魔法世界の例外術者《フェイク・マジック》 - 魔力とは無力である -
第一種目「魔法体育祭3」
「はい、飲み物」
「悪いな……」
座り込んでる俺は京香に渡された水を飲む。
「っていうか、最後のアレはどうしたの? 急に魔法陣が消えたように見えたんだけど……」
「そのまんまだ。魔法陣は消えたんだよ、魔力切れのせいで」
「魔力切れ?」
マジックデバイスの弱点の一つ……それは魔法をいつ何時無制限に使えないところである。
マジックデバイスには魔力エネルギーがあり、そのエネルギーを使って魔法を発動する。
そしてそのエネルギーが無くなるとマジックデバイスは使えなくなってしまうのだ。
つまり消費魔力が高い魔法を使用すればするほど、エネルギーが減る、ということだ。
「なんでそれをもっと早く言わないのよ!」
「い、いや、すまん……」
と、激昂する京香に素直に謝る。
いや、これでも何回か言おうとしたんだぜ? ただ、その度にタイミングが悪くて……。
まあこんなこと言っていてもただの言い訳にしかならないだろう。
「で、そうしたらどうすればいいのよ?」
「魔力を補充すればいいんだよ。『もう一つの』例のモノで」
* * *
さて、それでは俺が研究所に倒れていた時の二つの道具の、二つ目を紹介しよう。
というのもメインはマジックデバイスで、二つ目の役割はバックである。
サブとは少し違う。使う用途がマジックデバイスの全面支援なのだから。
「って、魔導式コンピュータじゃない、これ」
と、京香は“それ”を見ての第一印象を言った。
うん、俺もそう思っているところはある。
「でも少し違うわね。なんかすっごい薄いし……」
「まあ、少なくともこの形の魔導式コンピュータは見たことがないな」
折りたたんであるA3サイズの“それ”の上の部分を持ち上げ、電源ボタンを押す。
起動画面を映し、やがて不思議な起動音と共に画面が展開された。
俺は引き出しからコードを取り出すと“それ”とマジックデバイスにそれぞれ繋げる。
「何よそれ」
「魔力を補充する為の物だよ」
「ふうん……」
京香はジロジロと今度はそのコードを見始める。
「っていうかこのコンピュータに書かれてる“USB”って何よ。USAの親戚?」
「仮にそうだとしたらそのBはなんだよ」
「ブラジルか、文京区ね」
「合衆国じゃねえし、そもそも二つ目は国ですらねえぞ」
「っていうかUSAの親戚なわけないじゃない。馬鹿じゃないの?」
「お前が先に言い出した事だろうが!」
ちなみにマジックデバイスが完璧に補充できるまで三時間近くかかる。
その間、特にする事がないので、京香は暇そうに(また勝手に)冷蔵庫からコーヒー牛乳のパックを取り出してソファーに座って飲み始める。
「京香ってさ。コーヒー牛乳が好きなのか?」
「? ええ、そうよ。それがどうしたの?」
「いや、意外だなあって思って」
「甘いものは全般的に好きね。コーヒー牛乳なら毎日飲んでいてもいいわ」
「太るぞ」
「うっさい! 牛乳にもカルシウムがあるからきっと栄養価もあるわよ!」
「それでも、上は平らのままなんだな……」
「あ゛ぁ?」
「すまない、悪かった」
ギロリと睨み、魔法陣を展開する京香に俺は慌てて両手を挙げる。
「ふん、何よみんなして平らだのぺったんこだの。私もいずれ大きくなるわ。そう、優梨のように!」
「そ、そうか……」
「あの子知ってる? 結構あるのよ!」
「いや、それは知ってるが、そんな大声で言うもんじゃねえぞ……」
「え、何で知ってるの?」
「お前らが毎日パジャマで俺の部屋に来るからに決まってんだろうが!」
毎日、というところに注目が欲しい。おかげで何故か自分の部屋に優梨や京香のモノがちらほらと転がっているようになったのだ。
