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恋愛サバイバル〜卒業率3%の名門校〜

うみたけ

宣戦布告 1


「…それにしてもすごい殺気がすごいな…」

 翌朝、習志野と共に登校した俺は自分の席に集まる、殺気が籠った視線をひしひしと感じていた。

「そうですか?言われてみれば皆さんなんとなくこっちを見ている気もしなくはないですが…」

 俺の横で習志野は小首をかしげる。――いや、っていうか…

「殺気が向けられてんのはお前なんだが!?」
「えぇ!?」

 俺はつい立ち上がって隣で他人ごとのようにしているロリ少女に指摘する。
 そう。今朝登校してきた時から感じている殺気(主に女子からの)はほとんどが俺ではなく習志野に向けられているのだ。――まぁ、理由は明白だが…

「普通気付くだろ!よく見てみろ!クラスのあちこちから送られてくるこの殺気を!!」
「ん?確かに視線は感じますけど…みんな幸せそうな私達をうらやんでいるだけじゃないんですか?」
「いやいや、こっち見てる奴らをよく見てみろ!睨みまくってんだろ!?あれをどう解釈したら羨望の眼差しに変換できんだよ!!」

 鈍感もここまで来ると特技だな……。
 俺がある意味規格外のメンタルを見せつける習志野に頭を抱えていると、不意に俺の前に複数の人影が現れた。

「ねぇ、氷室君!どうしてこんな奴とペア組んだの?」
「そうよ!こんなバカっぽい奴と組んでも卒業できないよ?」
「氷室君には似合わないよ~!」

 ふと声のする方に視線を向けると、そこには名前も知らない3人の女子生徒が立っていた。
 俺は便宜上彼女達の特徴を素に、向かって右から『巻き髪』『ムッチリ』『しゃっく』と名付けた。ちなみに最後の『しゃっく』はあごがしゃくれていることから命名させてもらった。

「…なんか用か?」

 俺は3人に素っ気なく返事をする。
 こいつらが来たのも周りで睨みを利かせている奴らと同じ理由だろう。――俺とペアを組みたがっていたが習志野に先を越されたから八つ当たりしているのだ。――まさかこんなところで人生初めてのモテ期が到来するとは!……まぁ、全員俺の『学力』と『生徒ポイント』狙いだけどな…。

「いやいや、だからさぁ。こんな役立たずとペア組むくらいだったらアタシ達と組もうよ!」
「そうそう!絶対そっちの方がいいって!!」

 …めんどうくせぇな。正直今フリーだとしてもこいつらとだけは組む気になれんな。
 無視してもいいが、言われっぱなしってのもな…。
なにより、習志野のちょっと落ち込んだような顔が鬱陶しい!!

「なぁ、あんたらさ。」
「なになに?」
「アタシらならいつでもOKだよ!」
「っていうか誰選ぶの?」

 あからさまに不機嫌オーラを出しつつ話したつもりなんだが…こいつらも鈍感系の人なの?もしかして今『鈍感系女子』って流行りなのか?

「いや、お前らさっきから習志野のこと馬鹿とか役立たずとかって言ってるけど、お前らはどうなの?」

 まぁ、今後こういう奴らの相手するのも面倒だし、こいつらには見せしめになってもらおう。

「はぁ?そんなの決まってんじゃん!まず、アタシらの方がカワイイし!」
「入試の順位だって、アタシら全員100位以内だし!」
「それにこんなお子様体型じゃなくて、ちゃんと胸もあるし!」

『巻き髪』『しゃっく』『ムッチリ』の順番で自信満々に答えた。…こいつら、マジか…。

「まず、お前。どう見ても習志野の方が見た目は上だ。客観的に見たらお前らなんて『中の下』ってところだろ。そんな見た目でよく自分のこと可愛いなんて言えるな。」
「なっ!?」

 まずは『巻き髪』が驚き、目を丸くする。

「それから、お前。確かに入試順位は習志野より上みたいだが、それだけだ。微塵も役には立たんし、むしろ邪魔にしかならんレベルだ。」
「はぁ!?」

 次に『しゃっく』が怒りを露わにする。怒った顔は彼女のアゴを一段としゃくれて見せた。

「最後にお前。正直胸の大きさでペアなんて決めないが、はっきり言ってお前はただ太いだけだ。肉の量はダントツで勝ってるが、トップとアンダーの差はほとんどないんじゃねぇの?」
「マジふざけんなし!!」

 最後に『ムッチリ』…改め『ブッチョリ』は完全にブチギレている。

「こんなところで自分達の醜さを露呈してるよりも真面目にペア組んでくれそうなうな奴探した方がいいと思うぞ?――まぁ、お前らなんかとペア組んでくれる酔狂な奴がいるかなんてわからんけどな。」

 そう言って鼻で笑ってやった。
 すると、3人は怒りで体を震わせながら、「ちょっと頭いいからって調子に乗ってんじゃないわよ!」「あんたなんてポイント以外何にも魅力ないのよ!」「あんたなんてこっちから願い下げよ!」と完全に雑魚キャラのような負け惜しみを吐いて去っていった。

「やっと行ったか…。」

 俺は3人が出ていったドアを眺めながら呟く。
 …周囲からの目が痛い。おそらく俺がこんなに性格悪い奴だとは思ってなかったんだろう。今までヒソヒソと悪口を言っていたであろうクラスメート達もすっかり静かになった。

「あ、ありがとうございます!!」

 ふと声のした方を見ると、習志野が頭を下げていた。

「本当は私が言い返さないといけないんですけど…。なかなか上手い言葉が出てこなくて…。でも、嬉しかったです!」

 習志野が頭を上げ、笑顔を向ける。こいつはやっぱりこういう笑顔が似合う。

「別に。俺が言いたいこと言っただけだし、大したことじゃねぇよ。」
「はい。それでも嬉しかったです!惚れ直しました!!」
「はいはい。」

 満面の笑みで恥ずかし気もなく無邪気に好意を伝えてくる習志野を軽くあしらいつつも、自分の顔が少し熱を帯びていることに気付いた。――『しゃっく』達相手に少し熱くなり過ぎたか…。

 そんなこんなで朝の騒動は幕を閉じた…と思われた。

「氷室君、ちょっといいかしら?」

 ふと後ろから声が聞こえ、振り返る。

「ん?なんだ?」

 振り返ると、そこには黒髪の巨乳少女――市川凛が立っていた。

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