【銃】の暗殺者

ヨナ




「おおぉぉおおお!!そう!これが異世界だよ!」
俺は目の前に広がる光景に興奮した。街の中を行き交う人々がとてもファンタジーだ。メジャーな金髪や茶髪はもちろんのこと緑色の髪やピンク色の髪までいる。黒髪はいないみたいだけど周囲の視線からして差別対象というわけではなさそうだ。

それに!

ケモ耳がいる!尻尾も生えているし、トカゲ?のような奴もいる。ツノが生えていたり、羽が生えている人もいる。これがファンタジーだよ!辺り一面木に覆われて出会う生き物は魔物だけなんて殺伐とした生活はもう終われなんだ!


俺は内心そんなことを叫びながら平静を装って街を歩く。辺境だって聞いてたけど結構な人がいるな。半分以上のやつが剣や槍を持っているから冒険者が多いんだろう。もしかしたら魔の森の魔物を狩ってその素材が産業の1つになっているのかな?



「んん、ここは市場か」
街に入ってからずっと大通りを進んでいたから賑やかだったがさらに賑やかなところに出た。八百屋や肉屋、果物屋なんかが並んでいる他、屋台も結構出ている。
早いとこ宿もとっておきたいし声をかけるか。
「どうも、お姉さん」
俺は果物屋のおばさんに声をかけた。正直におばさんというべきではない。女性が年齢を気にするのはどの世界でも共通だろう。
「やだね!お姉さんだなんて!何を買いたいんだい?」
上機嫌に俺の肩をバシバシと叩きながらおばさんが聞いてくる。
「何かオススメはある?今日この街に来たばかりなんだ」
「そうなのかい、じゃあリプの実がオススメだよ!これは魔の森でしか取れない果実だからね!」
そう言って赤い手のひらサイズの実を渡してくる。
「へぇ、じゃあこれを5個貰おうかな」
「毎度!銅貨5枚だよ!」
「はいこれ」
「たしかに、一つおまけしておくからね。また来ておくれよ」
「わかった。あ、そうだ。どこかいい宿ってないかな?」
「宿?それならこの先の小鳥亭がいいんじゃないかい?あそこは荒くれが少ないしね」
「行ってみるよ、ありがとう」
そう声をかけて果物屋を離れる。


「やっぱり子供として扱われるなぁ」
おばさんの口調を思い出しながらボヤく。まぁ、子供の方が親切にしてもらえるけどなんだかなぁ、、、

「ん、リンゴか」
リプの実はリンゴの味だった。サイズもスモモサイズで小さいから日本のリンゴよりも食べやすい。言われた通り道を進んでいくと宿屋街のような宿がいくつも並んでいる通りに来た。
どうやら宿にも色々種類があるみたいでお高そうなところもあれば居酒屋が併設された荒くれが集まりそうな宿もあった。ん〜、小鳥亭、小鳥亭っと、、、あった。


「ちわ〜」
「いらっしゃいませ!」
小鳥亭に入ると女の子が返事して来た。10代前半、宿の娘さんだろうか。
「お泊まりですか?お食事ですか?」
「ん、ああ、泊まりで」
宿と食堂もやってるのか。この世界では普通なのかな?
「お母さ〜ん!お泊りだって〜!」
女の子がカウンター?らしきところに叫ぶと奥から女の子と似た感じの女性が出て来た。
「いらっしゃいませ、お泊まりですね?朝と夜の食事付きで一泊銀貨2枚となっておりますが」
「あー、とりあえず二泊で」
「はい、銀貨4枚いただきました。こちらが鍵となります。お部屋は二階に上がりまして3番目のお部屋です」
「あいよ〜」
鍵を受け取った俺は部屋へ向かう。因みに鍵は木の板をはめ込むタイプのものだった。



「お、思ったよりも悪くない」
部屋は六畳くらいの広さでベットとクローゼットがあるだけだったが半年間森で野宿だった俺にはベットがあるだけでも素晴らしい宿だ。それに思ったよりも綺麗だ。なんかこう連れ込み宿みたいなところかと思ってた。
部屋も見たことだし、買い物に行くか。


