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【銃】の暗殺者

ヨナ

次の街へ




シェリーを買ってからイースに滞在する残り2日間、俺はシェリーのために時間を費やした。まず少し高めの宿に行き、風呂を借りる。この世界で風呂は金持ちのもので宿にも高級なところにしかない。だがそういうところは金を払えば泊まらずに風呂だけ借りることができる。
そこでシェリーを洗った。奴隷だったためかなり汚れていたので全身くまなく洗った。髪が傷んでいたのはどうしようもなかったが王都にトリートメントに近い何かがあったら絶対に買おうと思う。


それから着るものだ。シェリーに似合うやつを買わなければならない。だが可愛くしすぎると余計なウジ虫どもナンパ野郎が寄って来るので程々にだ。それからチョーカーも買った。契約奴隷は問題ないけど犯罪奴隷は街では白い目で見られることがある。だから犯罪奴隷であることを隠すために首の奴隷紋を隠すことにしたのだ。
本当は奴隷紋を消したかったのだが余程のことがない限り犯罪奴隷を解放してはいけないんだそうだ。


それから屋台を回って美味いものを食わせてやることにした。何を食っても嬉しそうな顔をするので買った甲斐があるというものだ。

思わぬ出費だが後悔はない。ただ王都に行ったら出来るだけ早く依頼を受けようと思う。





そして出発の日

「ジョンさん、イースは楽しめましたかな?」
「ええ、美味しい魚を食べさせてもらいましたよ」
「お楽しみになられたようで良かった。おや、そちらはあの時の奴隷の子ですね?随分と見違えましたな」
「でしょう?」

集合場所で馬車に荷物の積み込みの指示を出していたティグさんと談笑する。シェリーの話題が出たところでここぞとばかりに自慢してやる。娘自慢は父親の特権だ。


「では行きましょう」

今回乗せてもらうのは俺たちとアイシスから一緒だった駆け出し風の冒険者、それから老夫婦だ。駆け出し風の冒険者はどうやら王都まで一緒に行くみたいだ。王都で一旗あげて有名になるんだと言っていた。若者らしい元気にちょっとついていけないが。



イースから出るといくつかの橋を渡る。イース周辺は川が多くて魔物も殆どいない。潜伏場所も殆どないので盗賊たちもいないのだ。
闇ギルドがあるのに盗賊がいるのかと思うかもしれないが闇ギルドは誰でも入れるものではない。入ろうにもまずギルドの場所がわからない。往来で闇ギルドはどこですかなんて聞けば衛兵を呼ばれるだけだ。俺は盗賊から聞き出せたが今思えば運が良かっただけだ。
そしてギルドの場所がわかったとしても最初の試験で落ちる奴が多い。落ちたやつは大抵殺される。ギルド員でもないのにギルドの場所を知っているとか問題にしかならない。


そうして冒険者としても中堅以上にはなれず、闇ギルドにも入れない、学のないやつは盗賊になるのだ。まぁ、余程上手くやらないと生き残れないが。



川が無くなりしばらく進むと森が見えて来る。ここから先は森林地帯だ。
次の街は木工と細工の街ユーレカ。周囲の森林地帯を利用して林業が盛んでさらにその加工も発展している。豊富な木を使いたい職人が集まるので細工も有名になったそうだ。







道中何事もなく進みあと1日ほどでユーレカに着く。
そんな時に魔物が現れた。魔物といっても魔の森の魔物と比べたらただの餌でしかないような魔物だ。狼の魔物でウルフという魔物。大型犬くらいの大きさの、、、まぁ普通の狼でしかない。
護衛の冒険者パーティーがめんどくせぇと腰を上げて相手をしようとした時に駆け出しの冒険者の少年少女が自分達が相手をすると言った。
まぁ、雑魚だしやらせてみるかと護衛達は話をしてやらせてみると、、、まぁ苦戦する。どうしてそんなにってくらい弱い。連携とかどうこう以前に個人個人が弱すぎる。剣士と盾持ちは魔物と接触する時目を瞑るし、魔法使いの少女も一番弱い魔法を出すのにとにかく時間がかかる。
そうしてやっとの思いで倒した後はお祭り騒ぎだ。さも大物を倒したと言わんばかりの大はしゃぎ。これは王都に行っても通じないとかそういうレベルじゃないくらい弱い。


護衛達もティグさんも可愛そうなものを見る目で少年少女を見ていた。因みにシェリーには俺の許可がない限り戦闘行為はしないように言ってある。俺は目立つつもりがなく、シェリーと静かに暮らしたいということを説明したらちゃんと理解してくれた。自分も薬草の勉強をすると主張するくらいウチの子はいい子だ。



「ギャァァアアア!!」
「イヤァァアアア!!」
「ウェェェエエエ!!」


今、キャーキャー騒いでいるのは護衛の冒険者達に解体をやって貰っているのを見ているからだ。彼等は解体すらやったとこがないらしい。素材もとらずにどうやって金を得るつもりなのだろうか。将来よりも頭の中身が心配になって来た。


「ティグさん」
「どうしました?」
「いえ、彼等、どういう素性の子なんです?」
「ああ」
ティグさんは困ったような感じの遠い目をしながら答える。
「知り合いの商人の子供達でね。以前冒険者が戦っているのを見て憧れたんだそうだ。それで冒険者になりたいと言い出してね、私は止めたんだけど、その、彼等の親は親バカでね。俺の息子に出来ないことはない!って自信満々に言って聞かないんだ」
うわぁ、商人なのに現実の見えてない奴もいたもんだ。

「で、どうするんですか?アレ王都で冒険者になったら絶対死ぬと思いますよ」
「私もそう思う。王都の冒険者ギルドは意外としっかりしていてね、分不相応なものに現実を教えてあげるくらいの優しさがあるんだよ」
「成る程」
実地で現実を教えようってことか。何というか王都の冒険者ギルド職員は大変だな。あんなのが集まって来るなんて。


「シェリーはあんな子になっちゃダメだぞ?」
コク
「出来ないものは出来ないし、無理して死んだら意味がないからな?」
コク
「シェリーがどうしてもって言うなら冒険者になってもいいけど」
フルフル
「俺と一緒に薬屋でいいか?」
コクコク

うん。ウチの子は超いい子だ。マジで可愛い。嫁にはやらん。



そうしてウチの子にダメな例少年少女を見せながら教育を施しながらユーレカに向かった。









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