僕の日常生活は終わってる。
新たな友達
学年調査テストが終わったところで守の学校はもう普通の通常授業になる。
しかしこの一週間は忙しいものになることはわかっていた。
なぜなら守は明日第一回目の職業体験がある。
それに伴い今日の授業の二時間を使いどこに行くのか決めなければいけない。
一回目といったのは夏休み明けにも、もう一度職場体験がある。
また三、四時間目は続けて理科の実験の授業。その次は体育と公民だ。
今はまだ午前六時半。守達が目を覚ましたようだ。
守のルナが来る前の日常はいつも目覚まし時計で起きていた。だから目覚めも結構よかった。
しかし今は違う。アラームが鳴る前にルナが起こしに来るのだ。日によって起こし方は違うが。今日は昨日と同じで守の部屋のドアを勢いよく開けて入ってきた。
その起こし方が一番ましだ。ひどい時なんかは勝手に全裸で添い寝してそれから起こしてくる。
「守ー、朝だよー!起きてー!」
「う~ん……むにゃ…」
いつも通りの感じで守は眠そうだ。
守は顔を洗い終わったところでテーブルへ向かう。朝食をとるのだ。
いつも楽しい会話をして学校へ行く。守が眠くない時限定だが。
「守達は今日から何も行事とかはしばらくないの?」
日菜がきょとんとした感じで純粋な瞳を輝かせて言った。ルナと守の学校生活に興味があるのだろう。ルナがすぐに答えた。
「まあそんな感じだねー。」
「おいおい。明日は職場体験だろ。しかも今日はどこに体験しに行くか授業で決めるんだろ。しかも来週の月曜日からはオリエンテーション合宿な。」
すかさず守が突っ込む。守はルナがきちんと行事があると言えるのか期待していたがその期待はあっけなく消えた。
日菜に誤解をしてほしくないのだ。急に今日はどんなことがあるなどと言うと日菜は不機嫌になることが多い。
「へ~そうなんだ。いろいろ行事があるんだね。」
「日菜の学校はどんな感じなの?」
ルナが日菜と同様瞳を輝かせて聞いた。
「特に行事とかはないよ。しばらくは普通の授業って感じ。あ!でも今週の土曜日に授業参観がある。」
土曜日か。と守は呟く。守はあまり日菜の小学校の様子は見に行ったことがない。今回も縁のないことだと思っていたら……
「じゃあ守と見に行かないとね!」
「え⁉えー!」
守が珍しく子供のような高い声を上げる。
そんなに驚くことないじゃんと日菜がほっぺを膨らませて言う。
「いや、そういうことではなくてだな。ルナも行くんだと驚いただけだ。」
冷静に冷静にと守は心の中で呪文のように唱える。日菜が不機嫌になると察したからだ。
「日菜の授業参観に行くことに決定-‼」
ルナが大きく声を出した。せっかくの土曜日が、と落ち込む守。
しばらくして守達は日菜よりも先に家を出る。
「守はなんで今まで日菜の授業参観とか行かなかったの?単に面倒だったから」
ルナが普通に聞いた。守は少し当たってると思いながらも
「俺がいたら日菜が授業に集中できないかなと思ったからだよ。」
「守優しいね。妹思いのお兄ちゃん♪」
ルナの可愛らしい声でからかわれと急に顔が赤くなる。その反応を見てルナがふふっと微笑んだ。守はなんだよととても小さな声で言ったがルナには聞こえてはいないようだった。
こんな感じで二人はいつも通り?に会話をしている。
「ルナはどこに職場体験に行きたいんだ?」
「やっぱり幼稚園かな。ちっちゃい子供たちと触れ合えるし。」
「そうか。俺はコンビニの店員の体験したいな。」
「夢がないなー守。もう少し大きな夢持たなくちゃ。」
職場体験はくじ引きによって決まる。したがって自分が行きたいくないとこに行かなくてはならない場合もある。