「魔道具のお店?それなら西側の職人街の方にあると思いますよ」
カウンターにいた女性に魔道具の店について尋ねるとそう言われた。アイシスの街は大まかに東西南北に別れていて俺が入って来たのが魔の森に接する南門、西側が職人の工房が多くてそれに対応して武器屋なんかも多いそうだ。東側が呑み屋街で北には領主の屋敷があるそうだ。
俺は西側に行くことにした。


西側に行くともう既に日が傾き始めているというのにまだ鍛治の槌で叩く音が聞こえ、喧騒に包まれている。ざっと見た感じだと武器屋、薬屋、錬金屋?とかいうのもあった。錬金屋というのはどうやらポーションの類を売っている店らしい。
薬屋との違いは錬金屋は錬金術が使えないとポーションは作れないのでそう多くなくて薬屋は薬草からつくっているから普段利用されるのは薬屋なんだそうだ。錬金屋の主な客は高ランクの冒険者らしい。

薬とポーションの違いは即効性だ。ポーションは使用すればすぐに怪我が治るので薬よりも有用だがその分高価なんだそうだ。



「お、ここか」
「らっしゃい」
魔道具屋を見つけて入るとしわがれた声に迎えられた。カウンターのところには腰の曲がった白髪の老婆がいた。ローブを来ているので怪しい魔女みたいだ。
、、、、あ、この世界には魔法があるんだから魔女はいるのか。
「小僧、ここは魔道具屋だ。高価な物しかないよ。金はあるのかい」
「まぁ、そこそこね」
「ふん、ならいい」
それで客が来るのかと心配になる程接客態度が悪い。
「あー、旅に役立ちそうな魔道具といえばどれだ?」
「旅?ふん、色々あるよ。魔道ランプ、魔道ライター、お守りローブ、アイテムバック」
「ん、そのアイテムバックってのは」
「見た目よりも大きな容量があるバックだよ」
「買った」
俺は即決した。異世界の定番だし、大荷物を抱えての旅なんてできるわけがない。


「容量によって値段が違うよ」
「どんなのがある?」
「木箱が一つ分位で銀貨50、10個分くらいで金貨1、部屋一つ分くらいで金貨5、平民の家くらいで金貨50、貴族の屋敷くらいで白金貨1」
「おお、本当にピンからキリまであるな。じゃあ金貨5枚で」
「ほら。金が出来たらまた来な。ガキだろうが金があれば客だよ」
さっさと出てけと言わんばかりの態度で追い出された。まぁ、物は手に入ったからいいか。使用方法が書かれた紙がついてるのか。
えっと、入れる時には普通に押し込んでやればよくて出す時には手を突っ込んで取り出したいものを思い浮かべればいいと。何を入れたのか忘れたら大変だな。


「あー、アイテムバックが手に入ったから明日は残りの金を回収してくるか。それに盗賊のアジトに残ってた武器を出来るだけ回収して売って金にするか」
明日の予定を考えながら宿に戻った。

「あ、おかえりなさい。えっと、、、」
「ジョンだ」
「ジョンさん。食事にしますか?」
「ああ、頼む」
俺は食堂らしき所のテーブルに座る。

「はい。これが今日の食事です」
出て来たのはパンとスープとステーキだ。
「これはなんの肉?」
「今日はなんとワイルドボアですよ!」
ボア、、、猪か。まさかあの黒い猪か?やっぱりアレが食事で出るほど簡単に狩れるような冒険者がゴロゴロいるのか。異世界人怖ェ、、、
「うまいな。誰が作ってるの?」
スープもうまいし、肉も柔らかい。パンは少し硬いけどスープをつけて食べれば問題ない。半年ぶりのまともな食事に涙が出そうだ。
「私のお父さんです!」
「じゃあ家族でこの宿をやってるんだ」
「そうなんです!」
「偉いな」
「えへへへ」
女の子は照れたようにはにかむ。

「そういえば名前を聞いてなかったな」
「私はルルですよ」
「そうか、よろしくな、ルル」
「はい!」
ルルは嬉しそうに返事をした。もしかしたら宿の手伝いばかりで友達がいないんだろうか。これからは優しくしてあげよう。


そんなことを考えながら眠りについた。

ベット最高〜!!!!






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