ラブコメで幼馴染が報われない法則について

和銅修一

第32話 どんな学園にも七不思議がある法則について

 生徒会書記、八ツ寺 芽衣。生徒会会計の来栖 愛梨。そしてその双子の弟であり、生徒会庶務の来栖 啓。
 この三人の中に堕天使が潜んでいる。
 といっても生徒会長、副会長を省いた全員が容疑者であり絞り込んだというよりも潜伏先を見つけただけだと思うが、文句は言うまい。
 生徒会室に入り、その三人がいることを確認する。
「あれ、先輩。もしかして私に会いに来てくれたんですか?」
 幸いなことに来栖姉弟とは知り合いだ。彼女たちの入学時に少し面倒を見てやったら何故か懐かれてしまった。
 まあ、部活をしていない俺にとって数すくない後輩がこうも慕ってくれるというのは素直に嬉しい。
「生徒会の手伝いだよ。愛梨は相変わらずだな」
「やだ〜。相変わらず可愛いだなんて先輩大胆」
「言ってない言ってない。啓も大変そうだな」
「い、いえ。僕は好きでやってますから」
 こっちも相変わらずか。
 二人は気軽に話せて、聞き出すのは容易だが書記の八ツ寺は別だ。
 何度か話したことはあるが挨拶程度で彼女のことはほとんど知らない。ノートの端にパラパラ漫画を描いているというお茶目な一面もあるから怖い人ではないんだろうけど……。
 それよりも気になることが一点。
「それで何でお前がいるんだよ新堂」
「あら、私がいたら何か不都合でもあるのかしら?」
「ありありだよ。絶対、面白がって邪魔してくるだろ」
「私は呼ばれたからここに来ただけよ。ねえ、生徒会長さん」
 視線を送ると生徒会長は頷いて、説明を始める。
「うん。東雲くんも聞いていると思うけど今回は学校の七不思議について調べることにひていて、新聞部の部長である彼女はこの学園のことを良く知っていると思って僕が協力を要請したんだ」
「でも、何で生徒会がそんなことを?」
 そもそも論だが、そういうのは新聞部とかがやるイベントだろうに。
「最近起きた黒い羽事件。時間が経ってうやむやになってるけど、学園の生徒が被害に遭っているのは確かだから生徒会長として犯人を突き止めたくて新堂さんに相談したら学園の七不思議を調べるのが一番だと聞いてね」
「それって良いようにこき使われてません?」
「失礼ね。新聞部として偽りの真実を伝えるなんてことはしないわ」
「じゃあ、何で七不思議を調べることが黒い羽事件の犯人につながるんだ?」
「黒い羽が生えていると聞いて思い浮かぶのは堕天使。実はこの学園は天使と深い関わりがあって、そのせいで狙われたんじゃないかと考えているの」
 流石に本物の堕天使が存在するとは考えてはいないだろうが、確かにこの学園の生徒が狙われたのは何らかの意図があるはずだ。
 俺たちが狙いなら直接襲えば良いのだからまだリリエルがここで身を隠しているのは知られていないようだが。
「生徒会の仕事もひと段落したし、彼女には何かとお世話になっているからそれも込めて今回は協力して調査をしようということになったんだ。まさか東雲くんも手伝ってくれるとは思わなかったけど」
「まあ、そういうことなら……。それでいつやるんですか?」
「先生に掛け合って今日の放課後ならってことになったんだけど、僕は急な用事が入ったから参加できないんだ」
「まあ、私はその代わりみたいなものよ。先導は私がするから遅れないように気をつけなさい」
「言われなくても!」
 非常に不本意だが、こういったイベントがあると何かと動きやすい。ここは大人しく学園の七不思議とやらを調べにいこう。

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