「え、何? 毎日、優梨をそういう目で見てるの?」
「いや、それは仕方がないというか……」
これは男として仕方がないものではないのだろうか。
「という事は私にもそういう目で見てるの!?」
「いや、お前は特にそういうのはないというか……」
「何よ、馬鹿にしてるの!?」
「そういう目で見られたいのか見られたくないのか、どっちなんだよ!」
* * *
「ケンジくん、いいところに!」
「ん、優梨か」
一旦、部屋を出て夕食までの間、何をしてようかと女子寮のロビーへと向かっていくと、さっきの噂の子――柏原優梨がこっちに向かってブンブンと手を振っているのが見えた。
と、その優梨の隣に京香や優梨より更に小さい女子がいるのに気がつく――いや、京香や優梨の身長は小さいじゃなくて性別的には平均以上らしいから京香や優梨が小さいってわけじゃないか。まあこの子は明らかに小さいけど。
肩まで伸びている黒いショートヘアーで紫色の瞳をしている少女。顔立ちとか、京香にやや似てるな……。
そして何より特徴的なのが腰に下げている日本刀である。
「紹介します、同じクラスの吉岡 実里ちゃんです!」
「えっと、吉岡実里です」
「志野ケンジだ。よろしく」
お互い軽くお辞儀をする。
「というか優梨ちゃん、紹介したい子、ってこの男の子だったの……?」
「いえ、ケンジくんもですが他の人にもですよ」
ふむ、どうやら京香たちにもこの子を紹介したいのか。
「ふうん、まあどうでもいいけど」
と、当の紹介される吉岡は興味なさげである。
「君、志野くんだっけ?」
「ああ、そうだが」
「違いますよ実里ちゃん。ケンジくんです」
「いや、あってるからな!?」
横から口出しする優梨に俺は思わず突っ込む。
「ふうん、君がし……ケンジくん、か」
俺の名前を呼ぶ際に優梨をチラリと見てから、下の名前で呼ぶ。
「えっと、吉岡は俺の事を知ってるのか?」
「違いますよケンジくん。実里ちゃんです」
「どこも間違ってないよ、優梨ちゃん!?」
横から口出しする優梨に吉岡は思わず突っ込む。
「まあ、優梨ちゃんと話している時に何回か聞いた事があって。どうやら私とケンジくんが似ているようだから」
「俺とよし……実里がか?」
どうせ、また優梨に口出しされるんだろうなと優梨をチラリと見つつ、実里と呼ぶ。
「はい、そっくりさんです!」
「「……いや、どこが?」」
と、俺と実里の正直に答える。
当然だ、外見とか黒髪以外、全然違うじゃねえか。
「私はこんな胡散臭そうな人じゃない」
「俺はこんな危なっかしそうなやつじゃない」
「失礼だな、君は!」
「お前こそ失礼じゃねえか!」
と、言い合う俺たちに。
「ほら、なんとなく似ているじゃないですか、雰囲気とか」
「「だから、俺は(私は)こんな失礼なやつじゃない!」」
優梨の台詞にビシッと交互に指差す俺と実里。
いや、初対面で「胡散臭そう」だなんて、失礼だろ。
「とりあえずその鬱陶しい前髪を切りなさい!」
「お前こそ、その危なっかしそうな刀を持ち歩いてるんじゃねえよ!」
「……何だかケンジくんが二人いるみたいです」
ポカンと見ている優梨。俺はそんな優梨を見て、脱力する。
「はあ……疲れた、もういい」
「初対面でこんなに疲れる相手は初めてだよ……」
と、お互いにため息をつく。
「あ、そうそう! 実里ちゃんは私と一緒に魔法闘技大会の団体戦に出るんですよ!」
「え、優梨も出るのか?」
そういえば優梨の出る競技を聞いてなかった。
意外な選択肢だったので俺は少し驚く。
「はい! ケンジくんも京香ちゃんと一緒に出るんですよね!」
「ああ、そうだが」
「なら私達と戦うかもしれませんね!」
「まあそうかもな」
しかし、優梨が戦う姿か……とてもじゃないが、いつもの雰囲気じゃ想像もつかないな。
