村人から世界最強の魔王へ

つくつく

12魔族にとってあなたは何?

アリス「もうあなた、いらない」
とアリスが冷たい声音で言って手を振り下ろそうとした時その手首を誰かに掴まれた。
悠人「冷静になれ!」
突然のことに一瞬戸惑いながら声の主の方を見やるとそこには悠人が立っていた。
そこでアリスは熱が冷め自分がしようとしていた事を理解したらしく、体の力を徐々に抜いていき、落ち込んだように下を向いた。
四辻「おい。誰だお前?」
と四辻は、突然現れた見知らぬ男に嫌悪の視線を向けた。
悠人「なに、お前の言うただの欠陥品だ。それより俺の連れが世話になったな」
と言いながら悠人は四辻の方に体を向けた。
四辻「へぇ。雰囲気からしてそれなりに努力してるみてぇだな欠陥品。名前は?」
悠人「雨宮悠人だ」
と悠人が答えると、四辻はニッと口元を歪ませた
四辻「四辻 蓮だ。上がってこい。その時に相手しやるよ、カス」
と高笑いしながら何処かへと言ってしまった。
残された悠人はアリスの方に向き直るとアリスは躊躇いがちにこちらを見ると
アリス「、、、ごめんなさい」
と言って謝ってきた。自分の軽はずみな行動についてだろう。
それに悠人は頭を撫でながら
悠人「気にするな」
とだけ言ってその場を離れた。すると、ゆながこちらに駆け寄ってきて何かを言おうとした時
「意外と無鉄砲?」「お主は問題ごとが好きじゃのう」
と抑揚のない声と古風な話し方が特徴的な少女が悠人の後ろから話しかけてきた。後ろを振り返り声の主を見ると、予想通りの二人が立っていた。
悠人「見てたのか?真冬、ミナ」
と声の主の名前を呼ぶと二人は、同時に頷いた。
ミナ「うむ。止めに入ろうとしたのじゃが、真冬に止められってしまってな」
とミナが真冬を横目で見ながら言ってきた。
本人に悪気はないのだろうが、ミナは隠し事ができるタイプの人間ではないだろう。
真冬「、、、。いざとなれば止めに入ったわ」
と真冬は、相変わらずの無表情で言ってきた。
俺がどうすのかを見たかったのだろう。だが、この調子では魔族が攻めてきた時に戦わずに陰から見られれば面倒だなと思い
悠人「ゆな。エリナのことをミナと一緒に頼んでもいいか?」
ゆな「うん。いいけど悠人は?」
とゆなから聞かれ、悠人は真冬の制服の襟を掴んだ。
悠人「ちょと説教してくる」
と言って真冬をずるずると引きずりながら歩いていった。
真冬は、「いやー。この人セクハラよー」
と抑揚のない声で言いながら引きずられ、人目のつかない場所に移動させられた。
真冬「欲情した?」
と壁に悠人から押し付けられている体勢の真冬が少し首を傾げながら言ってきた。
悠人「違う。単刀直入に言う。お前は俺の何が知りたいんだ?」
真冬「、、なぜ力を隠しているの」
やはりな。と思いながら準備してきた回答を答えた。
悠人「、、あの力は精霊のもので、ガキの頃どう言うわけかそいつに気に入られてしまっただけだ」
真冬「契約したの」
悠人「あぁ」
真冬「そう。これが最後の質問。あなたは」
真冬は悠人の目の奥を覗くように見つめ
真冬「魔族にとって何?」
悠人「...」
悠人が黙っていると真冬は、さらに質問をして来た。
真冬「あの村での事はあなたが原因?」
後者の答えは間違いなく俺が原因だろう。これが一番真冬が聞きたいことのはずだ。真冬がどこまで知っているのか、聞く必要がある。
悠人「、、なぜそう思うんだ」
その質問に次は真冬が黙り、視線を逸らした。真冬は少し置いてから口を開いた
真冬「、、、。5年前のあの日、たくさんの村と中央であるこの街すらも襲われた。魔族と人間の戦力差は圧倒的に魔族の方が高い。なのに、今までにここまで動いた事はなかった。何か目的があったはず」
そこまで話すと目線をそらしていた真冬がそこで悠人の目を見つめた。
真冬「街への攻撃は誘導、対した攻撃ではなかった。つまり狙いは街の周りの村。その村の中で最も被害が多く、唯一姿を消した村があなた達の村。しかも魔族は子供を連れ去った。勇者ではなくあなたを。もう一度聞くわ」
真冬「あなたは魔族にとって何」

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