魔女の図書館

風見鳩

 魔女の図書館がある、という噂はこの町に住んでいるのなら誰もが一度は話を聞いたことがあるだろう。
 魔女。
 魔法を使う女。
 人を食べるとも言われている。
 図書館があると言われている森は住民に恐れられ、誰も近づかない。
その為、噂の真偽は未だにわからないままである。
 周りがそう言っているからそうなのであろう――そうやって誰も噂が本当かどうかを確かめようとする人は誰もいなかった。
 誰一人として、である。
 そんな謎めいた魔女の噂。
それに僕が興味をもったところから物語は始まる。
 始まる。
始まったからには前へと進む。
未来も。
出来事も。
物語も。
魔女も。
僕も。
前へ前へと進む。
それは後戻りが出来ないこと。それは立ち止まれないこと。それは不確定なこと。
しかし、始まったらきっとどこかで終わりはある。
突然的に終わる。
必然的に終わる。
望んでなくても、願っても、どうなろうと。
始まりがあるから終わりがある。
魔女の噂も始まったからには。
 終わりもあるという事である。
 それは決して、誰一人、止めることが出来ない。
 例え魔女であろうと。
 さあ始めよう魔女の謎を。
 さあ終わろう魔女の真実を。
 僕はページを次へと進める。

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