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【銃】の暗殺者

ヨナ

魔法



「これから魔法の勉強をします」
俺は宿でシェリーにそう宣言した。


無事に煙管の製作を職人に頼めたので出来るまでの間、暇を持て余している必要はない。有効に時間を使わなければ。

「いいか、シェリー。俺は魔法が使えないし、シェリーが使える魔法も【影魔法】という特殊な魔法だけだ。そしてこの魔法は暗殺の時の手札としてとっておきたい」
コク
「だが俺もシェリーも暗殺者としてはそこそこ良いところまでいってると思う。傲慢じゃなく、そう思う。だから戦闘に使う為に魔法を覚えようって言ってるわけじゃないんだ」
???
「わからないか。分かりやすく言うとだな、例えば【火魔法】を覚えていたとしよう。そうすると日常生活として色々役に立つ。もし今みたいに馬車で何日も移動するときに火は大切だ。だけど火種はどうする?火をつける魔道具は高価だ。火打ち石は使い捨てだ。そんな時に【火魔法】を使えれば火種に困ることはない」
コクコク
「何も強い魔法を覚えようって訳じゃない。【火魔法・小】でも覚えればロウソクの火くらいの大きさの火は出せる。火種にはそれで充分なんだ」
コクコク
「じゃあ、魔法の大切さを知ってもらったところで早速勉強を始めようか」



魔法とは身体の中にある魔力を燃料に様々な事象を起こす能力の事。
魔法には多くの属性が存在する。基本属性は火・水・風・土の4つ、特殊属性は木・雷・氷などかなりの数があり正確な数は分かっていない。他にも種族魔法という特殊なものがありそれは特定の種族にしか使えない魔法だ。更に属性とは呼べない魔法も存在する。隷属魔法や召喚魔法がそれに当たるだろう。

魔法の使い方はまず体内の魔力を操作する。その魔力が声に乗るように喉に集まるイメージをする。そして詠唱を行う。この時発動させたい魔法をより鮮明にイメージする事でその威力や規模が変化する。

しかし誰にでも魔法が使えるというわけではない。まず魔法には適性というものが存在する。適性がある属性は覚えることができるが適性がない魔法は覚えることができない。そう、覚えることが難しいのではなくできないのだ。つまり魔法とは完全に才能の世界である。



俺の読んだ本にはそう書いてあった。シェリーの【影魔法】は種族魔法だろう。俺は【銃召喚】で魔力の操作を身につけているし、シェリーも【影魔法】で魔力の操り方は分かっている。魔法を使うのは簡単に出来た。シェリーは声は出せないけど【無詠唱・極】があるのでなんの問題にもならなかった。

結局覚えることができたのは俺が【火魔法・小】で、シェリーが【水魔法・小】と【風魔法・小】だ。
俺の火魔法で使えるのは指先に火を出すくらいだが俺としては大満足だ。これで種火に困ることはない。更にシェリーの水魔法で水は確保できるので不測の事態の時に飲み水に困ることはないだろう。そんなことにはならないと思うけど異世界にほうりだされたはじめの場所が魔の森だと思うと用心してしまうのはしょうがないことだと思う。


一日中シェリーと2人で魔法の練習をしたが俺はロウソク程度の火を出すことしかできなかったし、シェリーも両手で救えるくらいの水とそよ風程度の風しか生み出せなかった。
まぁ、そんなに簡単に上達するわけがないけど。



魔法を覚えた翌日は2人で街を散策することにした。何か面白いものはないかと見て回ると木工の街らしい木の商品が多くあった。だがその多くが家具でまだ定住地を持たない俺たちには買えない代物だった。
まぁ家具は見るだけでも楽しめた。なかなか斬新なデザインもあったし、俺の好きな猫足の椅子もあった。定住地が決まったら是非猫足のソファーが欲しいけどソファーは誰に依頼すればいいんだろう?ベースとなるのは木だけどふかふかの部分は綿だろうし、そのうち調べてみよう。


それから数日は街をふらついたり、森に入ったりしていた。森には魔物の数はそこそこいるけど大して強くない奴ばかりだった。ちょうどいいから体が鈍らないようにシェリーが魔物を相手したり、俺がシェリーに銃の説明をしたりした。銃のことは出来るだけ言いたくなかったけどこれから一緒にいるんだが言っておかないと不便だという判断だ。

銃について教えていて思ったのだがシェリーは子供にしては頭がいいと思う。もしかしたら見た目通りの年齢ではないのかもしれない。100歳とかだったらどうしようとか考えたけど娘であることには変わりないしどうでもいいかと結論付けた。


そして依頼から7日後、エルフの職人から煙管ができたと連絡が来た。因みにエルフの名前はウィークナーだ。
ウィークナーは予想以上に腕がいいみたいで事前に使い方を説明しておいたらきっちり作ってくれた。何度も改良を重ねなければならないかと思っていたのだが嬉しい誤算だった。
事前に購入していたタバコの葉を刻んで入れて火をつけて吸ってみる。

「ゲッホ、ゲホッ」

勢いよく吸いすぎて噎せた。だがタバコは最初はキツイと聞いていたのだが思ったよりも美味かった。シェリーも吸ってみたが苦手みたいだった。俺は薬師だしタバコの葉ではない物でも出来るように改良してみるのもいいかもしれない。シェリーも何かフルーツ系の味なら好むだろう。

予想以上の出来栄えに約束より多めに支払ったらウィークナーは申し訳ないと煙管に彫刻を彫ってくれた。赤茶色の気を使った煙管に金色の龍はなかなか俺好みだった。


あと2日でこの街を出ることになる。次の街はついに王都だ。色々と準備が必要だ。
それにアレもそろそろだろう。



ーーーーside野良犬ーーーー


「おい、大将から仕事だってよ!」
「お?よっしゃ!最近溜まってたんだよな」
「そうそう、大将からの仕事は後始末は全部大将がしてくれるから好き勝手やっていいもんな」
見るからに荒くれ、、、それも相当悪い手合いの男達が酒を片手に騒いでいる。

「で、ターゲットは誰」
「なんでも脱走者の奴隷とその主人だってよ」
「脱走ねぇ、馬鹿な奴もいたもんだ。大将はこの国の宰相だぜ?逃げれるわけがねえだろ」
「そうそう、それに仕事さえしてればあとは何しても庇ってもらえるしな」


男達はどうやってターゲットを甚振ろうか考えながら動き出したのであった。







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