ラブコメで幼馴染が報われない法則について

和銅修一

第33話 音楽室には肖像画がある法則について

 学園の七不思議。
 大抵の学園にはあるそれだが、この学園は一風変わっていて複数のものがあった。
 それは問題児が多いので生徒たちが色々と話を広めたのが原因だ。しかし、本来は天使に関わるものであり、新堂が学園にあった資料から見つけた七不思議を一つずつ確認していくことになった。
 放課後の静けさは妙に人を不安にさせるが、そう思っているのは俺と啓だけらしく他はズンズンと廊下を進んでいる。
「じゃあ、時間もないことだし早速一つずつやって行くけどそこの不服そうな人は何か質問は?」
「別に不服でもないし、質問も特にないな」
「あら、そう? なら良いのだけど一応確認ね。まず調査する七不思議は音楽室の肖像画についてのものよ」
「ああ、ベートーヴェンの目が光るっていうやつか」
「それは普通の七不思議よ。この学園では一味違うわ。どれかの肖像画に天使が隠れているというものよ。それを見つけられたら幸せになれるっていう七不思議にしては結構良い分類なものね」
「肖像に天使?」
 音楽室に入り、端から端までパッと見てみるがそれらしいものは見当たらない。まあ、簡単に見つけられるものなら七不思議にはならないだろう。
 とりあえず、各自脚立を使ってじっくりと見てみるがそれらしきものは見つからず愛梨が根をあげる。
「先輩〜。全然見つからないです」
「確かにそうだな。こんなに見つからないものか?」
「その頭は何のためにあるのかしら?」
 いちいち頭にくる言い方だ。しかし、このまま探していても見つからないのは確かなので蓮は視点を変えてみることにする。肖像画と言っていたがその肖像画自体に天使があるとは一言も言っていない。そこで裏を見てみるとそこには白い何かで天使のようなものが描かれているものが見つかった。
「もしかしてこれか?」
「ええ、間違いないわね。けど一体誰が描いたのかしら? ここにある肖像画は昔からあるらしいから特定するのは難しそうね」
「ふ〜ん。しかし、これがあの事件と関わっているとは思えないな」
 クロムの見解ではこの中にいるはずなのだが、まだそれらしい動きは見せていない。もし本当にこの七不思議が堕天使の正体につながるのなら何かしら動きがあるはずなのだが。
 もしかしたら新堂の読みが外れていて、学園の七不思議とは何の関係もないのかもしれない。まあ、どちらにせよ見極める機会と思えば良いか。
「まだ決めるには早いわよ。ほら、のんびりしてないでさっさと行くわよ」
 早速、一つ目を解決したところで余韻に浸る余裕もなく次に進む。生徒会長が無理を言ってこうした時間を設けてもらったが、流石に夜遅くまでというのは許可されなかったので時間までに七不思議を解決しなくてはいけない。
 最悪、またの機会にということになるが蓮としては早めに堕天使の正体を掴みたい。そうなるとこの七不思議の解決に協力しなくてはいけないのだが……。
「それで次は何処に行くんだ?」
 音楽室まで説明もなしに連れて来られたこちらの身にもなってほしい。事前に知っているのと知らないのとでは天と地ほどの差がある。
 この学園の七不思議なんて知らないから何処に行くのかも予想がつかず、不安になってくる。それを知ってか知らずか新堂は不敵な笑みを浮かべて次の目的地を告げた。
「そうね。次は女子トイレに行くからついて来なさい」

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