんだよ。相手は尋常じゃなく強いから勝てるかも分かんねえ」
「戦争はそういうものだ。時間はやったんだから悔いのないようにやる事だな」
「もちろんだぜ! 本音を言うとお前が仲間になってくれると助かるんだけどよ」
「それは出来ない相談だな。上から怒られてしまう。だが、お前たちが勝つに値する連中だと分かったら気づかれないように手を貸してやらんこともないが」 
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