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転生しました。本業は、メイドです。

岡パンダ

ー11ー

「(コソコソ) お嬢様、この状況はいったい……。」



「(コソコソ) わたしにもわからないわよ!」



「どうしたの?せっかくお菓子を持ってきたんだから食べようよ。」





今私とお嬢様の目の前には、皇太子殿下であるリカルド・ウィルヘルム様がニコニコしながら座っています。

それはもう素敵な笑顔で。。




どうしてこんな展開になったかというと、

まずは昨日の夜に遡る。


お嬢様の部屋に土産話を聞きに行った私は、お嬢様からリカルド皇太子殿下と友人になったと聞かされた。



「お、お嬢様、リカルド様とご友人になられたんですか!?」


「ええ、あっという間にかくかくしかじか気がついたら友人関係になってたのよ。」


「すごい急展開ですね。。しかも二人きりで庭園をご覧になったなんて…………夢ですかね……。」


「メル……私もこんなことになるとは思わなかったわ。でも現実よ。あと、リカルド様はとても素敵な方だったわよ!最初は無愛想だったけど。」


「そうですか、それは良かったですね。では、次お会いするのが待ち遠しいですね。」


「うん、あの、それでね。リカルド様がメルに会いたいらしくて、今度遊びに来るって。」


「え。」


「でも事前に連絡くれるって。」


「いや、でも、あの、」


「メル落ち着いて。大丈夫よ。リカルド様ならきっとメルを受け入れてくれるに違いないわ!それに事前に連絡くれるって言ってたし準備もできるわ!」


「お嬢様……。はい、わかりました。事前にご連絡頂けるなら大丈夫ですね。」


「そうよ!連絡が来たら、粗相が無いように準備しましょう!」


「そうですね、そうしましょう。あと、話は変わるのですがお嬢様、言葉遣いがいつものヤンチャな感じに女性らしさがプラスされましたね。」


「あ!そうなの!パーティーに行ったら他のご令嬢達が友人同士で話してるの聞いてね、私ももう12歳だし令嬢の友人が出来た時の為に見習おうと思って!」


「素晴らしいですね!さすがお嬢様です!」


「ふふふ、これでバッチリよ!」


「はい、ご友人を沢山作りましょうね!」


「ええ!でも一番はメルよ!」


「まぁ!お嬢様ったら~!」


「うふふ~」






ーーーーーー翌日ーーーーー




「メル、お嬢様宛に王室からお手紙が届いたの。ウィングバードが届けに来たから急ぎだと思うわ。お嬢様に届けてくれるかしら。」


ウィングバードって速達用の伝書鳥ぢゃないか。


「はい、かしこまりました。すぐ届けます。」


フリージアさんから手紙を受けとると早足でお嬢様の部屋に向かう。

王室から急ぎの手紙なんて一体どんな用だろう。またパーティーの招待状か?いやいやスパンが短すぎるし急ぎの手紙では送って来ないだろう。ぢゃあなんだ?

そういえばゲームでもなんかよく手紙が届いてたな。攻略対象と仲良くなってくると手紙が届くんだよねぇ。あれはキュンキュンしたなぁ。。

他愛の無い内容だったり「会いたい」とか「会いに行くよ」とかキュンキュンする内容だったり……。

………会いに行くよ……?


