真祖への転生

MooN

新たな旅


ヴァン「眠りましたね」

ルナリア「ではヴァン、貴方は情報収集を私とミストはお嬢様の警護をそれでよろしいですね?」

ヴァン「勿論です、お嬢様が起きた際に情報の有る無しではだいぶ違いますからね」

ルナリア「それと、貴方は能力値がまだ低いのですから、お嬢様のスキル、吸奪吸血で高めておきなさい」

ヴァン「承知しておりますとも、それでは行って参ります」

ヴァンは柩を取りだし、自らの血をその中へ注ぐ、これでいつでも転移で戻って来られる、ヴァンはお城を出て、まずはミカヅチを頼ろうと、道中で出会えれば良し感覚で旅を始めた。

ルナリアは今までにミルシェが食べた果物の中で美味しいと言っていた全ての種を撒いて、果樹園を作り始めていた。

ミストはミルシェの眠る柩の上で、自身も眠りについていた。

~二十年後(sideヴァン)~

ミカヅチ「だいぶ様になって来たんじゃないか?」

猫耳青年「くそ!まだ父さんには敵わないのか!」

ミカヅチと別れてから三十年、彼は別れてから十三年経ったある日、魔物に襲われていた獣人達に出会った。

ミカヅチは直ぐに助けたが、最初は自分達より強い魔物よりも強いミカヅチに、獣人達は恐怖していた、必死に敵意が無いことを身振り手振りで伝え、漸く分かって貰い、成り行きで一緒に旅を始めた。

一年が過ぎ、海を見つけミカヅチが魚の取り方を見せて教え、魚の取れるこの付近に村を作る事になった。

更に一年が過ぎ、ミカヅチは獣人達に知識と護身する為のすべを教え、言語を統一させる事に成功した、その二年後に、猫耳の可愛く料理の上手い女性獣人と結婚し、息子のミヅキと娘のミカヅキの双子・・・そう、ハーフの子供を授かったのだった。

ミカヅチ「まだ13だろう、そう焦るな、っと、そろそろ晩飯だな、ミヅキ帰るぞ」

ミカヅチ親子が帰った村の名前は‘’キョウゾンそん‘’だ、安直だとは思うが、分かりやすくて良いと、ミカヅチは気に入っていた。

ミカヅチ親子が村の門をくぐると村の皆が笑顔で挨拶を交わしていく。

村人「おっ!村長、今日も稽古かい?ミヅキ坊も大変だなぁ!十年前を思い出すぜ、村長は厳しくてよ~、まぁ、そのおかげで狩が出来るんだけどな!」

ミヅキ「俺はもう子供じゃない!」

ミヅキはそう言うと家に走って行ってしまった

ミカヅチ「・・・すまないな、あの年頃は何かと不安定だからな」

村人「あぁ、強くなりたい気持ちは、痛いほど分かるんだけどなぁ、早まっちゃあいけねぇよ」

五年前のある日、狩りに出ていたミカヅチの留守中、魔物に村が襲われた、その魔物は直ぐに倒されたが、真っ先に狙われたミヅキを母が庇い目の前で殺された、その時のトラウマがミヅキに力を求めさせていた。

ミヅキは家に入り扉を力任せに閉じる。

ミカヅキ「ちょっと!扉が壊れるでしょ!それに、帰って来たら、ただいまだってお母さんが言ってたでしょ!」

ミヅキ「うるさい!母さんはもう居ないんだよ!」

ミカヅキ「えっ?・・・どうしたのミヅキ?」

ミカヅキが困惑していると、再度扉が開く

ミカヅチ「ただいまミカヅキ・・・ふぅ、ミヅキ、今日は飯を食べたら直ぐに寝ろ、明日からは更に厳しくしてやる、だからあまり馬鹿な事は考えるなよ」

ミヅキは無言でミカヅキが作ってくれていた魚料理を頬張り、「上手くなったな、ご馳走さま」と小さく呟くと自分の部屋に入って行った。

ミカヅチ「本当だな、段々母さんの味に似て来た」

ミカヅキ「直ぐに追い付くわよ!・・・ねぇ、お父さん、ミヅキはこれからもずっとあのままなのかな?」

ミカヅチ「トラウマって言うのは複雑でな、乗り越えるべきなんだろうが、人によっては背負ってでも前に進む者もいる、だがその場合は歪な心や性格になりやすい、心が壊れやすくなるんだ」

ミカヅキ「どうしたら、乗り越えられるの?」

ミカヅチ「・・・ミヅキの場合はまず‘’力‘’の意味を知らなければならない、力とは腕自慢だけでは無いことを教えねば」

ミカヅキ「そう言えばいいの?」

ミカヅチ「言葉では心が納得しないんだ、例えばミカヅキが母さんより料理が上手くなったとするだろ?それでもミカヅキがまだ上手くなってないと思っていれば、誰が上手いと言おうと無駄なんだ、自分が納得出来ないんだからな」

ミカヅキ「確かに・・・頑張るけど、お母さんの味ってもっと優しかった気がするもん」

ミカヅチ「そう言うことだ、ミヅキは今、力を求めてる、腕っぷしだけの力をな」

翌日、ミヅキの特訓を終えたミカヅチはミヅキに用があるから先に帰るように言うと、とある人物に助力を求める為に数㌔離れた‘’町‘’へと足を運んだ。

ヴァン「人の成長とは早いものですな」

まだまだ町と言うには足りない物が多すぎるが、建物が建って行くに連れ、安全な場所を求める者達がちらほらと集まり始め、一人また一人と、町ができて二十年で気付けば百万を越えていた。

ミカヅチ「そうだな、まさか人種関係無しに集まると、こうも人口が増すとはな、色々と面倒もあったが、ヴァンの助力のおかげで悪い事にはなっていないしな」

ヴァン「それで、今日の頼みとは?」

ミカヅチ「うむ、俺の息子の修行を見て貰いたいんだ、俺ももう50になった、体がもう前の様にはいかない、一年だけでも良い、息子に本当の力を教えてやって欲しいんだ」

ヴァン「良いでしょう、そろそろ他にも町や村が出来ている頃でしょうし、私はその町や村を見て回ろうと思っています、なのでその旅に息子さんを同行させましょう、そうですね、大体七、八年と言った所でしょう、問題はありますか?」

ミカヅチ「寂しくはなるが、息子の為だ、よろしく頼む」

こうしてヴァンとミヅキの旅が始まった。

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