勇者な俺は魔族な件
第十三話 『黒竜』さん、一緒に踊りましょう
「ぐっ……っ!」
全てが熱く燃え上がる中、盾で耐える。
凄まじいブレスのせいか、右腕から血が飛び散ったが……。
まだ大丈夫、耐えられる。
やがて、炎のブレスが止んで黒煙が辺りを舞う。
「うっおっ!?」
と、横から何かが突進してきて、俺の体を上へと吹き飛ばした。
その際に、盾から手を離してしまう。
地上は遥か彼方に離れていき、そして地上から俺に向かって飛び出してくる黒竜。
「っ!」
防御を試みるが──ヤツの風魔法が発動しているのか、上手くバランスが取れない。
ならば俺も魔法で対抗しようとするが……。
「オオアアアアアアァァァァッ!」
黒竜の動きが速すぎるために、魔法攻撃は当たらなかった。
一応当たってはいるのだが、一切減速せずに上昇してくる。
──た、倒す……黒竜をか? 無理に決まっている! あれはSSS級魔獣でSS級冒険者十人分の強さを誇るんだぞ!
ふと、先程のガリウムの必死な台詞が思い浮かんだ。
なるほど、こりゃ無理って言われるのも当然だな。
「オオオオオォォォォォォォォォォォッ!!」
「ぐっ!」
迫り来る黒竜の牙。
両手でその牙を掴んで黒竜を抑える。
だが、口の奥から何かが燃え上がるのが見えて、回避しようと試みるが……。
駄目だ、遅い!
凄まじい音を立てながら、俺の体を炎が包み込む。
ブレスが終わり、自由落下する俺の体に向かって黒竜が頭突き。
ヒュンッと風を切るような音を鳴らしながら、俺は地面へと接近していく。
勢いがついたまま地面に接触してしまった為に、背中を強く打ってしまう。
まるでダンプカーにぶち当たったかのような衝撃が俺の全身を駆け巡った。
頭が揺さぶられるような感覚の中、バヂリと何かが光る。
次の瞬間、ズガァァァァンッ! と耳をつんざくような音と、俺の体を焼けきるような電撃がぶち当たる。
そして、ピクリとも動かない俺の前へと降り立つ黒竜。
ズシン、ズシンッと大地を揺らすような足音と立てながら、終わりとばかりに大きく口を開いた。
終わり、か……。
終わり……。
終わり、だと?
「これで、もう終わりなのか?」
近づいてくる頭を力強く掴むと、寝転んだまま黒竜を投げ飛ばす。
「随分とやわい攻撃ばっかじゃねえか、おい?」
俺はゆっくりと立ち上がると、地面に転がる黒竜を見据えた。
ふと疑問に思っていたのだ。
そういえば、ゲームの時にダメージを受けた時はHPバーが減るが、こっちの世界ではどうなるのだろうかと。
まあ、予想通りというかなんというか……ダメージを受けると、普通に痛みを感じるだけだったが。
それに比例して、俺の身体も化物みたいにあまり痛みを感じないってことがわかった。
落ちていた盾を体内に戻して大剣へと切り替えたところで、黒竜の方へと歩いて行く。
「わざわざ、隙を見せてたってのに……お前の実力はこんなものなのか?」
「オオオオオオォォォォォッ!!」
俺の挑発に答えるように、黒竜は大きく口を開けてブレスを放ってくる。
だが、もうそれは見切った。
俺は大剣を上段構えにすると、迫り来る炎に向かって大きく振り下ろす。
次の瞬間、炎は真っ二つに斬られた。
「ほら、来いよ! 俺はまだまだ動けるぜ!?」
そう言って黒竜に急接近していく。
すると黒竜は飛翔し始め、俺目掛けて一直線に突っ込んできた。
「はっ!」
普通なら、目で追えないような速さなのだが……。
「おせえんだよ!」
俺も飛び上がって、ヤツと対峙する。
その際に、一回二回三回。
大剣を黒竜の身体を削ぐように斬っていく。
「アアアアアアアアアアァアァァアアアァァァァァッ!」
この攻撃は効いたようで、黒竜の体からどす黒い血が流れ出していた。
「まだまだぁ!」
そのまま地面に倒れた黒竜を掴むと宙へ放り投げて、もう一度飛び上がる。
「どうだ、他の奴に空を飛ばされる気分は!」
腕を、脚を、腹を、胸を、翼を、尾を、顔を、目を。
目にも止まらぬスピードで斬っていく。
一分以内に百連撃出来る称号【神撃】を会得している俺は、更に加速出来る!
