【銃】の暗殺者

ヨナ

ユーレカ




無事にユーレカについた俺たちは門のところで解散してそれぞれ宿を取る。このユーレカには未定ではあるけど長めに滞在する予定だ。木工と細工、、、つまり職人がいるこの街ではティグさんが取り扱いたいものがいろいろあるので商談が沢山あるそうだ。


俺は俺で此処に来るのが楽しみだった。何故かというと是非作ってもらいたいものがあるからだ。それは煙管である。この世界には煙草は存在しても煙管はないようだったので是非作ってもらおうと思ったのだ。

何故煙管かというと完全に趣味だ。憧れともいう。煙草ではないあの上流階級的な雰囲気が好きなのだ。だからこの街の職人に作ってもらおうと思っているのだ。煙草は身体を悪くするがこの世界には治癒魔法があるので心配ない。

因みに治癒魔法と回復魔法は別物だ。回復魔法は怪我を治す魔法で治癒魔法は病気を治す魔法だ。ただどちらも使い手は教会に所属している。この世界で一番大きな宗教はライト教で光の神を唯一神としている。無理矢理信徒にしようとはしないが回復魔法などを使う際にはお布施と称して高い金を取る。本当の信者など極一部で上層部は只の金に群がる蝿だそうだ。



職人を見つけるのは後にしてまずは宿を取らないといけない。此処は商人がよく来るので良い宿は早くとらなければ埋まってしまうそうだ。

「此処にしようか」
俺は酒場から離れていて、清潔そうな宿を選ぶ。宿選びは意外と重要なのだ。安い宿だとベットは硬くて隙間風が入ってくるし、夜は酔っ払いどもがうるさい。だけどあんまり高すぎるとそれはそれで問題だ。宿なのに相応の服装を求められるところがあるのだ。


「いらっしゃい!泊まりかい?」
宿に入ると肝っ玉母ちゃんという感じのおばさんが話しかけて来る。この宿の女将だろう。
「ああ、とりあえず5日ほど2人分で」
「あいよ!2部屋とるかい?それとも2人部屋かい?」
「シェリーどうする?2部屋とるか?」
フルフル
「一緒でいいのか?」
コク
「そうかじゃあ一緒で」
「そうかい、なら銀貨20枚だよ」

鍵を受け取って部屋に行くとなかなか悪くない部屋だった。ちゃんと掃除されているしベットも大きい。
部屋を確認するとそのまま宿を出る。鍵がついていても荷物を部屋に置いていったりはしない。荷物の管理は自己責任なのだ。


「それじゃあ職人探しに行こう!」
コクコク
俺たちは意気揚々と街へ繰り出した。道行く人に職人が集まる場所について聞いてそっちに向かう。職人はドワーフが大きかった。髭を生やした小柄な筋肉質の男がウヨウヨいる。早速目についた工房に入り煙管の製作の依頼をするのだが、、、


「巫山戯てんのか!テメェは!」


すごい剣幕で怒鳴られている。もう既に8人目だ。どこにいってもこの調子なのだ。何故こんなに怒っているのかというと


「んな訳ワカンねぇ物を作らせてようとはいい度胸じゃねえか!ガキのお遊びに付き合ってる暇はねえんだ!」


だそうだ。
どうやらもともと無かったものを作って貰うには職人からの信頼がないと出来ないし、俺の見た目が子供だから遊びで来ていると思われているようだ。どういうものかを説明しようとしてもそもそも話を聞いてもらえないので話にならない。


「シェリー、今日は諦めて屋台で何か食べよう」
俺は肩を落としてシェリーにそう言う。シェリーは片方の手で俺と手を繋ぎながらもう片方の手で肩をポンポンと叩き慰めてくれる。
「今日は肉を食おうな」
コクコク
自分を慰める意味でも美味いものを食べようと市場へ繰り出す。因みにシェリーは肉が大好きらしい。
ユーレカは周囲の森林に魔物が出るので肉はそこそこあるらしい。味付けが塩だけというのは少々物足りない気がするがしょうがない。それからこの街の郷土料理だという山菜汁らしきものも食べた。
最初は遠慮していたがシェリーも食べたいものをおねだり出来るようになった。子供は少しくらいワガママを言う方が元気でいいのだ。


街についたのが昼過ぎだったので既に日が落ちて来ている。このユーレカは王都から近いので結構発展していて街灯があるため明るい。燃料は魔力らしく魔道具の一種なんだそうだ。
アイシスで一度魔道具にも興味を持って勉強しようと思ったが、魔法の成り立ちから始まり、魔力について、相性のいい素材、魔力回路と果てしない学問だったのですぐに諦めた。アレは専門的な学者がやるものだろう。


腹ごしらえも終えると軽く酒を飲みながら街を歩く。この世界では飲酒に年齢制限はないので子供でも酒を飲む。寧ろ祝い事の時は子供も飲まされるそうだ。
「シェリーはお酒はいいのか?」
コク
「苦手か」
コク
「そうかそうか」
俺は頭を撫でてやる。酒は好みの問題だから無理に飲ませるのは良くない。


シェリーと歩いていると街の中央の噴水で頭を抱えて唸っている男を見つけた。耳が尖っているのでエルフだろう。何をやっているんだろうか、酔いに任せて絡んでみるか。
「そこのエルフの、どうした」
「へ?なんだ子供か、私は君達に構っている余裕はないのだ。あっちに行ってなさい」
「まぁそう言うなよ。悩んでるんだったら吐き出しちまえばスッキリするかも知んねえぞ?」
俺は落ち着かせるように話しかける。
「む、、、そうか、聞いてくれるか」
「おう、話してみろ」


エルフは語り出した。
「俺は細工師なのだ。この街に来て5年になる。私は見ての通りエルフなのだが職人というのはドワーフが大半だ。奴等は器用だからな。だがドワーフとエルフというのはもともと仲が良くない。私はそんなことはどうでもいいんだがドワーフの連中は頑固でな。
それで俺がこの街で職人としてやっていくのにドワーフが商売敵になる訳だがもともとこの街にいたドワーフと新参の私では仕事は皆ドワーフに依頼する。私がやって行くのは大変なのだ。そこでドワーフの連中がみかじめ料を払うなら仕事を回してやると言ってきたのだ。仕事に困っていた私はそれに頼ることになった」
なんだかゴロツキみたいなドワーフだな。

「エルフの私でも依頼してくれる人は少しだがいる。毎月その人の依頼をこなすことによってみかじめ料を払っていたんだ。ところが今月は依頼人の方の事情があって依頼がなかったんだ。来月からは通常通りなんだが今月依頼がないせいでみかじめ料が払えない。そうなるとここを追い出されてしまう。
別の街に行けばいいと思うかもしれないがこの街の木材は素晴らしいんだ。出来るだけ離れたくない。だから街中で依頼を探しているんだが、、、見つからない」
要するに職はあるけど仕事がなくて困っているわけか。ん?ちょうどいいかもしれんな。


「ちょっとこれを見てくれ」
俺はそう言って紙を広げる。これはユーレカまでの道中で書いた煙管の設計図だ。
「もし、あんたがこれを作ってくれるなら前金として銀貨10枚、完成したら更に40枚、計50枚払おう」
「なんだと!?」
エルフは真剣な顔で設計図を見始める。
「これは俺の故郷にあったものなんだがこの辺にはなくてな、作れるか?」
「任せてくれ!」
エルフは凄い力で肩を掴んで来た。
「じゃあ商談成立だな?」
「ああ!」


こうして煙管を作ってくれるなら職人をゲットした。









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