守は正直どこでもいいと思っていた。
そんなことを話しているうちに学校へ着いた。
クラスのみんながどこに職場体験行きたいとか誰とがいいとかなどを話していた。
守は日和かルナ、雪であればいいと思っていた。
するとクラスの仲のいい男子が話しかけてきた。
「なあ、原野。お前はどこに行きたいんだ?」
話しかけてきた男子は山田悠。小学生からの友達で親友だ。
ここじゃ話にくいこともあるからといい廊下に連れていかれた。
守が悠の問いに答える。
「さっきのことだけど俺はどこでもいいと思っている。別に一緒に行きたい人はいないし。」
日和たちと行きたいという気持ちをグッと抑える。気持ちを抑えている時間はなく悠が相談してきた。
「俺実は雪ちゃん結構好みなんだよねー。だからお前が雪ちゃんに何かしたって聞いたときは正直恨んだ。」
まじかよ……あの雪を好きになるとは、と守は唖然としていた。
その後悠に何もしてないんだよなと聞かれると、お、おうとあいまいな返事をした。なぜなら何もしてないのであれば雪はこの学校にいないのだから。
その後その後ルナの話題などで教室へ戻った。
長いホームルームが終わったと思ったらすぐに一時間目の授業開始のチャイムが鳴った。
クラスメイトは休みないのみたいな顔をしていた。
くじ引きなので並んでください。と言われると男子たちは一気にくじ引きの箱みたいなものが置いてある方へ向かった。守は例外である。
どうせ日和ちゃんとはなれないと思ったのか一番最後に引いた。
「では番号を確認してください。」
先生がそう言うとくじに書いてあった小さい番号を読む。守の番号は30だった。
ルナが何番だったのか聞いてきた。近くの友達にはいってはいけないという決まりだったがルナにはそんなことは知らない。
「俺は30番だったけど。」
「え⁉本当に!やったー、私もだよ!」
声が大きかったが他の人の声の方がうるさかったのであまり気付かれはしなかった。よっぽどうれしいのだろう。少し二人は照れていた。
そこで後ろから申し訳なさそうに咳ばらいをしていた人がいた。守のすぐ後ろの人はというと……雪!
「喜んでいるところすみません。私も30番でした。よろしくお願いします。」
「え?気にすることないよ雪ちゃん。こちらこそよろしく。」
雪も30番だったのだ。あれおかしいなと守は思う。普通は二人一組で行くのが基本だからだ。守のクラスは32人いる。
すると先生が説明した。今回は人数調整のため三人のところを用意したと。したがって一人の人が出てしまう。
そして番号ごとにどこに職場体験にいくか黒板に書きだされる。
30番と書かれた瞬間にルナは大きな声を上げた。なんと今朝言った希望通りの幼稚園なのだ。同じ番号が誰なのか先生から告げられる。
守も本命の日和とは一緒になれなかったが親しい人と一緒なので安心していた。
全て体験先が決まりちょうどチャイムが鳴る。号令はしなくていいと先生からは言われたのでどんどん廊下に生徒が行き、盛り上がっていた教室も静かになる。
すると悠が寄ってきた。
「原野ー‼なぜお前ははルナちゃんや雪ちゃんと一緒なんだ!俺なんか一人だぞ!」
胸ぐらを捕まれブンブンされる。守の首が激しく揺れる。
「ちょ…まて落ち着けって!」
その言葉をかけると悠は、はっとなり自分は何をしているのだと我に返る。
そこでルナに遠くから声をかけられた。
『ルナ、ナイス!』と心の中で思う。守は悠にまたなと言いその場を去っていく。
ルナから話された内容は取り合えず持ち物はないから違うクラスの人が同じ職場体験(幼稚園)に行くのか調べようとのことだった。
ルナはとりあえずB組の人でもいいから名前を覚えようとのことだった。