「ほら、反撃してみろよ! ほらほらほらぁっ!」
てっぺんまで行ったら、頭を蹴って下へと降りていき。
足元まで行ったら、足の爪を掴んで上へと昇っていき。
黒竜の身体を何往復もして、何度も斬っていく。
「はははははははっ! ははははははははははっ!! どうした、黒竜! もう終わりか!? お前はこんなものなのか!?」
斬って、斬って、斬って。
斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬ッテ斬ッテ斬ッテ斬ッテ斬ッテ──!!
「アアアアアァァァ!? アアアアァァァァアアアアアアアァァァァァァァッ!!」
墨汁のような血を何度も浴びながらも斬っていき、そして頭に向かって思いっきり振りかぶる。
メキャリという音を立てて、俺に投げ飛ばされてから約一分後。
ようやく黒竜は重力に従って地に落ちることができた。
そして当然のごとく、俺も地面へと落下していき。
「らぁっ!」
そのまま勢いをつけて、黒竜の腹めがけて大剣を突き立てた。
散々と傷つけた身体に深々と刃は侵入していき。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!」
大地を轟かせるような悲鳴を上げた後──黒竜は動かなくなってしまった。
「……ふう、また俺は成功してしまったのか」
俺は大剣を引き抜いて、ふと横たわった黒竜の上から周りを眺めてみると。
そこらじゅうにいた兵士たちは口を開けたまま、「信じられない」という表情で俺を見ていた。
「あー……」
ここで、ようやく俺は正気に戻る。
イライラしてたから、ストレスを発散させるためにやったのだが……。
どうやらその怒りのせいでようやく自分が犯したミスに気がついた。
「やっべ、やりすぎたかも」
全てが熱く燃え上がる中、盾で耐える。
凄まじいブレスのせいか、右腕から血が飛び散ったが……。
まだ大丈夫、耐えられる。
やがて、炎のブレスが止んで黒煙が辺りを舞う。
「うっおっ!?」
と、横から何かが突進してきて、俺の体を上へと吹き飛ばした。
その際に、盾から手を離してしまう。
地上は遥か彼方に離れていき、そして地上から俺に向かって飛び出してくる黒竜。
「っ!」
防御を試みるが──ヤツの風魔法が発動しているのか、上手くバランスが取れない。
ならば俺も魔法で対抗しようとするが……。
「オオアアアアアアァァァァッ!」
黒竜の動きが速すぎるために、魔法攻撃は当たらなかった。
一応当たってはいるのだが、一切減速せずに上昇してくる。
──た、倒す……黒竜をか? 無理に決まっている! あれはSSS級魔獣でSS級冒険者十人分の強さを誇るんだぞ!
ふと、先程のガリウムの必死な台詞が思い浮かんだ。
なるほど、こりゃ無理って言われるのも当然だな。
「オオオオオォォォォォォォォォォォッ!!」
「ぐっ!」
迫り来る黒竜の牙。
両手でその牙を掴んで黒竜を抑える。
だが、口の奥から何かが燃え上がるのが見えて、回避しようと試みるが……。
駄目だ、遅い!
凄まじい音を立てながら、俺の体を炎が包み込む。
ブレスが終わり、自由落下する俺の体に向かって黒竜が頭突き。
ヒュンッと風を切るような音を鳴らしながら、俺は地面へと接近していく。
勢いがついたまま地面に接触してしまった為に、背中を強く打ってしまう。
まるでダンプカーにぶち当たったかのような衝撃が俺の全身を駆け巡った。
頭が揺さぶられるような感覚の中、バヂリと何かが光る。
次の瞬間、ズガァァァァンッ! と耳をつんざくような音と、俺の体を焼けきるような電撃がぶち当たる。
そして、ピクリとも動かない俺の前へと降り立つ黒竜。
ズシン、ズシンッと大地を揺らすような足音と立てながら、終わりとばかりに大きく口を開いた。
終わり、か……。
終わり……。
終わり、だと?
