【銃】の暗殺者

ヨナ

情報収集




「ひぃぃぃぃいい!!た、助けてくれ!」
「それはお前次第だな。と、まぁ、話をする前に服をよこせいつまでも全裸は嫌だ」
「は、はぃぃいい」


盗賊を殲滅した俺は最後の1人とOHANASIすることにした。本で知識入れてるけど人から聞くのは重要だと思う。ついでに服の調達も。


盗賊のアジトは結構な大所帯だったためそれなりに服があった。下着のパンツと布の服の上下を着る。一応簡素な胸当てをつけて腰に剣をぶら下げる。他の奴に【銃召喚】のことがバレないようにカモフラージュだ。


「いいか?俺がお前に質問する、お前が答える、それだけだ。簡単だろ?逆にお前が質問することはない、わかったな?」
「は、はい!」
俺は壁際に盗賊を立たせて少し離れて話を聞く。映画なんかだと額に銃を突きつけて話を聞く奴があるけど銃は遠距離武器なんだから接近するのはアホのすることだ。



「まず一つ、この場所について教えろ。国、領、街だ」
「は、はい!ここは世界で一番南にあるデリシス王国のハート辺境伯領です!一番近い街は最果ての都市と呼ばれるアイシスです!」
ふむ、本の情報通りか。
「では次にお前達の事を話せ」
「俺達はジギル盗賊団でこのハート辺境伯領ないでは最大の結構有名な盗賊団、、、、でした。俺達のお頭が『暴れ鬼』のジギルって呼ばれていてメチャクチャ強い人でした。元は冒険者だったみたいなんすけど問題を起こして追放されたって聞きました!」
『暴れ鬼』、、、二つ名って奴か。カッコいいな。


「んん、で、なんであの馬車を襲ってた」
「あの馬車には辺境伯の娘が乗っていたんです。それを拉致するつもりでした。普段は商人の馬車とかを襲って商品や金を奪うんですけど今回は違いました。お頭が何処かから依頼されて辺境伯の娘を拐えれれば大金が入るって事でした」
おうおう、きな臭くなってきたな。
「ほう?そういうのはよくあるのか?」
「時々あります。貴族達は後ろ暗い事を俺達みたいな連中に依頼することもあります。普通は闇ギルドに依頼するんですけど誰にも知られたくないときは盗賊に依頼することがあります」


「それじゃあ、お前はなんで盗賊になった」
「お、俺は小さい村の農民の家の出なんだ。毎日毎日朝早くから畑を耕してる生活が嫌になって一攫千金を夢見て街に出て冒険者になったんだ。でも戦いなんてした事なかったからうまくいかなくてなかなかランクも上がらなかったんだ」
冒険者にはG〜Sのランクがある。ランクが高ければ難易度の高い依頼を受けれて報酬もいい。逆にランクが低ければ生活も苦しくなる。冒険者は完全に実力社会なんだ。
「その生活の苦しい時にお頭に誘われて盗賊になったんだ。Fランクだった俺が毎日酒を飲める生活を送れるんだ、なんの迷いもなく盗賊になった。俺たちのほとんどが同じような理由だよ」
一応身の上話も聞いてみたが正直どうでもいいな。同情の余地もなかったし。


「ふ〜ん、じゃあ最後の質問だ。闇ギルドにつなぎをつける方法を知っているか?」
「や、闇ギルド?」
「ああ」
「アイシスの闇ギルドなら知ってます!表通りのソルって婆さんがやってる薬屋から風邪薬を買うんです。その後、裏通りにある剣の看板がある酒場でエールを頼んで代金として風邪薬を渡すんです。そうすれば連れて行ってもらえるそうです」
「それはここにいた全員が知ってたのか?」
「違います、ほんの数人だと思います。俺はお頭が相棒だった人に話していたのを聞いたんです」
盗み聞きだと信憑性は薄いけど他に情報はないししょうがないか。


「ああ、色々教えてくれて助かった」
「じゃ、じゃあ助け」パンッ

「ンなワケあるか」
口封じは当たり前だろうがよ。


最後の1人を殺した俺は盗賊のアジトを漁る。資金の調達のためだ。
大所帯なだけあってそこそこの金があった。金貨が26枚に銀貨が84枚、銅貨が30枚に鉄貨が11枚だ。予想以上に多くてもちはこびが大変だ。しょうがないので各5枚くらいずつ持って他は途中の道に隠しておくことにしよう。


ああ、それから闇ギルドについて聞いたのは今後、闇ギルドに入って暗殺者でもやろうと思っているからだ。冒険者になることもできるがそうなれば確実に【銃召喚】のことがバレてしまう。この世界で俺しか持っていない技能なのだから隠すべきだ。
商人ギルドに入るのも考えたがやめておくことにした。日本の知識がある俺は日本にあるものを新しい商品として出せばそこそこに儲けられると思うが人の欲は計り知れない。ルーキーが大きく儲けたとあっては色々問題が起きるだろう。大金は問題を運んでくるからな。

だから闇ギルドにした。闇ギルドならその秘密体質上【銃召喚】を隠すこともできるだろうし、裏の仕事というのは案外儲かる。上手いこと繋ぎをつけられれば安泰だろう。
将来設計としては暫くアイシスで暮らしてこの世界の生活に慣れたら人の多い王都に行こうと思う。王都の方が仕事があるだろうし、人が多い方が目立たなくて済む。



これからのことを考えながら街道を馬車が来た方向に向かって歩くとデカイ街が見えた。

「いや、デカすぎねえか?」

街の周囲には外壁があった。その高さは確実に5メートルはあるだろう。魔の森と近いから外壁がデカイのだろうか。外壁の上には兵士らしき人が立っているしアレは見張りだろう。やはりこの世界の人にとっても魔物は脅威なのか。


街にたどり着いた俺は門に向かう。門には門番らしき兵士が立っていた。

「おう、お前さん1人か?」
「そうだが」
「1人で旅は危ねえだろ、親はどうした」
どうにも子供1人で外から来た俺を怪しんでいるみたいだな。子供といっても俺は既に15歳なんだが、日本人は幼く見えるっていうからしょうがないのか。ともあれうまいこと言わないとな。

「父さんも母さんも既に死んだ。もともと3人で旅をしていたんだけど魔物にやられた」
「そ、そうか。悪いことを聞いたな」
「いや、いい。もう半年も前のことだ」
申し訳なさそうにしている門番にそう返しながら俺はコイツが心配になる。こんな適当な嘘で騙されるとか詐欺にあいそうな奴だな。


「あー、身分証はあるか?」
「いや、魔物から逃げている時に無くしてしまった」
「そうか、ならこれに手を当ててくれ」
そう言って水晶のようなものを出してくる。
「これは?」
「これは指名手配犯とかがわかる魔道具だデカイ街なら必ずある」
「そうか」
俺が水晶に触るが特に反応はなかった。
「よし、通っていいぞ」
「ありがとさん」


俺はこうして異世界に来て半年、ようやくはじめての異世界の街にたどり着いたのだった。






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