村人から世界最強の魔王へ

金田拓也

1.始まりと終わりの朝

「…生き延びて、貴方は私の希望なんだから。だからどうか死なないで…」
ふと、声がした。何を言ってるんだ?俺に言ってるのか?その人は遠ざかっていき
ー待って、あんたは誰だ?俺を知っているのかー
けれども、その声は届かず、見えなくなってしまう。代わりに、自分の周りに大人の男達が取り囲んで見下ろしていた。
お前は魔族の子だ!この化け物め!と男達が見下ろしながら言ってくる
違う!俺は魔族なんかじゃない!俺は!
「どうして私を殺したの?」と胸に穴が空いた女性が言ってきた。
悠人「あぁぁぁぁぁ!?はぁ、、あぁ・・・夢か」妙に生々しい夢だった気がする。
不思議なことにその夢を見たのは一回ではないような気がする。いや、この表現も適切ではない。ずっと長い時間この夢を見ていたような今も夢の中にいるような気すらする。だが、その中身については一切思い出せずに、もやもやとしたものが頭を覆い隠してしまう。しかし、その思考も時間を見た瞬間停止してしまう。
悠人「あ、やばい!!急いで出ないと」
と言って布団を飛び出した。
悠人「母さん行ってきます。」
慌てて飛び出した少年、雨宮悠人は、黒髪で赤い目が特徴的な元気の良い少年が、家のドアを開けて飛び出すと、
「ゆうとー!もう遅い!急がないと遅れちゃうよ」
と、悠人を待っていた赤髪の顔立ちの整った女の子、雪村ゆなが腰に手を当て前のめりの姿勢で言ってくる。悠人の幼馴染で、しっかり者で悠人が怒られることは日常茶飯事と言ってもいい。
悠人「あははは。ごめんゆな」
悠人は、そう言うとゆなの方まで、かけ足で行くと、ゆなの説教が始まらないうちにと思い
悠人「ゆな街まで急ぐぞ!もたもたしてると置いてくからな」と、ゆなを急かした。
ゆな「もう!遅れたのは悠人でしょ!あ、悠人置いてかないでよー」
と、ゆなは文句を言いながらも二人は走って村を出る途中、悠人の目に黄色いユリの花が咲いているのが目に入り止まった。それにゆなも気づき
ゆな「あ!黄色いユリ!んとね、花言葉はね、ようき?なんだよ!」
と、たどたどしく説明してきた。しかし、当の本人は、自信満々に自慢しているらしく、どうだと言わんばかりにえっへんと威張っていた。
それに悠人はお前みたいだな。と言おうとしたが恥ずかしくその言葉が口から出る事はなかった。その少しの間が気まずくて、悠人は逃げるように走り出した
ゆな「あ、待ってよ!」

悠人「ふぅー、ここまでくればもう走らなくても大丈夫だろ」
ゆな「はぁ、はぁ、もう、、、待ってよ悠人」
と膝に手をついて苦しそうに呼吸しているゆなに悠人は
悠人「ゆな大丈夫か?」
と言った。
ゆな「うん。もう大丈夫。これでも体力はある方なんだからね」
とゆなが悠人に言った。
悠人は、軽く肩をすくめて笑ってから目の前にある大きな街を見た。
街に入るための大きな門の前に警備兵がいて、何やら話していた。おそらく、これから教会で行われることの話だろ。教会では、自分の能力を確認でき、それから戦う力を学ぶための学校に行くかを決める。戦わないものは、作物を作ったり物を売る商人になったりする。
俺は、学校に通い魔族を殺す腕を磨く!誰にも何も奪わせないぐらい強くなってやる。これが、俺が勇者になるための第一歩だ!と決意を拳にぎゅっと握りしめた。
ゆな「あ、悠人教会が見えてきた」
ゆなは楽しそうに教会を指さしていた。
そんなゆなが悠人の態度を気にしながら躊躇いながら
ゆな「悠人は…村を出るの?」
と聞いて来た。それに悠人は歩くスピードを上げてゆなの方を振り向きもせずに
悠人「あぁ」と悠人は短く言った。
その返事からゆなは察したのかそれ以上何も言ってこなかった。
教会に行く途中、嫌な記憶がよぎり、それに対しての怒りが心に溜まるのが分かった。
あいつらは俺を化け物呼ばわりするが、俺から見ればあいつらの方がよっぽど化け物に見える。人の皮を被った醜い化け物だ。と思考していると、あっという間に教会に付いていた。
教会の中には沢山の子供が一階にいてそれを二階から大人達がこちらを見下ろしていた。
ゆな「これが終わったら学校に通うことになるかもね。あ、悠人見て見て。前に人が立ったよ。」
そう言われ前を見ると、前には30歳後半ぐらいの大きな体で顎にヒゲを生やした男が立っていた。
ゆな「あれって騎士団長だよね。大きいね」
ゆなの言った通り他の大人と比べても一回りほどは違った。
紅蓮「よく来たな。諸君!私は紅蓮だ!これからプレートを人数分配る。プレートに指紋をつけると能力が出てくる。勇者は、聖剣の加護と言う能力があるそうだ。プレートは、本人以外確認できないので各自報告に来るように以上!」
そして、悠人の手に金色のプレートが配られた。
プレートを触るとプレートが光った。
プレートを握りしめ、
俺は勇者に!あいつらを 見返してっと思った瞬間。プレートが急に真っ暗になり、物凄い熱を発した。
悠人「あっち!」
と言ってプレートを床に落としてしまう。
ちょうどその時横からゆなが
ゆな「…と!…ゆうと!悠人!大丈夫?」
と言うゆなは、心配そうにこちらを見ていた。落ちて金色に戻ったプレートを拾って悠人は、
悠人「報告に行こうぜ!ゆな」
と、ゆなを見ながら走った時、
ゆな「あ、悠人!危ない」
とゆなから言われた時には遅く、前から歩いてきた。フードを被った男にぶつかった。
そのまま悠人は、後ろに倒れてしまう。
悠人「っ!」
ゆな「悠人大丈夫?あの、すみませんでした。」
とゆなが男に謝った。
それに男は、気にすることはないと言うかなように手をひらひらさせた。
そして、悠人の手から落ちたプレートを男が拾った時、男がプレートに何かをしたように見えた。
男「すまない。ところで君は、何処から来たんだ?」
悠人「?街の南方にある村です。」
男「あの村か。そうか。私が行く機会があれば挨拶に出向くよ」
と、男は、悠人にプレートを返すと
男「知ってるかい。この世界は名前がないんだよ」
とよく意味の分からないことを言われ、首を傾げると男は笑って教会から出て行った。
悠人「なんだったんだ。あいつ」
ゆな「そんなことより早く行こ」
とゆなは言った時だった。教会の門が開き、外から門の所にいた警備兵が入ってきた。
警備兵「紅蓮団長!大変だ!近くの村々が魔族に襲撃された!」

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