新しい世界で今度こそ幸せをつかみたい

ゆたぽん

閑話(美容クリーム)

ギルドランクが上がる少し前のこと。

最近ではギルド職員の方も気軽に話しかけてくる様になり、毎日充実した日々を過ごしていた。

そんな時、いつものようにギルドに報告すると、窓口の受付嬢(エレナさん)がグイッと近づいてきて、小声で、

「あのね、マリーが最近肌の調子が良いって噂で、本人に聞いたらカミーユさんの美容クリーム使ってるからって言ってたのよ。
本当?うん…。えっ?やっぱり⁈うぅ…。マリーに上げてる分しかないよね…。
えっ?あるの!ほ、欲しいんだけど…。えっ!ただはダメよ!5000ゼル払うわ!」

と言われて、納品待ちしてる間にに一つ美容クリームを渡しておいた。
マリーさんは、調子が良いと言って定期的に購入してもらっている。本当はお金要らないと言ったが、マリーさんから、お金を払わないと使ってて申し訳ないから…。と同じ5000ゼルもらっている。

たぶんお金のこともマリーさんから聞いたのだろうと思って素直に受け取った。

エレナさんは嬉しいそうに美容クリームを受け取ると、マリーには無理矢理聞いちゃったけど、誰にも言ってないから!と言ってその場から立ち去った。
今日の仕事は朝までだったので帰ったら早速使うとの事。
何処でも女性は綺麗でいたいんだなぁと思いながら査定を待ち、報酬をもらってから私も立ち去った。

作って渡すのは別に良いのだけど、人数が増えるのは面倒になりそうだったので、マリーさんとエレナさんに後日、他に言わないで欲しいとお願いした。

2人とも今後は言わないと言ってくれたが、聞かれた何人かには言ってしまったようだ。
ただ、誰が作ったとは言わず、友達と言ってくれたとの事。なので、直接頼まれる事はないとの事。
なんでも、セルディでは生活魔法で化粧は落とせるから皮膚の状態も気にする人は少なく、貴族は日に焼けたくないとクリームを塗るんだとか。
それもシアバターの更に濃くしたようなもので、肌はしっとりと言うか、脂でテカテカになり、結局は生活魔法で落としてしまうようなものしかないのだそうだ。
それでも値段は高く何十万もするのだそうだ。

まぁ、それなら大丈夫と思い、もし商人から目を付けられたらこれを、とマリーさんにレシピを渡した。

「ち、ちょっとカミーユ!レシピって普通にポンって渡すものじゃないのよ!それなら商人の所にこれ持っていけば良いじゃない!目立ちたくない?…ボソっ、見た目で目立ってるのに…。そ、それならガロンでお店を構えているドランさんトコに行けば?あの人だったら悪い人ではないわよ?」

ドランさんは昔から教会にいる孤児たちの面倒を見てくれていて、奥さん共々良い人だとの事。
まぁ、もし言ってきたらドランさんに会いたいと話し、結果直ぐに会う事になってしまった。

「いやいや、どうも!ドランと申します。最近ギルドのエレナが綺麗になったともっぱらの噂で、仲のいい教会のマリーもって言う話で。それで、どうしても妻が調べ欲しいって言うので…。」

と、待っていた部屋に、中肉中背40代ぐらいの男性が入ってきた。
そして、事の経緯を説明してくれた。
どの世界でも奥様さんは強い様子で、頭が上がらないらしい。
元々ナビさんからこうなる可能性が高いと言われていたので、前もって考えていた話をした。

① レシピを渡すので生産販売してほしい事。

② 考案者の名前は言わないでほしい事。

③ 売上の一部を教会に寄付してほしい事。

ドランさんからこの条件は話が美味すぎてしまう。少なくとも、カミーユさんにも何割かお金が入るようにしないと!と言われた。
私はあくまで冒険者をしたく、商売をしたいわけではないので、丸投げしたいと話すと渋々受けてくれた。
ただし、売り上げが安定したら、定期的にギルドに振り込みします、と言われて、私はそんなに儲けないと思いわかりましたと答えておいた。

レシピの内容と、実物を数個置いていき、お金の話をした。
素材も採取の事も考えて一個10000ゼルとの事だった。
それと、どうしても蜂蜜を取りに行くのがネックみたいで、追い追い考えて行くとの事。

ドランさんからまた何か新しいこと思いついたら教えて下さいね!と言われたので、
素人の考えですが…。と話し作業を分担することにより効率的になるし、レシピも分かりづらくなると話した。

ふむ、それなら確かに…。とレシピを見ながら細かな作業分担の話をしておいた。
元々は契約するときにサインしてもらうが、更にこれなら大丈夫だろうとの事。
魔力が込められた誓約書を使う事により秘密の厳守が出来るそうだ。
今回の私とドランさんとの間にも誓約書を使った。
《誓約書を我に》とドランさんが言うと、空中から紙が一枚出てきた。
こっそり鑑定したら、用紙自体に魔力が込められており、違反した際のペナルティは契約者が決められる事になっていた。

魔力はどうやら女神様の魔力らしく、神様に誓うとのこと。

ドランさんが書いたのは秘密保持が出来なかった場合は、財産を全て没収となっていた。
事が大きすぎると言ったが、レシピをくれるのだから当たり前だと言われた。お互いに誓約書にサインをすると《誓約なされたり》とドランさんが言うと誓約書が空中に消えた。
これにより、誓約違反するとどこにいてもペナルティを受ける事になるそうだ。

ナビさんに話を聞いたところ、世界を作るシステムの中に誓約は組み込まれており、違反者は必ずペナルティを受ける事になっている。
ただし、命の危険があるような事はペナルティにならないようにしてあるとこのと。
主にお金や土地と言った財産をペナルティにする人が多いそうだ。

それと、美容クリームには混ぜる順番はあるが、そこまで難しくはない。だからこそ、この誓約書を人を雇う時に書いてもらい、生産販売して行くとの事。
誓約書自体は何枚書いても大丈夫なのだと言う。
今回は残念ながら奥さんは出かけていて、会えなかった。またの機会にと話し家を後にした。

暫くするとガロンの女性が綺麗になったとの噂が広がり、町外れに工場が増えていった。
そして美容クリームと言ったらガロンのドラン商店とまで言われるようになった。


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