「これで、もう終わりなのか?」
近づいてくる頭を力強く掴むと、寝転んだまま黒竜を投げ飛ばす。
「随分とやわい攻撃ばっかじゃねえか、おい?」
俺はゆっくりと立ち上がると、地面に転がる黒竜を見据えた。
ふと疑問に思っていたのだ。
そういえば、ゲームの時にダメージを受けた時はHPバーが減るが、こっちの世界ではどうなるのだろうかと。
まあ、予想通りというかなんというか……ダメージを受けると、普通に痛みを感じるだけだったが。
それに比例して、俺の身体も化物みたいにあまり痛みを感じないってことがわかった。
落ちていた盾を体内に戻して大剣へと切り替えたところで、黒竜の方へと歩いて行く。
「わざわざ、隙を見せてたってのに……お前の実力はこんなものなのか?」
「オオオオオオォォォォォッ!!」
俺の挑発に答えるように、黒竜は大きく口を開けてブレスを放ってくる。
だが、もうそれは見切った。
俺は大剣を上段構えにすると、迫り来る炎に向かって大きく振り下ろす。
次の瞬間、炎は真っ二つに斬られた。
「ほら、来いよ! 俺はまだまだ動けるぜ!?」
そう言って黒竜に急接近していく。
すると黒竜は飛翔し始め、俺目掛けて一直線に突っ込んできた。
「はっ!」
普通なら、目で追えないような速さなのだが……。
「おせえんだよ!」
俺も飛び上がって、ヤツと対峙する。
その際に、一回二回三回。
大剣を黒竜の身体を削ぐように斬っていく。
「アアアアアアアアアアァアァァアアアァァァァァッ!」
この攻撃は効いたようで、黒竜の体からどす黒い血が流れ出していた。
「まだまだぁ!」
そのまま地面に倒れた黒竜を掴むと宙へ放り投げて、もう一度飛び上がる。
「どうだ、他の奴に空を飛ばされる気分は!」
腕を、脚を、腹を、胸を、翼を、尾を、顔を、目を。
目にも止まらぬスピードで斬っていく。
一分以内に百連撃出来る称号【神撃】を会得している俺は、更に加速出来る!
「ほら、反撃してみろよ! ほらほらほらぁっ!」
てっぺんまで行ったら、頭を蹴って下へと降りていき。
足元まで行ったら、足の爪を掴んで上へと昇っていき。
黒竜の身体を何往復もして、何度も斬っていく。
「はははははははっ! ははははははははははっ!! どうした、黒竜! もう終わりか!? お前はこんなものなのか!?」
斬って、斬って、斬って。
斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬ッテ斬ッテ斬ッテ斬ッテ斬ッテ──!!
「アアアアアァァァ!? アアアアァァァァアアアアアアアァァァァァァァッ!!」
墨汁のような血を何度も浴びながらも斬っていき、そして頭に向かって思いっきり振りかぶる。
メキャリという音を立てて、俺に投げ飛ばされてから約一分後。
ようやく黒竜は重力に従って地に落ちることができた。
そして当然のごとく、俺も地面へと落下していき。
「らぁっ!」
そのまま勢いをつけて、黒竜の腹めがけて大剣を突き立てた。
散々と傷つけた身体に深々と刃は侵入していき。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァッッッ!!!」
大地を轟かせるような悲鳴を上げた後──黒竜は動かなくなってしまった。
「……ふう、また俺は成功してしまったのか」
俺は大剣を引き抜いて、ふと横たわった黒竜の上から周りを眺めてみると。
そこらじゅうにいた兵士たちは口を開けたまま、「信じられない」という表情で俺を見ていた。
「あー……」
ここで、ようやく俺は正気に戻る。
イライラしてたから、ストレスを発散させるためにやったのだが……。
どうやらその怒りのせいでようやく自分が犯したミスに気がついた。
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