この手紙もしかして、例の事前連絡ってやつぢゃ……。


ーコンコン

「お嬢様、メルです。」


「どうぞ~。」


「失礼致します。お嬢様、王室から手紙が届きました。例の事前連絡ではないかと思うのですが。」


「なんですと!」


お嬢様は私から手紙を受け取ると急いで手紙を開け、私にも見えるように広げた。


「急ぎの手紙って事は明日とか明後日に来ちゃうって事かしら。」

「ですと今からおもてなしの準備をしないとですね。」

二人で話しながら手紙を見るとそこに簡潔な文章がサラッと書かれていた。









ーー本日の正午過ぎにそちらに伺います。

        リカルド・ウィルヘルムーー











「「本日!?」」


二人の声が屋敷中に響いた。








ーーそしで現在に至る。


「リカルド様、それにしても驚きましたわ。昨日の今日でいらっしゃるなんて。」


「ごめんね。でも事前に連絡するって行ったでしょ?」


「そう…ですわね。でもできれば今度から数日前にご連絡いただきたいです……。」


手紙を読んだ私たちは、他の使用人達と共に最低限のおもてなしの準備を急ピッチで行った。

旦那様とクラウド様は朝からお仕事と学園で不在。奥様も今日は貴族の婦人会で不在。

一応旦那様には伝えて頂く手配をしたが、驚かれるだろうな。。


それにしても昨日の今日でもう訪問とは……。


本来なら昨日のパーティーではリカルド様と挨拶をして面識を持つだけで、2回目、3回目のパーティーで親密度を上げて友人関係になり、そこから手紙のやり取りしたり、またパーティーに行ったりして一定値以上に親密度を上げると庭園イベントが発生するというのがゲームのリカルド様ルートだったはずだ。

なんかめちゃくちゃすっ飛ばしてるな。

この世界のリカルド様心開くの早くない?

チョロルドなのか?


うーん、私が死ぬはずだった場面はもう少し先だけど、事前に、暗殺を企んでた貴族潰したりちょこちょこ都合がいいように変えてるのが影響しているんだろうな。あとはこの世界のお嬢様が魅力的過ぎるからだな。きっとそうだ。


よし、そういうことにして、今はせっかく巡ってきたこの親密度アップイベントに全力を注ぎましょう。ふふふふふ。



「リカルド様、ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありません。グランベール家のメイドを務めております。メルでございます。」


「宜しく。本当に僕と同じ翡翠色の瞳をしているんだね。右目は視えないの?」


「はい、傷もある為隠しております。お見苦しくて申し訳ありません。」


「大丈夫、僕はそういうの気にしないから。」


「ありがとうございます。」



メルは家の中から出ないし、リカルド様が家に来るようになるのはメルが死んでからなので、出会ってどんな反応されるか不安だったけど、さすが攻略対象……懐が大きいな。

最初お出迎えした時も怖がる様子は無かったし。


「良かったら王室の医師に診てもらわないかい?傷を目立たなくできるかもしれないよ?そしたら、シルヴィアと一緒に出掛けられるのでは?」

な、なんて優しい心遣い!


「お心遣いありがとうございます。ですが、お断り致します。せっかくお申し出頂いたのに大変申し訳ございません。」


「理由を聞いても?」


「深い理由はございませんが、あえて申し上げるなら目付きの悪い瞳が二つになれば威力が倍増してしまうので少しでも隠しておきたいからですかね。いくらニコニコしていても、常にという訳にはいきませんので。あとは、結婚願望もありませんし、このままでも問題ございません。」


我ながら微妙な理由だなぁ。理由聞かれると思わなかったから考えてなかったわ。


「本当にそれだけ?」


え、やっぱり断る理由には弱すぎたか……。

どうする私。


「口を挟んで申し訳ありません、リカルド様。私もメルが容姿を気にして私とお茶会やパーティーに行けない事が少し寂しく感じるのですが、それ以上に私のお土産話を楽しみにして帰りを待っていてくれているメルに、沢山お土産話をするのが好きなんです。メルが待っていてくれるからお茶会もパーティーも楽しもうと思えるのです。なのでメルがいいと言うなら、私はこのままで全然構いません。」


