新しい世界で今度こそ幸せをつかみたい

ゆたぽん

23話

ギルドで説明を聞いた翌朝、早く目が覚めてしまったので街を散策することにした。
教会の宿は寝泊まりするだけで食堂がないため、ブラついて朝食を取ろうと思ったからである。

初めての街中なのに何故か場所がわかるので、不思議に思いナビさんに聞くと、私の頭の中には世界地図はもう入っているが、全部を引き出してしまうと処理に時間がかかるため、近辺だけを表示してくれているそうた。それに自動で更新されているため、常に新しい地図が表示されるとの事。

本当にナビさんにはお世話になってるな…。と思いながら、昨日行った食堂おでんまでたどり着いた。

24時間交代で冒険者のために開けていると昨日聞いたからだ。

まだ薄暗い街中ではあったが、食堂は明るく既に何人かいるようだった。ガヤガヤとするお店に入ると、

「いらっしゃい!おや?お前さん昨日ガイ達と来てたか?…。やっぱりそうか!ん?昨日いた奴からちと話し聞いてだからよ。…お、おう。あ、いや、あの2人がいつもと違う奴と飯食いに来たって言ってて、1人か?ほ、ほらあそこが空いてるぞ!」

案内というか、空いている場所を教えてもらいカウンターの席に座った。
何故か私がお店に入ると、一瞬静かになったのだが、席に着くとまた周りがガヤガヤし始めていた。暫くすると、店員さんがパンやサラダ、肉等の山盛りプレートとスープを運んできてドン!と置いた。

「朝飯は一種類だけしか出してねぇんだ!何種類にもしちまうと人が足りなくてよ〜。酒も出してるがこの時間はエールしか出してねぇんだ。お前さんは飯だろ?ほれ、たくさん食えよ!」

と言ってほれとカードを出してきた。お金のやり取りはカードを近づけて支払うんだそうだ。
まだカードに入金していなかったので値段を聞いて500ゼルと言われたのでカバンから500ゼル出し支払いをした。

店員さんからこっそり小さな声で、取られても行けないから早くカードに入れておけよ?と言われた。

他のお客さんは昨夜から飲んでる奴らだから、絡んでくるかもしれないし、トラブルは自己責任みたいなところもあるから注意しろよ?とも言われた。最後に食い終わったらあそこに置いてくれ、と言って店員さんは戻って行った。

確かに周りはアルコールの匂いがプンプンとしていて、ガヤガヤとしていたが、一人で外食をした事が殆ど無かったので新鮮であり、ニコニコ(実際は無表情)しながら朝食を食べていた。

周りからはチラチラと視線は感じるものの、話しかけてくる者はおらず、ゆっくりと、多めの朝食を食べきり、プレートを片付けお店を出た。

「…。なぁ、さっきのねぇちゃん?やたら美人だったなぁ。絡もうにも無表情で淡々と食ってたから声もかけれなかったぜ。」

「ありゃ、近くで見たら緊張しちまって酒の味もわからなくならぁ!」

まぁこんなに呑んでりゃ味もあったもんじゃねぇけどな!

「「違いねぇ!」」

と、その場にいた者たちはゲラゲラと笑いながら、もう一杯!と店員に声を掛けていた。

お店を出てから私は冒険者ギルドに向かい、依頼がもらえるか確認しに行った。
ギルドもまた、24時間空いているのでいつでも職員の方はいるそうだ。

暫く歩きギルドに到着すると、依頼ボードを確認した。

ボードは下位と上位に分かれていて、紙の上にランクと同じラインが引いてあり、推奨ランクが明記されている。

ガロンの依頼はあってもBランクの赤色までであり、殆どが白から青色の依頼となっている。
近くには下位のダンジョンがあるが魔物のレベルは高くなく、Cランクの冒険者なら倒せるほどだそうだ。そしてCランクになると上を目指し、他の街に出て行くそうだ。

ギルドのボードの前で私ができそうなのは薬草集めとゴブリン、スライムの討伐ぐらいであった。数が少ないと感じていると、ギルド職員から日中になるとどこかのお店の手伝いや掃除の依頼などが出てくるが、早すぎると常時ある依頼しか貼られていないと教えてくれた。

それと、薬草はポーションを作るのに必要であり、ゴブリンやスライムはいくら倒しても増えるので、倒せるだけ倒して欲しいとの事。
薬草は本数と状態により買い取り値段が変わり、ゴブリン、スライムは討伐数で変わるとの事。
共に1ゼル〜となっています。と説明を受けた。
そして受付で麻の袋を1つもらった。
初心者には初めての依頼を受けた際に渡すことになっているそうだ。

麻の袋は何個か持ち歩いた方がドロップアイテムを回収するのに便利と説明を受けた。
初めのうちは同じ魔物を討伐すればほぼドロップアイテムが同じなので袋に困らないが、色々な魔物を倒してしまうとドロップアイテムによっては同じ袋に入れられない可能性があるとの事。

依頼自体は安いのだが、ドロップアイテムを売ることによりどうやら宿代ぐらいは稼げそうだ。

私はとりあえず、薬草とスライムだけと思い依頼しようとしたら、常時ある依頼の為、依頼の必要がなく、持ってきてもらえば依頼を完了したことになるとの事。

他の冒険者たちも、他の依頼を受けた序でに採取したり、討伐してくる事が多いためと話していた。

そして私は近くのガロンの森に向かった。
本当はダンジョンに行きたいと思ったが、ダンジョンには最低でもCランクでないと入れないそうだ。

ダンジョンには色々なトラップもあり、一人前にならないと危険だと説明を受けた。
そうであればと、地味な作業は嫌いではないので採取と魔物の討伐をしに森に向かうことにしたのだ。

それにスライムはどんな色をしているのか見てみたかった。
やっぱり青やオレンジ、銀色とかいるのかな?幼少期に他の兄弟がやっていたゲームを思い出しながら森の入り口まで到着したのであった。

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