村人から世界最強の魔王へ

つくつく

16魔族乱入

「おいおい。それで終わりかよ。興ざめは俺っちのセリフだぜ」
そう言って現れたのは魔族の、それも幹部クラスの登場だった。
「俺っちの名前はベルフェゴール。以後お見知り置きを」
ベルフェゴールは、座りながらそう言うと指を鳴らす。
すると、空から小さな鳥が落ちて来る。その鳥は、ベルフェゴールの肩の上に立つと
「私めの名前はクロウ。今回の司会者を務めさせていただきます」
一ノ瀬「それで、君達は何をしにきたのかな?」
一ノ瀬が一歩前に出て尋ねる。
クロウ「今回行うのは、デスゲームでございます」
クロウと名乗った鳥は、楽しそうに口元を歪めた。
一ノ瀬「デスゲーム?具体的なルールを聞こうか?」
クロウ「ルールは簡単!殺し合いをして相手を殺すだけでございます」
一ノ瀬「目的は?まさかそんなことをするためだけに君が出張ったわけではないだろう?」
それにクロウは、カカカと笑うと
クロウ「左様でございます。我らが同胞がここにいると言う情報があったためでございます」
一ノ瀬「それはどう言うことか、じっくり聞かせてもらおうじゃないか。…やれ」
そう一ノ瀬が言った瞬間だった。黒いコートにフードを被った二十人ほどが一斉にベルフェゴールにむけ飛び出した。
ベルフェゴール「俺っちを舐めすぎだ」
そう言った瞬間。鳥が炎を全身に纏ったかと思うと、巨大化し、大爆発を起こした。
辺り一面が煙りで包まれる。
煙が徐々に晴れ、コロッセオ内で生き残っているのは、ベルフェゴールとクロウだけとなった。二十人ほどの兵士は、全員が焼け焦げている。身のこなしからして、かなりの訓練を受けた者たちだったが、こんなものか。そう思いながら見ていると。
真冬「あなたから見てどうするのが最善?」
そんな抑揚のない声が聞こえ、振り返ると、真冬と…意識を失っているゆながいた。
悠人「どうした?ゆなは怪我をしたのか?」
それに真冬は、悠人を見ながら、親指を立てながら。
真冬「ゆなをやったのは私よ」
悠人「理由を聞いてもいいか?」
真冬「強敵だったわ」
それに、少し目を細めると
真冬「冗談。ゆなが暴走した無策に飛び出す可能性があったから」
そんな話をしていると、屈みながら一ノ瀬が近づいてきた。
一ノ瀬「参ったねぇ。今は大人しく従った方がいいかもしれませんね」
それに一つの疑問を訪ねた。
悠人「お前ら全員でも勝てないのか?」
まだ、少ししか見てないがとてもそんな風には見えない。現に、こいつらには余裕がありすぎる。今のこの現状でさえ。
一ノ瀬「勝てるよ。楽勝ではないけど…でも、その時に立っているのがどれだけの少人数になるのか分からない」
勝てる、か。こうも絶対的な自信があると言うことか。それに一ノ瀬は、心でも読んだのか笑うと
一ノ瀬「僕自身に自信があるわけでないよ。こちらには、なんと言っても、真冬さんがいるからね」
そう一ノ瀬が言うと、ふんすっとして真冬は腰に手を当て、自慢げに胸をそらす。
一ノ瀬「だからあの魔族には勝てるけど、それが勝利条件ではない。たくさんの人が死なないようにするために考えると…」
そう言って一ノ瀬は笑うと
一ノ瀬「僕としての一番の問題は…君だよ」
そう言って指をさしてきた。



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