魔法世界の例外術者《フェイク・マジック》 - 魔力とは無力である -

風見鳩

●夏休みといえば:特別夏期講習「魔法学講座3」

「久しぶりだね、生徒諸君。
「ちゃんと夏休みを満喫しているかい?
「え? 何で夏休みなのに、授業があるのかって?
「そりゃ、もちろん夏期講習だよ。
「いくら夏休みとはいえ、君たちは勉強が本業なんだからしっかりと勉強しないとね。
「ほら、そこ。めんどくさそうに溜息しない。
「今回は社会――主に公民についての勉強だよ。
「ケンジくんは歴史だけじゃなくて、公民も苦手なんだっけ。
「彼もこの夏期講習に呼ぶべきだったなあ。
「まあどうでもいいか。
「では理事長による、特別夏期講習を始めるよ。
「ちゃんと聞いてなきゃ、駄目だよ?

「1990年。二人の天才科学者によって発見された魔法という技術。
「この発見された魔法を中心に社会は大きく変化していったんだ。
「魔法を利用した日用品を始め、家具のほとんどが魔法に関係するような新しい商品が多く生まれ。
「車いす、自転車に限らず、車、バス、電車、船、飛行機などの乗り物もエネルギー源が魔法となっていった。
「ほら、今まさに私が使っているこの仮想ノート板がそれだよ。
「これは専用のペンで書くとその板に文字を書くことができるんだ。
「色も多数あるから、結構便利なんだよね。
「で、ちゃんと専用の消しゴムのようなものもあるよ。
「さらに会社も変化していく。
「そうして、世界中に魔法という技術を中心に時代は今の時代まで進歩してきた。
「そう、戦争をそそのかす、軍事力にもね。
「ただ――発展していくと同時に、失った技術もある。
「ガスも水道も電気も必要としない時代だからね。
「それに関連する会社はほとんど潰れていってしまった。
「得るものがあれば失うものもある。
「昔の技術を全て断ち切るような影響力を持っている。
「それが魔法という最も危険な技術さ。

「まあ当然、みんなも疑問に感じてることがあるだろう?
「そう、犯罪面だ。
「これは人間がこの世界でいる限り、耐えることのない行為。
「それが魔法という技術を利用することで、さらに大変になるだろう。
「そのことを見越してか、魔法は法律の方まで影響されていったんだ。
「警察の増員、警備体制の強化……これも魔法技術を用いることで、以前よりも犯罪数が減っている。
「ん? そんな警備だらけの社会、生きづらくないかって?
「いやいや、そんなことはないよ。
「だって、法を犯してなきゃ彼らは無害だ。
「ただの、私たちと同じ人だからね。
「何もしなきゃ、別に普通だよ。

「後は……ああ、そうだ。戦争についてだ。
「日本は法律により、戦争をしないと宣言しているけど、世界全てがそうであるかと聞かれると、そうとは限らない。
「人は圧倒的な力を得た時、支配したくなるような生き物だからねえ。
「むしろ日本の方が異常だと言ってもいい。
「普通は領土取りの戦争にと、変化するものだよ?
「まあそんな話はどうでもいいよね。
「今の戦争状況だよね。
「近隣の国で言うと、韓国とか北朝鮮、中国だね。
「彼らはお互いの領土を奪おうと対立していたりする。
「ヨーロッパの方も戦争はしていたみたいだけど、今は落ち着いているかな。
「いくら軍事力に発展していったとはいえ、何年も経った後じゃそこまで目立つようなことはないね。
「特に日本は無縁だ。
「ちなみに近隣国が今尚も戦争中なのに、日本が戦争をせずに無事でいる理由は……まあ、言わなくてもわかるよね。
「アメリカの力というのは偉大だ、と再認識されるよ。
「つくづく頭が下がる。
「まあ私は下げないけどね。

「最後に……この軍事力は義務教育で学ぶようにされている。
「いわば、護身術だね。
「それがいつもやっている魔法学の実践授業だよ。
「武力がないと何かと物騒な世の中だからね。
「ん? 私が常に『魔法は武力だ』と言っているのは護身術を徹底的に教え込むためなのか、って?
「そうそう、よく気がついたね。
「もちろん、君たちの安全を第一に、が私の教育方針だからね。
「嘘じゃないよ。

「さて、今回はここまで。
「みんなちゃんと聞いていたかな?
「それとも、暑くて集中できなかった?
「まあ、理由はともあれ、今日の講義もしっかりとノートにとっておくようにね。
「じゃあ夏休みを楽しんでね。
「号令を――」

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