急いで階段を上る。そしてB組の教室のドア(横開き式)の前で近くにいた女の子にこのクラスで職場体験で幼稚園行く人いない?と聞いた。
するとその女の子はリンちゃーん!と叫ぶ。するとこちらに気づいたのかお辞儀をしてから寄ってきた。
「初めまして!リンといいます!」
どことなくルナに似ている雰囲気だ。その娘は黄緑色の髪をしていて身長は165くらいだろうか。胸の大きさはというとそこそこあった。
「よろしくねリンちゃん!私はルナって言うの。」
「え……ルナ?」
何か聞き覚えがあるのだろうかリンは首をかしげる。ルナもリンという名前に聞き覚えがあるらしい。
「どうしたの?リンちゃん。」
「いや昔ルナっていう仲のいい幼なじみがいて……今はアメリカにいるはずなんだけど……」
「あー‼思い出した!昔よく遊んだリンちゃんだー!」
「やっぱり!そうだよね。ルナも日本に来てたなんてー。」
二人は少し思い出に浸ってた。守は顔で覚えてないのかと思っていたが昔のことだから当然かとなんとか理解した。
「ルナの隣にいる人は?」
「えーと、簡単に言うと私を家に泊めてくれている人。とっても優しいんだ。名前は守っていうの。」
「そうなんだ。でも守君のご両親に迷惑はかけてないの?」
そこでルナはあいまいな返事をしたので守はリンに説明する。
「ルナの両親ってのはうちの両親が働いている会社の社長さんだから迷惑とは全然思ってないよ。」
少し自分でもおかしなことを言っているような気がしたがそこはあえてスルーした。
そこでチャイムが鳴りまたねと言ってB組の教室を去った。
二時間目は具体的に何をするのかプリントを体験場所ごとに配られて後は自習だった。守はその時間はもちろん勉強……ではなく寝ていた。
寝ていると時間がたつのは早い。守は日和の授業終了の号令とともに起きた。なお、号令は会長が行うことになっている。
三、四時間目は理科の実験の授業である。今日はどんな実験をするのかと楽しみにしながら理科室へ向かっていった。
先生から今日は何の実験をやるのか説明を受ける。今日は何とスライムを作るという実験だった。
たぶんルナがいるからだろう。理科の実験の面白さを伝えようととしているのではないか。
今回は珍しく好きな人と班を作っていいことになった。普段はそんなことはない。
三人班もOKだということで守はルナと雪をメンバーに誘った。他の守の友達もルナや雪を誘ったが守とやるからといい丁寧に断っていた。雪は冷たい口調で追い返した。
本当は日和も誘いたかったが、冷やかしを受けるので守は誘うことを断念した。
なんでスライムを作ることになったのかと考えながら守は先生の話を聞いていた。ルナは興味があるようで集中して聞いていた。しかし雪は先生の話も聞かず読書をしていた。
ちなみに今日作るのは普通に作れるスライムだ。実験の手順はこうだ。
1 水50㏄にホウ砂を入れる。そしてホウ砂水溶液を作る。
2 水100㏄に色を加える。
3 そのあと他の容器などに色水と洗濯のり100㏄を混ぜる。
4 混ぜているときにホウ砂水溶液を入れてさらに混ぜる。
(これでできない場合もあります)
ルナは早速作り始めていた。雪も地味にやってる。守は実験の話など聞いているはずもなくただおどおどしていた。
しばらくしてみんなのスライムができた。みんな高校生だというのに少しだけはしゃいでいる。
久しぶりの楽しい実験でうれしいのだろう。去年は全く面白くない実験続きだった。
そこで三時間目も終了。四時間目はスライムを使った実験なら好きなようにしていいといわれた。
ここで皆に質問だ。この高校生たちは四時間目まともに授業を受けると思いますか?
