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【銃】の暗殺者

ヨナ

闇ギルド本部



王都に来た翌日、俺達は食事をした後すぐに街に繰り出した。まずは服屋に行ってシェリーに必要なものを揃える。
俺とお揃いの黒のローブと動きやすい服、シェリーは速度重視の機動力を生かした戦い方なので腕の動きを邪魔しないようにタンクトップと足の動きを邪魔しないようにホットパンツだ。
露出の多い格好だがその上からローブを着ているので問題ない。レッグシースのようなものがあったのでシェリーに着けさせてナイフを入れている。俺も銃を既に召喚して懐に忍ばせている。何らかの方法で魔法が使えなかった時のためだ。


真っ黒のローブを着た2人組みは目立つかと思ったが意外とそうでもない。俺達がいる中央区には冒険者ギルドがあるので魔法使いが多いらしく、ローブを着ている人が結構いる。
性別、種族、職種の違う多種多様な王都の様子は日本のコスプレイベントも真っ青な具合だろう。コスプレイベントなんて行った事ないが。


それから露店でシェリーの仮面を買う。俺と同じ目の部分にだけ穴が開いているタイプの奴だ。こういうのは普通は売れないから雑貨屋には置いていないので露店で探すしかない。
因みに露店は商人になりたいけど店や馬車を持つほど金がない人達がやるものだ。特に許可は必要ないが商人ギルドに登録するのが暗黙の了解となっている。



準備を整えた後西区に行って"夕闇酒場"を探しているんだが、全然見つからない。もともと西区は歓楽街で酒場が多い。そこから1つを探し出すのは大変だ。

ドンッ

酒場を探して歩いていると走って少年とぶつかった。
「あ、わりぃがぁっ!」
俺はその少年の首根っこを捕まえる。走っていたので首が絞まったようだが仕方がない。
「今盗ったものをすぐに返せ」
「チッ!」
少年はスリで俺の懐から布袋を盗んだのだ。手持ちの金の殆どはアイテムバックに入れているが予備として布袋に少し入れて持っているのだ。

「で、衛兵にでも突き出すか」
「まっ、待ってくれよ!返したんだし良いじゃねえか!許してくれよ!」
少年は慌てて縋り付いてくる。見たところストリートチルドレンって感じだ。これだけデカイ街ならそりゃあスラムくらいあるだろうな。コイツを利用するか。
「おいおまえ、この辺りが根城か?」
「そ、そうだけど」
「俺は今、夕闇酒場って酒場を探している。そこまで案内してくれれば見逃すし、なんなら銅貨を数枚くれてやっても良い」
「本当か!」
「ああ」
「任せろ。こっちだ!」
ちょうどよく手に入れた道案内人の後に続いて夕闇酒場に向かった。



夕闇酒場は表通りから外れたところにあった。これは聞かなければ見つけられないだろう。スリの少年には銅貨を数枚握らせて帰らせた。
「シェリー、ここからは油断するなよ。取り敢えずフードを被れ」
コク
フードを目深に被り、口元しか見えないようにした俺達は店に入る。店にいた客はこちらを見たがすぐに興味を失ったように話を再開する。ここでは顔を隠した客は珍しくないのだろう。

俺達はカウンター席に座る。
「注文は?」
「故郷の酒を、支払いはこれでいいか?」
俺は聞いていた通りに言って首から下げていた闇ギルドの証を見せる。
「ああ、待ってろ」




「こんにちは」
数分すると、女が話しかけてきた。猫の獣人だろう。10代くらいの体つきで娼婦のような格好をしている。
「どうも」
「じゃ、行こうかにゃ」
席を立ち、女の後に続いて歩く。この辺りでは娼婦の格好は周囲に紛れるのに最適なんだろう。と、思っていたがつれていかれたのはそのまま娼館だった。驚いたが慌てずにシェリーに仮面をつけるように指示しておれも仮面をつける。


