魔法世界の例外術者《フェイク・マジック》 - 魔力とは無力である -
序章 - 魔力とは火力である -
「今日はこれくらいにしましょうか」
「そ……そうだ……な……」
私が魔法を解くと、目の前にいた男子はガクリと膝をつく。どうやら体力が限界だったようだ。
情けない……私は呆れた目で自分の友人を見る。
何で男子が女子に負けるのよ。……まあ、私と喧嘩して勝った男子は過去にいないんだけどね。
魔力もないハンデもありながらここまで頑張れるのは正直凄いとも思う。
「ふん、まだまだね。そんなんじゃ誰にも勝てないわよ」
しかし、思っていることと違うことをついついそのまま口走ってしまう。昔からの私の悪い癖だ。
「そうだよな……なあ、よかったら毎日じゃなくてもいいからこういう風に手伝ってくれないか?」
「まあ別にいいけど。……あと、やるならお風呂に入る前にしたら? 今も汗だらけで入った意味がないじゃない、馬鹿じゃないの?」
ちなみにこれは本当に思ったことである。
彼は言われて気がついたようで、「そうだな」と苦笑する。まったく……。
とはいえ、私も汗一つかかなかったわけではない。後でもう一回入ろうかな。
「じゃあ、とっとと寝るわよ」
「ああ、そうだ京香」
ズンズンとドアに歩いていこうとすると、あいつは私の名前を呼んで止める。
振り返ると、彼――志野ケンジはニッと笑う。
「付き合ってくれてありがとな」
「…………」
そんなケンジに私は無言でそっぽを向く。
――あんた、そんな風に笑えたのね。
という言葉が出せずに私は。
その屈託のない眩しい笑顔に――惹かれてしまったのだ。
私の顔は自分でもわかるくらいに火照っていた――ような気がした。
「そ……そうだ……な……」
私が魔法を解くと、目の前にいた男子はガクリと膝をつく。どうやら体力が限界だったようだ。
情けない……私は呆れた目で自分の友人を見る。
何で男子が女子に負けるのよ。……まあ、私と喧嘩して勝った男子は過去にいないんだけどね。
魔力もないハンデもありながらここまで頑張れるのは正直凄いとも思う。
「ふん、まだまだね。そんなんじゃ誰にも勝てないわよ」
しかし、思っていることと違うことをついついそのまま口走ってしまう。昔からの私の悪い癖だ。
「そうだよな……なあ、よかったら毎日じゃなくてもいいからこういう風に手伝ってくれないか?」
「まあ別にいいけど。……あと、やるならお風呂に入る前にしたら? 今も汗だらけで入った意味がないじゃない、馬鹿じゃないの?」
ちなみにこれは本当に思ったことである。
彼は言われて気がついたようで、「そうだな」と苦笑する。まったく……。
とはいえ、私も汗一つかかなかったわけではない。後でもう一回入ろうかな。
「じゃあ、とっとと寝るわよ」
「ああ、そうだ京香」
ズンズンとドアに歩いていこうとすると、あいつは私の名前を呼んで止める。
振り返ると、彼――志野ケンジはニッと笑う。
「付き合ってくれてありがとな」
「…………」
そんなケンジに私は無言でそっぽを向く。
――あんた、そんな風に笑えたのね。
という言葉が出せずに私は。
その屈託のない眩しい笑顔に――惹かれてしまったのだ。
私の顔は自分でもわかるくらいに火照っていた――ような気がした。
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