もちろんわかっての通り答えはNOだ。ふざけるに決まっている。
ルナはなんとボールいっぱい(相当大きい)にスライムを作り始めた。
ルナがみんなに材料余っているかと聞き、ほとんど答えは余っているだったので材料をもらう。
三十分後――
「何これ……」
守が唖然としながら言う。もうスライムではなくぶよぶよした物体となっている。
レポートを提出しスライムをかたずけ教室に戻る。
ルナは満足している様子だった。
次は昼だ。雪とルナを誘いカフェテリアに行こうとするとリンがこちらへやってきた。
「ルナちゃん、守君、一緒に食べよう!あれそちらの銀髪の子は?」
「小森雪です。ルナの友達です。ルナの友達の友達ということは間接的に関わりがある。友達になりましょう。」
「あ!もちろん!よろしくね雪ちゃん!」
丁寧な口調で話す雪にリンは少し戸惑っていたが元気な返事を返した。
まだ授業は今日から始まったばかりだがみんな新しい友達もでき仲良くやっているようだ。
まだ五時間目と六時間目がある。守の学校生活は楽しい感じになりそうです。
しかしこの一週間は忙しいものになることはわかっていた。
なぜなら守は明日第一回目の職業体験がある。
それに伴い今日の授業の二時間を使いどこに行くのか決めなければいけない。
一回目といったのは夏休み明けにも、もう一度職場体験がある。
また三、四時間目は続けて理科の実験の授業。その次は体育と公民だ。
今はまだ午前六時半。守達が目を覚ましたようだ。
守のルナが来る前の日常はいつも目覚まし時計で起きていた。だから目覚めも結構よかった。
しかし今は違う。アラームが鳴る前にルナが起こしに来るのだ。日によって起こし方は違うが。今日は昨日と同じで守の部屋のドアを勢いよく開けて入ってきた。
その起こし方が一番ましだ。ひどい時なんかは勝手に全裸で添い寝してそれから起こしてくる。
「守ー、朝だよー!起きてー!」
「う~ん……むにゃ…」
いつも通りの感じで守は眠そうだ。
守は顔を洗い終わったところでテーブルへ向かう。朝食をとるのだ。
いつも楽しい会話をして学校へ行く。守が眠くない時限定だが。
「守達は今日から何も行事とかはしばらくないの?」
日菜がきょとんとした感じで純粋な瞳を輝かせて言った。ルナと守の学校生活に興味があるのだろう。ルナがすぐに答えた。
「まあそんな感じだねー。」
「おいおい。明日は職場体験だろ。しかも今日はどこに体験しに行くか授業で決めるんだろ。しかも来週の月曜日からはオリエンテーション合宿な。」
すかさず守が突っ込む。守はルナがきちんと行事があると言えるのか期待していたがその期待はあっけなく消えた。
日菜に誤解をしてほしくないのだ。急に今日はどんなことがあるなどと言うと日菜は不機嫌になることが多い。
「へ~そうなんだ。いろいろ行事があるんだね。」
「日菜の学校はどんな感じなの?」
ルナが日菜と同様瞳を輝かせて聞いた。
「特に行事とかはないよ。しばらくは普通の授業って感じ。あ!でも今週の土曜日に授業参観がある。」
土曜日か。と守は呟く。守はあまり日菜の小学校の様子は見に行ったことがない。今回も縁のないことだと思っていたら……
「じゃあ守と見に行かないとね!」
「え⁉えー!」
守が珍しく子供のような高い声を上げる。
そんなに驚くことないじゃんと日菜がほっぺを膨らませて言う。
「いや、そういうことではなくてだな。ルナも行くんだと驚いただけだ。」
冷静に冷静にと守は心の中で呪文のように唱える。日菜が不機嫌になると察したからだ。
「日菜の授業参観に行くことに決定-‼」
ルナが大きく声を出した。せっかくの土曜日が、と落ち込む守。
しばらくして守達は日菜よりも先に家を出る。
「守はなんで今まで日菜の授業参観とか行かなかったの?単に面倒だったから」
ルナが普通に聞いた。守は少し当たってると思いながらも
「俺がいたら日菜が授業に集中できないかなと思ったからだよ。」
「守優しいね。妹思いのお兄ちゃん♪」
ルナの可愛らしい声でからかわれと急に顔が赤くなる。その反応を見てルナがふふっと微笑んだ。守はなんだよととても小さな声で言ったがルナには聞こえてはいないようだった。
こんな感じで二人はいつも通り?に会話をしている。
「ルナはどこに職場体験に行きたいんだ?」
「やっぱり幼稚園かな。ちっちゃい子供たちと触れ合えるし。」
「そうか。俺はコンビニの店員の体験したいな。」