「じゃあこの辺で! 行きましょう、実里ちゃん!」
「おう、また後でな」
「…………チッ」
「お前は、舌打ちするな!」
夕食。いつもの三人で席を取り、いつも通りに食事する……のだが。
「…………」
「……あの、京香?」
京香はこちらをじっと見ているのに、気になって俺は京香を見る。
「何かついてるのか?」
「いや、今日会った実里っていう子、ケンジに似ていたなあって」
「お前もか。全く似てないからな?」
「そういう反応も似ているわ」
「…………」
もし――もし仮に優梨たちと戦う事になったら。
まずは実里を倒そうと心に誓った俺であった。
* * *
「やあやあケンジくん。体育祭の練習の方はどうだい?」
体育祭まであと僅かとなったある日、俺は放課後の教室で宮代瑠美絵理事長に声をかけられていた。
「あ、どうも……。えっと、まあ順調といえば順調、かも」
ちょうど今、その練習に行こうとしていたところである。
俺の答えに、理事長は満足そうに頷く。
「そうかい。で、もちろん優勝を狙うつもりだろう?」
「まあ、はい。そのつもりです」
別に勝ったらどうこうなるとかそういうわけではないのだが、だからと言って負けてもいいわけではない。
要は負けるのが嫌いなだけだ。
「ふふ、本当に君は負けず嫌いなんだね」
「……まあ、悪いことではないですよね?」
「うん、常に前を向いて歩けることはいいことだよ。そんな負けず嫌いのケンジくんだけに」
スッと理事長が目を細める。
「Aクラスとして優勝した時の報酬を差し上げよう」
「え、いや、別に……」
別にそういうのはいらない。大体、自分が欲しいものなんてほとんどないし。
そう言おうとしていたが、理事長の次の言葉によって考えが変わった。
「優勝した暁には――ちょっとした秘密を、一つだけ教えてあげよう」
「え――」
「君が知らない、志野ケンジくんという一人の少年の秘密を、ね」
「悪いな……」
座り込んでる俺は京香に渡された水を飲む。
「っていうか、最後のアレはどうしたの? 急に魔法陣が消えたように見えたんだけど……」
「そのまんまだ。魔法陣は消えたんだよ、魔力切れのせいで」
「魔力切れ?」
マジックデバイスの弱点の一つ……それは魔法をいつ何時無制限に使えないところである。
マジックデバイスには魔力エネルギーがあり、そのエネルギーを使って魔法を発動する。
そしてそのエネルギーが無くなるとマジックデバイスは使えなくなってしまうのだ。
つまり消費魔力が高い魔法を使用すればするほど、エネルギーが減る、ということだ。
「なんでそれをもっと早く言わないのよ!」
「い、いや、すまん……」
と、激昂する京香に素直に謝る。
いや、これでも何回か言おうとしたんだぜ? ただ、その度にタイミングが悪くて……。
まあこんなこと言っていてもただの言い訳にしかならないだろう。
「で、そうしたらどうすればいいのよ?」
「魔力を補充すればいいんだよ。『もう一つの』例のモノで」
* * *
さて、それでは俺が研究所に倒れていた時の二つの道具の、二つ目を紹介しよう。
というのもメインはマジックデバイスで、二つ目の役割はバックである。
サブとは少し違う。使う用途がマジックデバイスの全面支援なのだから。
「って、魔導式コンピュータじゃない、これ」
と、京香は“それ”を見ての第一印象を言った。
うん、俺もそう思っているところはある。
「でも少し違うわね。なんかすっごい薄いし……」
「まあ、少なくともこの形の魔導式コンピュータは見たことがないな」
折りたたんであるA3サイズの“それ”の上の部分を持ち上げ、電源ボタンを押す。
起動画面を映し、やがて不思議な起動音と共に画面が展開された。
