海の声
139.オキワダ神社
『よしッ、そうと決まれば早速オキワダ神社行こッ♪祭りの下見だっ!!』
「下見とかあんまカンケーないんじゃね?…てか何?オキワダ神社って言うんだあそこ。」
『そー、オキワダ。正式には…なんだっけな、ちょっと紙貸して。』美雨はそう言うと、近くにあったノートに"沖洲綿津見神社、沖洲海神社と書き出した。
「なんだこれ…なんて読むの??」
『2つとも"オキノスノワタツミジンジャ"って読むらしいよ♪すごい??』
自慢気な美雨に"おぅ、ホントにすげぇよ。頭良いんだなっ"と言うと、美雨は柄にもなく照れたように"えっ…素直じゃん"と目を背けた。
…というわけで俺たちは山道を登り、その"オキワダ神社"を目指している。
『あぁーもぅ、こんなに歩くならヒール履いてくるんじゃなかったわッ♪』
「何言ってんのお前…」
『えっ?よくあんじゃんこーゆーの♪オトナの女の人がさっ!!そんで男が靴擦れした女の人をオンブすんの♪』
「それはか弱い女の人の場合だろっ?お前はそんな必要ねーじゃんか。」
『はぁ?!失礼なッ。頭下げたってオンブさせてやんないからッ!!』
「はいはい…なぁ海美なんとかしてくれよこいつ。」
『何とかって…あはは♪誠司くんのコトよっぽど好きなんだと思うよ♪』
「えっ、そ、そんなワケないじゃん!!だって別にそのアレ、別に違うし絶対!!」
『なにいきなり動揺してんの?セイジってまじウケるよね♪』
そう言って微笑んだ美雨を見つめて"コイツが俺のコト好きなんてありえねーし"と頭の中で繰り返した。すると海美が付け加えるように『私も誠司くんのコト好きだけどねッ♪』と笑顔で言った。
俺は瞬時に顔が熱くなるのを感じ、頭が混乱して下を向いた。
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