「夢がないなー守。もう少し大きな夢持たなくちゃ。」
職場体験はくじ引きによって決まる。したがって自分が行きたいくないとこに行かなくてはならない場合もある。
守は正直どこでもいいと思っていた。
そんなことを話しているうちに学校へ着いた。
クラスのみんながどこに職場体験行きたいとか誰とがいいとかなどを話していた。
守は日和かルナ、雪であればいいと思っていた。
するとクラスの仲のいい男子が話しかけてきた。
「なあ、原野。お前はどこに行きたいんだ?」
話しかけてきた男子は山田悠。小学生からの友達で親友だ。
ここじゃ話にくいこともあるからといい廊下に連れていかれた。
守が悠の問いに答える。
「さっきのことだけど俺はどこでもいいと思っている。別に一緒に行きたい人はいないし。」
日和たちと行きたいという気持ちをグッと抑える。気持ちを抑えている時間はなく悠が相談してきた。
「俺実は雪ちゃん結構好みなんだよねー。だからお前が雪ちゃんに何かしたって聞いたときは正直恨んだ。」
まじかよ……あの雪を好きになるとは、と守は唖然としていた。
その後悠に何もしてないんだよなと聞かれると、お、おうとあいまいな返事をした。なぜなら何もしてないのであれば雪はこの学校にいないのだから。
その後その後ルナの話題などで教室へ戻った。
長いホームルームが終わったと思ったらすぐに一時間目の授業開始のチャイムが鳴った。
クラスメイトは休みないのみたいな顔をしていた。
くじ引きなので並んでください。と言われると男子たちは一気にくじ引きの箱みたいなものが置いてある方へ向かった。守は例外である。
どうせ日和ちゃんとはなれないと思ったのか一番最後に引いた。
「では番号を確認してください。」
先生がそう言うとくじに書いてあった小さい番号を読む。守の番号は30だった。
ルナが何番だったのか聞いてきた。近くの友達にはいってはいけないという決まりだったがルナにはそんなことは知らない。
「俺は30番だったけど。」
「え⁉本当に!やったー、私もだよ!」
声が大きかったが他の人の声の方がうるさかったのであまり気付かれはしなかった。よっぽどうれしいのだろう。少し二人は照れていた。
そこで後ろから申し訳なさそうに咳ばらいをしていた人がいた。守のすぐ後ろの人はというと……雪!
「喜んでいるところすみません。私も30番でした。よろしくお願いします。」
「え?気にすることないよ雪ちゃん。こちらこそよろしく。」
雪も30番だったのだ。あれおかしいなと守は思う。普通は二人一組で行くのが基本だからだ。守のクラスは32人いる。
すると先生が説明した。今回は人数調整のため三人のところを用意したと。したがって一人の人が出てしまう。
そして番号ごとにどこに職場体験にいくか黒板に書きだされる。
30番と書かれた瞬間にルナは大きな声を上げた。なんと今朝言った希望通りの幼稚園なのだ。同じ番号が誰なのか先生から告げられる。
守も本命の日和とは一緒になれなかったが親しい人と一緒なので安心していた。
全て体験先が決まりちょうどチャイムが鳴る。号令はしなくていいと先生からは言われたのでどんどん廊下に生徒が行き、盛り上がっていた教室も静かになる。
すると悠が寄ってきた。
「原野ー‼なぜお前ははルナちゃんや雪ちゃんと一緒なんだ!俺なんか一人だぞ!」
胸ぐらを捕まれブンブンされる。守の首が激しく揺れる。
「ちょ…まて落ち着けって!」
その言葉をかけると悠は、はっとなり自分は何をしているのだと我に返る。
そこでルナに遠くから声をかけられた。
『ルナ、ナイス!』と心の中で思う。守は悠にまたなと言いその場を去っていく。
ルナから話された内容は取り合えず持ち物はないから違うクラスの人が同じ職場体験(幼稚園)に行くのか調べようとのことだった。
ルナはとりあえずB組の人でもいいから名前を覚えようとのことだった。
急いで階段を上る。そしてB組の教室のドア(横開き式)の前で近くにいた女の子にこのクラスで職場体験で幼稚園行く人いない?と聞いた。
するとその女の子はリンちゃーん!と叫ぶ。するとこちらに気づいたのかお辞儀をしてから寄ってきた。
「初めまして!リンといいます!」
どことなくルナに似ている雰囲気だ。その娘は黄緑色の髪をしていて身長は165くらいだろうか。胸の大きさはというとそこそこあった。