中に入ると裸よりエロい格好をしたお姉さん方がいた。
「んん、ギルドに用があるときは誰でもいいからギルド証を見せるといいにゃ。この店の娼婦は全員がギルド職員にゃ」
「ふむ?」
娼館丸ごと職員なのか。確かにそれならやり易いかもな。
「それからその仮面も必要ないにゃ。みんな秘密は守るにゃ。秘密を守れなければマスターに殺されるにゃ」
「職員は信用できても同業者は信用できんだろ」
職員は信用しても問題ないだろうが同じ暗殺者に知られるのは得策じゃない。
「それも問題ないにゃ。ここではギルド証を見せた相手が担当するにゃ。つまり個室に案内されて他のと会うことは殆どないにゃ。信用は大事だからにゃ〜」
「、、、成る程。お互いに、だな。シェリー、仮面とフードを取っていいぞ」
シェリーに指示を出して、俺自身も顔を晒す。今のは"ツラも晒せねぇ奴はこっちも信用しねぇよ"という意味だ。


「頭のキレる人で助かるにゃ」
「そうかい、なら構えてる連中に武器を下ろせと言ってくれねえかな」
見かけ上、普通の娼館だがあちこちに人が隠れている。おそらく有事の時の護衛だろう。
「感もいいのにゃ。有望だにゃ〜。取り敢えず案内するにゃ」
俺の要求には答えずそのまま個室に通された。通された個室は大きめの机が1つと椅子がいくつかあるだけの簡素な部屋だった。


「取り敢えず依頼を受けてもらうにゃ。アイシスでの仕事の情報は上がってきてるけど王都は勝手が違うからにゃ」
「ああ」
既に俺の情報はあるのか。それに名乗ってないのに俺のことを知ってるのはこの黒髪のせいか?黒髪は珍しいみたいだったしな。

「うにゃ?にゃあ、おみゃ〜の情報なら既に入ってきてるにゃ。闇ギルドの情報収集能力は他のどの組織よりも凄いんだにゃ。ジョン・スミス」
「そうか。まぁ、いい。で、依頼は」
「どんな依頼が良いにゃ?アイシスと違って王都は依頼がいっぱいあるにゃ」
「そうだな、、、標的が貴族以外ならなんでもいい」
「貴族はダメなのにゃ?」
「こっちにきて初仕事だからな。慎重すぎるくらいでちょうどいい」
「ならコレはどうにゃ」


対象:タタル商会、商会長長男セルゲイ
要望:出来るだけ人の多いところで
日数制限:今月中
報酬:金貨5枚
依頼主:婚約者ミリィ


「金貨5枚とはなかなか報酬がいいな」
「王都での依頼は大体金貨一枚だにゃ。今回は人前でだから多めだにゃ」
人前でというのは別に問題ないが、、、
「王都での仕事はターゲット探しが面倒だな」
「にゃ〜、それにゃらウチらに聞くといいにゃ。ギルド職員は情報屋も兼ねてるにゃ。扱ってる情報はそれぞれだけど情報料はそのままウチらの懐に入るから嬉しいにゃ!」
小遣い稼ぎに情報を得るとはさすが王都だ。

「じゃあターゲットについて教えてくれ」
「見た目の特徴と住んでる場所を合わせて銀貨2枚にゃ」
「はいよ」
俺は迷わず金を渡した。こういう時、初回で金払いのいい奴は今後も多少は便宜を図ってくれる。
「ありがとにゃ〜。セルゲイは25歳、茶色い髪、茶色い目、少しハゲてきてて腹が出てるにゃ。住んでる場所は東区の大通り、中央区寄りのタタル商会に併設された自宅だにゃ」
「25歳でハゲ始めてるとは、、、可哀想に」
「サービスで依頼の動機も教えておくにゃ。婚約者のミリィはもともと恋人がいたにゃ。でも実家の商会がタタル商会の傘下だから無理矢理婚約者にされたにゃ。もともと金を使って好き勝手やってた奴だからみんなに嫌われてるにゃ〜」
「へー、どうでもいいな。わかった。近いうちに依頼を済ませてまた来る」
「待ってるにゃ〜」
俺はすぐに娼館を出た。どうもあそこにいる女達の香水の匂いが合わない。ちょっと気持ち悪くなってきた。

クイクイ

「ん?ああ、匂いに酔っちゃっただけだから大丈夫だぞ?」
コク
俺の気分が悪いのを目敏く見つけてシェリーが心配してくれる。この子は本当に優しいな。


「明日明後日でターゲットの行動を調べてからやるぞ」
コク







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