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恋愛サバイバル〜卒業率3%の名門校〜

うみたけ

氷室・習志野組VS東海・浮島組~東海視点2~


「何が『勝負はこれからだろ?』だ!そんなの強がりに決まっている!」

 僕は目の前で不敵に笑う氷室辰巳を睨みつける。
 ――どうしてこんなに余裕でいられる!?リーチをかけて追い込んでいるのは僕達の方だぞ!!
 先程の3戦目の勝利で、通算成績は僕達の2対1。さらに、僕らの中で2番目に得点の高い手札を残してのリーチだ。
 一方、彼らは恐らく先程の1敗で彼らの中での序列3番目の手札を失った。 したがって予想される彼らの残り手札は、最高得点と4番目のテストの2枚。先程彼らが出したテストが『58点』だったことから、彼らの4番目が僕らの最低点を上回っている、ということはあり得ない。
 ――それなら、なぜ彼はこの状況でこんなに余裕そうなんだ……?いや、考えられるとすれば……!!

「…まさか、奴らはまだ3番目のテストを出してない!?」

 一つの可能性に思い至り、再度氷室を見やると…やはりそこには自信に満ち溢れたような顔があった。

 ――いや、待て!奴のあの態度が全てブラフだという可能性も……

「くそっ!追い込んでるのはこっちだぞ!」

 思わず、近くにあった机に八つ当たりしたところで、はっと我に返る。
 ――これじゃあ、氷室の思うつぼだ。

「とにかく冷静になろう…」

 心を落ち着かせようと、目を閉じ、大きく深呼吸。そして、目を開き、改めて思考を巡らせる。

 ――とにかく、現状有利なのは間違いなく僕らだ。
 僕がいくら考えたところで、確実に氷室達が次に出す手札を読むことは不可能に近い。
 だが、そんなことはどっちでもいいんだ。

「浮島さん、この4回戦…次はこっちの手札でいこうと思うんだけど…どうかな?」

 僕は浮島さんの方にすっと寄り、相手にばれないように注意しながら、自分の持っていた最後のテスト――僕らの最低点のテストを指さし問いかけた。
 そして、念のため、浮島さんが持っていたテストを受け取り、しっかりシャッフルした後、一枚を彼女に返した。
 そのまま放置していれば、氷室達と違ってそれぞれ自分のテストを持っている僕達は、所持している人によって手札の強さを予測されやすくなってしまう可能性があるからな…。

「私は誠一郎の判断を信じる。――私はあなたを信じてついていくと決めたから」
「ありがとう」

 この決断によって退学になるかもしれないというのに、一切の迷いもなく僕を信じてくれると言うパートナーに心から感謝しながら……

「僕達の選んだテストはこれだ!」

 僕は1枚のテストを机の上に勢いよく出した。
出した手札は……僕らの中の最低点のテストだ。
 もし、氷室達が彼らの最高得点の手札を出せば、4回戦では負けるが、高得点のテストを残している僕らは次の5回戦で確実に勝てる。
 そして、万が一相手が3番目のテストをまだ持っていて、この4回戦に出してきたとしよう。彼らの3番目のテストVS僕らの最低点……。氷室達にとって最高のシチュエーションだ。
 しかし、それでも僕らの勝利は揺るがない。なぜなら……

「彼らの3番目は僕らの最低点に及ばない」

 理由は二つ。
 一つは僕らの点数だ。僕らの最低点は70点。先程の対決で出した4番目の71点と大して変わらないのだ。
 そして、二つ目。それは僕らが施した習志野さんへの対抗策だ。
 可能性としてはかなり低い思っていたが、万が一、彼女のテストの出来がよく、僕らの5枚の手札の何れかよりも高得点だった場合に備えて、僕らは対策を講じていた。
 それは、習志野さんに対する『テスト勉強妨害』だ。
 しかし、ただ単純に彼女の勉強の邪魔をしていても家に帰られてしまったり、氷室が出張ってきたりしては意味がない。
 だからこそ、僕らはクラスメートを使い、全く逆のことをさせた。
――つまり、習志野さんの勉強を邪魔させるのではなく、勉強を教えさせたのだ。
 まず、彼らには『氷室君と習志野さんのため、力になりたい!』と言って彼らに接触させた。
 そして、『勝利のため』と言い、彼らには交代制で夜遅くまで習志野さんに勉強を教えてもらった。――勿論、テスト範囲外を教えたり、間違った解き方を教えたり、無駄に難しい応用問題ばかり解かせたりと、全く無意味な勉強しかさせていない。
 こうすることで、習志野さんは勉強した気になるが、実際は何も身についていない。極論を言えば、ノ―勉とほぼ変わらない。
 ただでさえ、頭が良い方ではない習志野さんがそんな調子で70点以上なんて獲れるはずがない。

「どうした、氷室?さっさと出しなよ」

 ――作戦は完璧のはずだ。
 僕は、さらに精神的に揺さぶりをかけるため、黙ってこちらを見ていた氷室を煽ってみる。
しかし……

「なるほど。何か企んでるみたいだが……正直負ける気がしねぇな」

 そう言って再び不敵な笑みを浮かべ…

「それじゃあ、俺達はこれでいく」

 自分の持っていたテストを自身に満ち溢れた表情で出した。

(――なんなんだ、あの余裕は!?……いや、ブラフに決まってる!)

「それじゃあ、お互いに場に出し終わったところで、オープンといこうか!」

 氷室が手札を出したのを受け、審判の葛西君が、どちらも場に1枚ずつセットしたことを確認する。
 そして……

「それじゃあ、両者、オープン!!」

 葛西君のコールと同時に互いに伏せていたテストを裏返す。

「……う、うそ…だろ…?」
「よしっ!!」

 方や茫然自失……方や渾身のガッツポーズ……。
 渾身のガッツポーズを披露したのは……僕達……ではなく、目の前にいる氷室と習志野さんの方だった……。

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