こんにちは!この世界の勇者を倒しに来ました!〜『世界』を旅する転生旅行記〜

観測者A

さあ、あなたの世界です!

 不意に目がさめると僕は小さな部屋にいた。
そこには大きめなタブレットとタイマーが置いてあった。出口を探してみたが、完全な密室だ。
どうやらあの悪魔の手によって、この一室に送られた様だった。
部屋を物色していると、急にタブレットの電源が入り文字が映し出された。

 ここはあなたの世界。あなたの愛する女神によって作られた世界です。
この世界の核はあなた自身...つまりこの場所が無くなってしまえば、あなたも消えてしまいます。これは他の世界も同様です。

 なんと小さい世界もあったもんだ。しかも、奴は未だに女神を名乗っている。そこが気に食わない。
それはいいとしても、『この世界が消えれば僕自身も消える』とはどういうことなんだろう。
さらに文字は続く。

 ここは本来あってはならない世界。そのため、維持するには莫大なエネルギーが必要となります。
そこで他の世界の核となる勇者を倒し、世界が崩壊する時のエネルギーを吸収するのです!
この部屋にあるタイマーが、この場所が崩壊するまでのカウントダウンとなっています。
一つの世界を破壊する事で、平均7日間この空間を維持する事が出来るのです。

 なるほど...つまりはこのタイマーが示しているのは僕の寿命って訳だ。ちなみに今は167時間30分。
それを他の世界を壊すことで伸ばしていく。まさに悪魔との取引といった感じだ。
しかし、「本来あってはならない世界」って...完全に神様に嫌われてるじゃないか。

 あなたの持つスキル『並行世界の旅人』は他の世界へ飛ぶためのもの。一度発動すると、勇者を倒すまではこの空間に戻って来ることができなくなります。
勇者を倒す事でその能力の一部も手に入れることができます。
話を簡潔にまとめると、死にたくなければ勇者を倒せという事です。

 僕が読み切った事を悟ったのか、自動的に電源が切れた。
...正直、人を殺す事に抵抗はあるけれど自分の命には変えられない。やるしかないな...
僕は覚悟を決して念じる。

『並行世界の旅人』!!

次の瞬間。世界は切り替わった。他の世界へ飛んだ様だ。
どうやら城の中らしい。どこからか会話が聞こえてくる。

「来たな!勇者!!今こそ決着をつける時!!」

「決着をつけるぞ!!魔王よ!!」

...いや、どういう状況!?



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