「よろしくねリンちゃん!私はルナって言うの。」
「え……ルナ?」
何か聞き覚えがあるのだろうかリンは首をかしげる。ルナもリンという名前に聞き覚えがあるらしい。
「どうしたの?リンちゃん。」
「いや昔ルナっていう仲のいい幼なじみがいて……今はアメリカにいるはずなんだけど……」
「あー‼思い出した!昔よく遊んだリンちゃんだー!」
「やっぱり!そうだよね。ルナも日本に来てたなんてー。」
二人は少し思い出に浸ってた。守は顔で覚えてないのかと思っていたが昔のことだから当然かとなんとか理解した。
「ルナの隣にいる人は?」
「えーと、簡単に言うと私を家に泊めてくれている人。とっても優しいんだ。名前は守っていうの。」
「そうなんだ。でも守君のご両親に迷惑はかけてないの?」
そこでルナはあいまいな返事をしたので守はリンに説明する。
「ルナの両親ってのはうちの両親が働いている会社の社長さんだから迷惑とは全然思ってないよ。」
少し自分でもおかしなことを言っているような気がしたがそこはあえてスルーした。
そこでチャイムが鳴りまたねと言ってB組の教室を去った。
二時間目は具体的に何をするのかプリントを体験場所ごとに配られて後は自習だった。守はその時間はもちろん勉強……ではなく寝ていた。
寝ていると時間がたつのは早い。守は日和の授業終了の号令とともに起きた。なお、号令は会長が行うことになっている。
三、四時間目は理科の実験の授業である。今日はどんな実験をするのかと楽しみにしながら理科室へ向かっていった。
先生から今日は何の実験をやるのか説明を受ける。今日は何とスライムを作るという実験だった。
たぶんルナがいるからだろう。理科の実験の面白さを伝えようととしているのではないか。
今回は珍しく好きな人と班を作っていいことになった。普段はそんなことはない。
三人班もOKだということで守はルナと雪をメンバーに誘った。他の守の友達もルナや雪を誘ったが守とやるからといい丁寧に断っていた。雪は冷たい口調で追い返した。
本当は日和も誘いたかったが、冷やかしを受けるので守は誘うことを断念した。
なんでスライムを作ることになったのかと考えながら守は先生の話を聞いていた。ルナは興味があるようで集中して聞いていた。しかし雪は先生の話も聞かず読書をしていた。
ちなみに今日作るのは普通に作れるスライムだ。実験の手順はこうだ。
1 水50㏄にホウ砂を入れる。そしてホウ砂水溶液を作る。
2 水100㏄に色を加える。
3 そのあと他の容器などに色水と洗濯のり100㏄を混ぜる。
4 混ぜているときにホウ砂水溶液を入れてさらに混ぜる。
(これでできない場合もあります)
ルナは早速作り始めていた。雪も地味にやってる。守は実験の話など聞いているはずもなくただおどおどしていた。
しばらくしてみんなのスライムができた。みんな高校生だというのに少しだけはしゃいでいる。
久しぶりの楽しい実験でうれしいのだろう。去年は全く面白くない実験続きだった。
そこで三時間目も終了。四時間目はスライムを使った実験なら好きなようにしていいといわれた。
ここで皆に質問だ。この高校生たちは四時間目まともに授業を受けると思いますか?
もちろんわかっての通り答えはNOだ。ふざけるに決まっている。
ルナはなんとボールいっぱい(相当大きい)にスライムを作り始めた。
ルナがみんなに材料余っているかと聞き、ほとんど答えは余っているだったので材料をもらう。
三十分後――
「何これ……」
守が唖然としながら言う。もうスライムではなくぶよぶよした物体となっている。
レポートを提出しスライムをかたずけ教室に戻る。
ルナは満足している様子だった。
次は昼だ。雪とルナを誘いカフェテリアに行こうとするとリンがこちらへやってきた。
「ルナちゃん、守君、一緒に食べよう!あれそちらの銀髪の子は?」
「小森雪です。ルナの友達です。ルナの友達の友達ということは間接的に関わりがある。友達になりましょう。」
「あ!もちろん!よろしくね雪ちゃん!」
丁寧な口調で話す雪にリンは少し戸惑っていたが元気な返事を返した。
まだ授業は今日から始まったばかりだがみんな新しい友達もでき仲良くやっているようだ。
まだ五時間目と六時間目がある。守の学校生活は楽しい感じになりそうです。
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