村人から世界最強の魔王へ

つくつく

9大会前夜

真冬「?泊まるため?」
と不思議そうに返してきた。
悠人「誰の家に?」
真冬「あなたの家以外にどこがあるの?」
とあたかも当然のように返してきた。
そして、その発言にこの場にいる全員が反応した。
ゆな「ちょと真冬さん!?」
坂木「おい雨宮!お前勇者様とどんな関係だよ。エリナちゃんと言う人がいながら!俺も泊まらせろ」
ミナ「むぅ?泊まりとは何だ。楽しいのか?面白い事なのか?お主らばかりずるいぞ!妾を仲間外れにするでない」
とゆな、坂木、ミナの順番で文句を言われた。
それに、悠人は、うんざりしたような表情で
悠人「面倒ごとを増やすな。お前を泊めてやるぎりはないぞ」
と言うと真冬は、意味が理解出来ないと言わんばかりの表情で
真冬「何を言ってるの?ずっと一緒にいていいと言ったのはあなたでしょ」
と淡々と言ってきた。
こいつが言っているのは、この前、俺が炎の魔法を使ったことを報告しなかった代わりに俺を観察するために一緒にいてもいい権利とやらのことだろう。
悠人が何かを言うよりも早く、アリスが動いた。
アリス「女の子が一人で殿方の家に泊まるのは危険ですよ。あなたの身に何が起こるか分かりませんしね。最近は、何処も物騒だから魔族の襲撃なんて事もあるかもしれないわね」
と微笑みながらアリスは言った。
これは外から見れば心配をしているようにも見えるが、おそらくアリスは、脅しているのだろう。
ゆなには心配しているように見えたらしく、
ゆな「そうですよ。真冬さん!魔族の襲撃は、大丈夫かもしれないですけど、その、ゆ、悠人も年頃の男の子なんで…」
ともじもじして、こちらをチラチラ見ながらゆながアリスに賛同した。
それに真冬は、観念したようで
真冬「そう。分かったわ」
と短く言った。
そして、悠人達が教室を出ようとした時、坂木が声を掛けてきた。
坂木「あぁー。そう言えば、お前があのガーゴイルの群れから助けた天野ゆいが目を覚ましたんだってさ」
悠人「俺に言ってるのか?」
それに坂木は、不思議そうな顔をして
坂木「他に誰がいる?エリナちゃんか?エリナちゃんだな」
悠人「そうか。分かった」
と坂木の冗談を無視すると
坂木「んだよ。相変わらず冗談が効かないな。こんなんだと苦労するよな。ルースさん」
ルシフェル「そんな事より、天野さんは目覚めたばかりですか?」
坂木「そんな事って傷つくな。まぁ、そんな感じですよ。面会もできないっすよ」
ルシフェル「そうですか。それが聞けて良かった」
とルシフェルは、笑みを浮かべた。

帰り着き、ソファーに腰掛けた時、ルシフェルが近づいてきて
ルシフェル「魔王様。魔族が使った魔法の痕跡を見つけました」
それに頬杖をついて聞いていた悠人は口元に笑みを浮かべ
悠人「やっとか。アリス次の学校行事は何だ?」
アリス「確か3日後の実技大会かしら」
悠人「コロッセオである奴か」
アリス「えぇ。学年別でトーナメント形式で戦うそうよ」
目的は、貴族がいかに優れているのか、観客に見せるためか。そこに魔族が来るとすると目的は…
悠人「容易な作戦だな」
と、悠人は口元を綻ばせながら続けた
悠人「おそらく人間の貴族がいかに優れているのか観客に見せた後に、魔族が来て、その貴族を潰したら、人間はこう思うはずだ。魔族には勝てないとな。圧倒的に潰す必要があるだろうから精鋭部隊で来るだろうな」
アリス「私達は、来た魔族を倒して人間に希望を持たせるとか?」
悠人「その必要はない。現場には、勇者達がいるだろう?あいつらはかなりの実力になっているはずだ。素直にあいつらに任せればいいだろう」
まぁ、相手の戦力にもよるがな。と短く付け足すと、
アリス「じゃあ、私達がする事は…1匹も逃がさないことでいいのかしら」
悠人「あぁ、そうだ。送った精鋭がいつまでも帰ってこないとなると、負けたと考えるのが自然だ。1匹逃して、報告させる手もあるが…それをすれば、俺らの事がバレる危険性がある。あくまで魔族を殺したのは勇者と言うことにしておきたい。だから」
と悠人が言葉をとめ、息を少し吸ってから
悠人「目撃者は誰であろうと殺せ」
と、鋭い目つきで前を睨みながら、低い声で言った。
それに、ルシフェルは一切臆することなく、声をかけてくる。
ルシフェル「例外もありますよね?」
問い詰めるように聞いくるルシフェルに目だけを向けると
悠人「まぁな。人間側の主力は殺すな。万が一でも見られたなら…捕まえるしかないかな?まぁ、それは最悪の事態だけどな。そこにだけ重点を当てておいてくれ」
ルシフェル「あまいお方だ。私はともかく、アリスお前は殺せるのか?」
アリスはルシフェルを睨むと
アリス「馬鹿にしてるのかしら」
悠人「アリス。無理はするな。お前がする必要はない。代わりに俺がするから心配するな」
とアリスに悠人は微笑みながら言ってくる。
アリス「無理なんてしてないわ!本当に大丈夫だから。気にしないで」
そうこうしていると、コンコンとドアがノックされ白髪の執事服を着た爺やが入ってきた。
爺や「なにやらお困りのご様子ですね魔王様。お困りでしたらこの老いぼれをお使いください」
悠人「いいのか?」
爺や「はい。汚れ仕事は、老いぼれの役目にございます」
悠人「すまない。お前の手を借りる。もう、夜も遅いし、これでお開きだ」
それに爺やは、頭を下げ
爺や「はい。ゆっくりお休みくださいませ」
それを聞いて、悠人は居間を出て行って自室に戻って行った。
同じように出て行こうとするアリスに爺やは
爺や「アリス様は信じる道を歩けば良いのです」
と微笑みながら言ってきたがアリスは、何も答えなかった。


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