キュン。お嬢様……好きです。


「あぁ、ごめんね、別に無理強いするつもりは無いんだ。メルが必要ないならいいんだよ。意地悪したみたいでごめんね、メル。」


「いえ!滅相もございません!お嬢様も申し訳ありません。」



「ううん、メルは悪くないわ。リカルド様、申し訳ありません…。」


「謝らないで、君たちは悪くないよ。もうこの話はおしまいにしよう。それより君達に興味が湧いたからいろいろ話聞かせて?」


好感度上げるどころか亀裂が入りそうだったけど、リカルド様の懐の大きさでなんとか持ちこたえられたみたいだ…よかった。

でも、ゲーム通りの『ちょっと腹で何考えてるか分からない系完璧王子』っぽいな。

ゲームでも今どのくらいの親密度なのか目に見えて分かるシステムではなかったから難しかったんだよねぇ。。リカルド様は特に。。

だって笑顔で話してくれるようになってからあまりに変化が無さすぎて上がってるのか下がってるのか分かりにくいんだもんなぁ。


ということは、ここからが勝負どころという訳か……。




「へぇ、そうなんだ。それで?」


「はい!それでですね!メルがーー」


リカルド様は聞き上手だなぁ。お嬢様がすごく楽しそうだ。

まぁ、今日は楽しくお話しできればいいか。

作戦はまたゆっくり考えよ。



ーーーーーーー



「あぁ、楽しかった。そろそろ帰るよ。」


「わたしも楽しかったですわ!でもわたしばかり話してしまって申し訳ありません。」


「ううん、僕が聞きたいって言ったんだから気にしないで。また続きを聞きにくるよ。」


あ、サラッとまた来るって言いましたね。親密度アップしたかな。



「はい、お待ちしております!」


「あ、準備とかそんな堅くしなくていいからね。お菓子は僕が持ってくるし、ティーセットだけ用意してもらえれば。友人の家に遊びに来てるだけなんだし。ね?」


「でも……。」


「おねがい。」


「!!」


小悪魔ぁぁぁぁ!!お嬢様わかりますわかります!顔が赤くなるのわかります!私もです!


「……わかりました。」


あざとすぎるだろリカルド様。


「ふふ、ありがとう。あ、玄関まででいいよ。でわ、またねシルヴィア。次は明後日に来るね。」


「え?」


え?私とお嬢様の目が点になる。


「さっき聞いたメルのシフォンケーキが食べたいな。楽しみにしてるねメル。」


「!?」

バッとお嬢様の方を見るサッと顔をそらされた。

いつのまにそんな話を!!


「メル?」

「……はい、かしこまりました。心よりお待ちしております。」

有無を言わさぬこの笑顔。。傷の治療断ったの実は根に持ってるんぢゃ……。




ーーバタンッ。


「帰ったわね。」


「お帰りになられましたね。」


二人でシルヴィア様の部屋に戻り今日あったことを振り返る。


「いたのは三時間くらいだったけど、朝から準備とかもあったし、ドッと疲れたわね。授業無くなったのは嬉しかったけど。」


「そうですね。疲れましたね。明後日の分も先生方にキャンセルの連絡をしなくてはいけませんね。」


「ええ、宜しくね。」


「はい。」


お嬢様はベッドに仰向けになり、私はテーブルの上を片付ける。


「ねぇ、メル。怒ってる?シフォンケ「怒ってますよ。」」


「ですよねぇ……。だってさ~いろいろ私達の事聞いてくるからその流れでシフォンケーキの話題になっちゃったんだもん。『メルといえばシフォンケーキ』だし!」


「勝手に決めないで下さい。」


「大丈夫よ!リカルド様もメルのありのままのシフォンケーキが食べたいはずよ!」


あんなペチャンコのシフォンケーキを王族に出せるはずがない。なんとかするしかないぢゃないか。


「お嬢様、ご夕食までまだ時間がございます。お声かけに参りますので、少しお休み下さいませ。」


「え、メルはどうするの?」


「私はこれからやらなくてはいけない事がありますので。」


私はいつもの笑顔をさらに笑顔にして言った。


「………無理しない程度にがんばって。」


お嬢様のその「どうせ無理なんだから諦めればいいのに」の顔やめてください。


私は絶対に諦めない……。メイドの誇りにかけて、私は絶対にこの窮地を乗り越えてみせる。


さぁ、いざ行かん!調理場へ!




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