俺は引き出しからコードを取り出すと“それ”とマジックデバイスにそれぞれ繋げる。
「何よそれ」
「魔力を補充する為の物だよ」
「ふうん……」
京香はジロジロと今度はそのコードを見始める。
「っていうかこのコンピュータに書かれてる“USB”って何よ。USAの親戚?」
「仮にそうだとしたらそのBはなんだよ」
「ブラジルか、文京区ね」
「合衆国じゃねえし、そもそも二つ目は国ですらねえぞ」
「っていうかUSAの親戚なわけないじゃない。馬鹿じゃないの?」
「お前が先に言い出した事だろうが!」
ちなみにマジックデバイスが完璧に補充できるまで三時間近くかかる。
その間、特にする事がないので、京香は暇そうに(また勝手に)冷蔵庫からコーヒー牛乳のパックを取り出してソファーに座って飲み始める。
「京香ってさ。コーヒー牛乳が好きなのか?」
「? ええ、そうよ。それがどうしたの?」
「いや、意外だなあって思って」
「甘いものは全般的に好きね。コーヒー牛乳なら毎日飲んでいてもいいわ」
「太るぞ」
「うっさい! 牛乳にもカルシウムがあるからきっと栄養価もあるわよ!」
「それでも、上は平らのままなんだな……」
「あ゛ぁ?」
「すまない、悪かった」
ギロリと睨み、魔法陣を展開する京香に俺は慌てて両手を挙げる。
「ふん、何よみんなして平らだのぺったんこだの。私もいずれ大きくなるわ。そう、優梨のように!」
「そ、そうか……」
「あの子知ってる? 結構あるのよ!」
「いや、それは知ってるが、そんな大声で言うもんじゃねえぞ……」
「え、何で知ってるの?」
「お前らが毎日パジャマで俺の部屋に来るからに決まってんだろうが!」
毎日、というところに注目が欲しい。おかげで何故か自分の部屋に優梨や京香のモノがちらほらと転がっているようになったのだ。
「え、何? 毎日、優梨をそういう目で見てるの?」
「いや、それは仕方がないというか……」
これは男として仕方がないものではないのだろうか。
「という事は私にもそういう目で見てるの!?」
「いや、お前は特にそういうのはないというか……」
「何よ、馬鹿にしてるの!?」
「そういう目で見られたいのか見られたくないのか、どっちなんだよ!」
* * *
「ケンジくん、いいところに!」
「ん、優梨か」
一旦、部屋を出て夕食までの間、何をしてようかと女子寮のロビーへと向かっていくと、さっきの噂の子――柏原優梨がこっちに向かってブンブンと手を振っているのが見えた。
と、その優梨の隣に京香や優梨より更に小さい女子がいるのに気がつく――いや、京香や優梨の身長は小さいじゃなくて性別的には平均以上らしいから京香や優梨が小さいってわけじゃないか。まあこの子は明らかに小さいけど。
肩まで伸びている黒いショートヘアーで紫色の瞳をしている少女。顔立ちとか、京香にやや似てるな……。
そして何より特徴的なのが腰に下げている日本刀である。
「紹介します、同じクラスの吉岡 実里ちゃんです!」
「えっと、吉岡実里です」
「志野ケンジだ。よろしく」
お互い軽くお辞儀をする。
「というか優梨ちゃん、紹介したい子、ってこの男の子だったの……?」
「いえ、ケンジくんもですが他の人にもですよ」
ふむ、どうやら京香たちにもこの子を紹介したいのか。
「ふうん、まあどうでもいいけど」
と、当の紹介される吉岡は興味なさげである。
「君、志野くんだっけ?」
「ああ、そうだが」
「違いますよ実里ちゃん。ケンジくんです」
「いや、あってるからな!?」
横から口出しする優梨に俺は思わず突っ込む。
「ふうん、君がし……ケンジくん、か」
俺の名前を呼ぶ際に優梨をチラリと見てから、下の名前で呼ぶ。
「えっと、吉岡は俺の事を知ってるのか?」
「違いますよケンジくん。実里ちゃんです」
