真祖への転生

MooN

取り敢えずの精神で

魔物の群れを退け終え美紀とドラゴンは互いを見つめあっていた。

美紀「・・・」

ドラゴン「・・・」

美紀(何これ?やる気はないみたいだけど凄く気まずいんですけど!)

ドラゴンは変な空気になったなと思いながらも頭を下げて『前の世界』の言葉で「すまなかった」と喋った。

美紀「!・・・喋ったのかな?頭を下げてるってことは謝ってるのかな?てことはやっぱり知識があるって事だよね?」

美紀は取り敢えず右手を前に出して握手を求めてみた。

ドラゴンは握手を求められた事がわかり人差し指?を美紀の前に差し出し握手に応じた

握手に応じたドラゴンに自分の考えが当たっていた事がわかった美紀は嬉しくなった
・・・が言葉が通じない事には意志疎通ができないと思った美紀は少し考えて取り敢えずはこのドラゴンから言葉を習う事に決めた!

美紀(うん!時間は十分にあるからね!それくらいなんてことないはず!思い立ったが吉日!)

そう思った美紀は身振り手振りで言葉を教えて欲しいとドラゴンに伝えた

ドラゴン(ふむ?言葉を教えて欲しいのか?成る程、握手の事は驚いたがやはり我とは違う世界からの転生者のようだな、言葉を覚えたなら謝らねばならぬな)

意志が伝わった事を伝えるために頷くドラゴンを見て喜ぶ美紀は
取り敢えず文字を書いて貰い
取り敢えず言葉を文字通りに発して貰った。

~1日後~

ドラゴン「取り敢えずはこれで一通りは話せる様にはなったな」

美紀「うん!大体大丈夫だと思う!教え方もそうだけど、私の記憶力にも驚きだよ!ありがとねドラゴンさん!」

ドラゴン「うむ、覚えが速くてこちらも助かったな・・・さて改めて先日はいきなりブレスを吐いたことを謝罪しよう」

美紀「本当だよ!こっちは意志疎通できるかもー?って思ってドラゴンだけど勇気をだして声かけたのにさぁ!」

ドラゴン「ヌゥ、仕方あるまい、いきなりだったのもあるがここは誕生してまもない世界なのだ、秩序も何もない!それに、そちらの言葉もわからず大声で威嚇しているのかと思ったのだ」

美紀「こんなに可愛い声なのに?自分でもびっくりしてるほどだよ?・・・はっ!もしかして顔?吸血鬼だから人間味があると思ってたけど実は目が鋭くて怖いとか?実は魔物みたいな見た目だったり?」

ドラゴン「・・・それは我には判断ができんな、元の世界でも我はドラゴンであったからな、お主の種族は見たこともなかった」

美紀「人間とかは居なかったの?」

ドラゴン「話には聞いていたが興味が無かったものでな見たことがない」

美紀「そっかぁ、鏡が欲しいけど・・・あるはずないしなぁ・・・って!やっぱり転生者だったの?」

ドラゴン「ん?あぁ、やはりお主もそうであったか・・・我は前の世界で寿命を迎えた後に女神に転生されると聞き、それならばと真祖にして欲しいと頼んだのだ」

美紀「やっぱりね!そうだと思ってた!真祖ってなんかカッコいいわよね!ちなみに私は真祖の吸血鬼よ!」

ドラゴン「聞いたことはあるな、確か血を吸う・・・あぁ!だから我や他の者共に噛みついていたのか!血を吸う為だった訳だ、我の肌は硬くて助かったようだな血を吸われてはたまらん」

美紀「まぁ、過ぎたことは置いといて、誕生して間もない世界って事だけど?ドラゴンさんはいつからここに?」

ドラゴン「大体はお主と変わらないであろうな、女神には誕生したばかりとしか聞いてはおらぬ、転生直後は幼体ではあったが周りに脅威となり得る者もおらず自由に歩いていたのだ、そしたらお主に逢った、歩き始めて大体5~6時間と言った所だな」

美紀「・・・(それで幼体?)・・・っは!てことは私と変わらないのね?魔物が居るみたいだけど、やっぱり人も居るのかな?」

ドラゴン「さてな?居るには居るが我らと同じく真祖として1人しかおらぬのではないか?」

美紀「人間の真祖?・・・アダムとイヴ?それともお猿さん?・・・ってまって!?じゃあ町というか村とかができるのにはあと何年待たなきゃ・・・」

ガクッと崩れ落ちる美紀
うわ言のように「何にもない世界で何千何万年フフフ・・・」と呟いていた

ドラゴン「・・・取り敢えず、すまなかったな・・・まぁ、なんだ人が居ないからと言って悲観するな食い物なら魔物?だかを食べられるし、力にもなる!我も速く成体になり、飛べるようになればこの世界を見て回り、拠点を作っておかなければな、そこで子を産み集落でも築こうと思っておる」

美紀「・・・ドラゴンさんはメスだったの?」

ドラゴン「うん?真祖のドラゴンには性別などはない、自らの力を分け与え卵を産むのだ」

美紀「そうなんだ・・・ってそうよ!人間を見つけたら知識を与えるんだ!そうすれば人間は勝手に成長していって普通よりも速く私の妄想通りになるはず!」

美紀は立ち上がり取り敢えず魔物を狩って強くなり
そして人間を見つけたら知識を与える
この二つを目標に定め前へと歩き始めた。

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