海の声

ある

15.少女との再会

『セイジーっ!!アンタこの砂なによ!!ちゃんと砂落としなさいって言ったでしょ!!』

母さんが階段の下から叫んでいる。

…もういい。あいつらとはもう関係ないんだ。忘れよう。

『ごめーん!!後で掃除しとくからー!!』

いつの間にか窓の外はダークブルーの空に変わり、まんまるな月が顔を覗かせている。

俺は薄暗い月明かりの中、ゆっくりと立ち上がりベランダへ出る。すると生暖かい潮風が優しく頬を撫でた。
頬に冷たい感触がある…

…??

あぁ…、なに泣いてんだ俺。ダッセーな…

ベランダから見える沖洲の海は静かに波打ち、月明かりを優しく映していた。

すると…

アレ?なんだろ…?

遠く、砂浜の上に蠢く白い影が見えた気がした。

目を凝らすと人?のように見える。

アレは…白い服を着た女の子?

あ…アイツだ!!

俺は何故だか分からないが、無性に"アイツ"の事が気にかかり家を飛び出した。

暗くなったってのに女1人でなにやってんだよ!

何故そこまで心配になったのかは自分でも分からない。
ただ、"アイツ"の寂しそうな影が、たった今俺の気分を悪くさせた"過去の俺"と重なった。

砂浜へたどり着き、長い階段を駆け下りる。

すると岩場の下でしゃがみこむ"アイツ"の姿が目に入った。
息を整えつつ岩場に近づいていく。

「お前、なにやってんの?」

風に靡く髪を手で押さえながら"アイツ"が顔を上げた。

『キミか。また天使がお迎えに来ちゃったのかと思った。』

"アイツ"は伏し目がちに、今にも泣き出しそうな小さな声で言った。

悲しげに微笑むその顔には水飛沫がキラキラと輝いて…いや、違う。

「泣いてる…の?」

『なんで…?』

「なんでって…顔見りゃわかるってゆーか…なんか…あったの?」

"アイツ"はまた下を向く。肩まで伸びた長い髪がふわりと顔を隠した。

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