「どこも間違ってないよ、優梨ちゃん!?」
横から口出しする優梨に吉岡は思わず突っ込む。
「まあ、優梨ちゃんと話している時に何回か聞いた事があって。どうやら私とケンジくんが似ているようだから」
「俺とよし……実里がか?」
どうせ、また優梨に口出しされるんだろうなと優梨をチラリと見つつ、実里と呼ぶ。
「はい、そっくりさんです!」
「「……いや、どこが?」」
と、俺と実里の正直に答える。
当然だ、外見とか黒髪以外、全然違うじゃねえか。
「私はこんな胡散臭そうな人じゃない」
「俺はこんな危なっかしそうなやつじゃない」
「失礼だな、君は!」
「お前こそ失礼じゃねえか!」
と、言い合う俺たちに。
「ほら、なんとなく似ているじゃないですか、雰囲気とか」
「「だから、俺は(私は)こんな失礼なやつじゃない!」」
優梨の台詞にビシッと交互に指差す俺と実里。
いや、初対面で「胡散臭そう」だなんて、失礼だろ。
「とりあえずその鬱陶しい前髪を切りなさい!」
「お前こそ、その危なっかしそうな刀を持ち歩いてるんじゃねえよ!」
「……何だかケンジくんが二人いるみたいです」
ポカンと見ている優梨。俺はそんな優梨を見て、脱力する。
「はあ……疲れた、もういい」
「初対面でこんなに疲れる相手は初めてだよ……」
と、お互いにため息をつく。
「あ、そうそう! 実里ちゃんは私と一緒に魔法闘技大会の団体戦に出るんですよ!」
「え、優梨も出るのか?」
そういえば優梨の出る競技を聞いてなかった。
意外な選択肢だったので俺は少し驚く。
「はい! ケンジくんも京香ちゃんと一緒に出るんですよね!」
「ああ、そうだが」
「なら私達と戦うかもしれませんね!」
「まあそうかもな」
しかし、優梨が戦う姿か……とてもじゃないが、いつもの雰囲気じゃ想像もつかないな。
「じゃあこの辺で! 行きましょう、実里ちゃん!」
「おう、また後でな」
「…………チッ」
「お前は、舌打ちするな!」
夕食。いつもの三人で席を取り、いつも通りに食事する……のだが。
「…………」
「……あの、京香?」
京香はこちらをじっと見ているのに、気になって俺は京香を見る。
「何かついてるのか?」
「いや、今日会った実里っていう子、ケンジに似ていたなあって」
「お前もか。全く似てないからな?」
「そういう反応も似ているわ」
「…………」
もし――もし仮に優梨たちと戦う事になったら。
まずは実里を倒そうと心に誓った俺であった。
* * *
「やあやあケンジくん。体育祭の練習の方はどうだい?」
体育祭まであと僅かとなったある日、俺は放課後の教室で宮代瑠美絵理事長に声をかけられていた。
「あ、どうも……。えっと、まあ順調といえば順調、かも」
ちょうど今、その練習に行こうとしていたところである。
俺の答えに、理事長は満足そうに頷く。
「そうかい。で、もちろん優勝を狙うつもりだろう?」
「まあ、はい。そのつもりです」
別に勝ったらどうこうなるとかそういうわけではないのだが、だからと言って負けてもいいわけではない。
要は負けるのが嫌いなだけだ。
「ふふ、本当に君は負けず嫌いなんだね」
「……まあ、悪いことではないですよね?」
「うん、常に前を向いて歩けることはいいことだよ。そんな負けず嫌いのケンジくんだけに」
スッと理事長が目を細める。
「Aクラスとして優勝した時の報酬を差し上げよう」
「え、いや、別に……」
別にそういうのはいらない。大体、自分が欲しいものなんてほとんどないし。
そう言おうとしていたが、理事長の次の言葉によって考えが変わった。
「優勝した暁には――ちょっとした秘密を、一つだけ教えてあげよう」
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