真祖への転生
呆気ない終わり
ルーシャ「ちょっと!ミルシェが食べられたわよ!?」
ルナリア「それでは、引っ張りましょう!ルーシャ様もお願いします!」
ルーシャ「だ、大丈夫なの?」
疑問に思いつつもルーシャは言われた通りに血鎖を掴むと・・・
ルーシャ(改めて見ると、糸って感じがしないわね?触り心地も鉄って感じ?・・・赤いし、もしかして・・・血?・・・そんなわけないわよね?)
更に疑問を持ったルーシャだがルナリアから合図が来る!
ルナリア「それでは!せーの!」
今は目の前の事に集中しようと、ルーシャは疑問を後回しにし、ルナリアの掛け声と共に力一杯血鎖を引っ張った。
ミルシェを食べる為に海から中空へ跳んでいたオメガロドンは、二人の力に為す術べなく引っ張り上げられた。
ルナリア達の後ろの木を薙ぎ倒しながらオメガロドンが着地する!
ルナリア「やりました!」
ルーシャ「ミルシェはどうなったんだ?」
ルナリア「ルーシャ様、鮫の口元をよく御覧になって下さい」
そう言われ、口元を見るとそこには真っ赤で棘が付き、ヒビ割れた球体が刺さっていた。
ルーシャ「あれは?」
ルーシャが問いかけると
ルナリア「お嬢様~!もういいですよ~!」
ルナリアがミルシェに聞こえるように声を上げた・・・すると更に棘が伸び、痛みに堪えられなかったオメガロドンが大きく口を開ける、その隙に球体に穴が開き、中からミルシェが飛び出した!
ミルシェ「ヒビが入ったの初めてだよ!怖かった!本当に食べられるかと思った!・・・ルナリアのばーか!」
ルナリア「そろそろ慣れたらどうですか?(お嬢様は簡単には死にません!恐怖心を忘れろとは言いませんが、もう少し耐性を付けて頂かなくては、動きたい時に動けなくなりますよ?)」
ミルシェ(あと数十年でなんとか・・・)
ルーシャ「ミルシェ!よく無事だったな!それにあの球体はなんだ?・・・って、濃い血の匂い?っ!ミルシェ怪我してるんだろう!どこだ?見せてみろ!」
ミルシェ「へ?・・・(あぁ、私の血晶結界の匂いで勘違いしてるのかな)」
ミルシェの新たなスキル血晶結界とは・・・自身の周りに血で出来た水晶の結界を張ることが出来る、血の量に応じて、硬さや形を変えられる。
ミルシェ「大丈夫、大丈夫!何ともないよ!」
そう言って自らに魔法で血を洗い流し魔法で服を乾かすミルシェ
ミルシェ「ほら!傷、ないでしょ?」
ルーシャはミルシェの全身を眺めて触った後、漸く「大丈夫そうだな」と言って解放してくれた。
そんな二人の背後では、陸地に上げられても活きが良いオメガロドンとその攻撃を楽しそうに捌くルナリアの姿があった。
オメガロドンは陸地に上げられ、ミルシェを吐き出した後、近付いて来たルナリアを見て恐怖を感じ、瞬時に身体に水の刃を纏い回転し始めた、それを見たルナリアは氷で剣を作り、水刃の回転に一当てした、少し剣に刃こぼれが出来たがこれ位なら大丈夫だろうと、当てた感触より少し強めの力で再度当てると水刃が削れた、それを何度も水刃を避けながら当て、避けながら当てを繰り返した・・・結果オメガロドンのマナが底をつき水刃が無くなった。
その後は悲惨だった、ルナリアは回転に合わせて氷剣をオメガロドンの鮫肌に押し付けた、速さが速さだった為、何十回転もしてしまったオメガロドンが痛みで漸く止まった時には、既に鮫肌はズタズタに切り裂かれた後だった。
ルーシャ「容赦ないな・・・」
隣でミルシェが「ルナリアだもん」と呟くと、「みたいだな」と納得するルーシャ、そんな二人を他所にルナリアは傷付き動けないオメガロドンを笑顔で捌いた後、空間へとしまっていた。
・・・・・・
ルーシャ「その、感謝する!何も出来なくて残念だったが、海が平和になったなら些細な事だろう、それと魚が欲しくなったら、これを吹け!」
ルーシャは腰にぶら下げてあった法螺貝を差し出す
ルーシャ「これを吹けば私に届く様になっている、問題が無い限り早めに魚を届けてやろう!」
ミルシェ「えと、ルーシャの寿命とかって聞いても良い?」
ルーシャ「?マーメイドに寿命は無いぞ?・・・それにミルシェもそうだろう?」
ミルシェ「え!?」
ルナリアは直ぐにルーシャの背後に回り喉元に氷剣を当てる!
ルーシャ「わー!!待って待って!!そうじゃないの!別に何もしないよ!だから殺さないで!」
ルナリアは「冗談です」と言って
ウフフと笑い出した。
ルーシャ「心臓に悪い・・・えっと、ミルシェ達ってヴァンパイアなんだろ?そりゃあ、前世でヴァンパイア何て言ったら、残酷で傲慢で怠惰な奴らだったさ!けどミルシェ達は違うって分かるよ!・・・だからその、と、友達になってやっても良いよ?」
顔を赤くしながら強がるルーシャ
ミルシェ「あはは、(ルシェルより一言多いけど同じ事言ってる)うん!友達になってよ!」
ミルシェは笑顔で答えた
ミルシェ「でも何処でわかったの?」
ルーシャ「特殊な糸が鉄臭かったのと、赤くて濃い血の匂いのする球体、最後にミルシェを触った時、マーメイドでも無いのに体温が低かったから」
ミルシェ「体温かぁ、今度から気を付けなきゃ!」
まだまだ危機管理が甘いと思い直すミルシェだが、前世で弛みきり、今生でヴァンやルナリアに何だかんだ甘やかされているミルシェに危機管理が身に付くのは一体いつになるのだろうか。
そしてミルシェは魚の準永久の供給源が確保出来たと喜ぶのだった。
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