少女寿命

こむぎ子

初恋処女(中編)

それからは…恥ずかしながら、薄汚い心にそぐわないような綺麗な花が芽生え、大切に、これだけは大切に育てようと、そう、誓ったのです。
ただ後に自覚したのは、咲いた"よう"であって実際にはまだ蕾であったということです。
告白すれば咲くのか成功すれば咲くのかは知りませんが、彼への愛情を水として、彼の笑顔を太陽として、ゆっくりとその成長を見守りました。

ある日、図書室の、いつもいる席で、誰も寄らない死角で、寝ている貴方の髪にキスをしました。
とても柔らかく、日にあたりキラキラとしていたその髪に、私の咲けない蕾への、溢れた水を注ぎました。
それでも私は収まるどころか、溢れるばかりで、産業廃棄物にも人情はあるのだと知りました。
それはとても、幸せで、その時ばかりが幸福の絶頂でした。

そう、その時が一番、幸福でした。
これが罪の罰なら、私は神さえも殺したい程に。



図書室、いつもの、席、で、貴方が頬を、少し赤くして、赤く、して、やんわりと、笑って、私には眩し過ぎる微笑みで、小さく…そう、小さな声でした。
「付き合うことになったんだ。」
枯れました。いいえ違います。潰されたのです。開きかけたその花を、土足で、踏みにじった。
花の中からは、水ではなく赤い鮮血。
私はどんな顔をしていた?できていた?
ねぇ、ねえ…ねえ!!!???
あぁそっか、うんそうだよね。私には、そりゃ貴方はそういう人間だから、他にもいるよね。友達や好きな人や、私以上に素敵な人。貴方に見合う人が。
でもね、でもわかっているかしら?私には貴方しかいなかったってことを。
図書室で、学校で、家庭で、人生で、貴方しかいなかったってことを!知らないでしょう!?知って欲しかったの!!!!!
.........伝えたかったの……。

…ううん、伝わらなくてもいいか。
もう花も潰れきっちゃって。
流石、豚と屑の合同産業廃棄物。駄作というジャンルの中では最高傑作。
わたし、生まれ持って純正な

悪みたい。

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