新しい世界で今度こそ幸せをつかみたい

ゆたぽん

18話

女神様からの話は私に衝撃を与えた。
私を転生させた後、本来なら私の姪っ子たちを召喚するはずで何故私が来てしまったかを調べたそうだ。
時空の女神様の為、過去も未来も見る事も出来るそうだ。ただ見ることしか出来ず、仮に過去も未来も何かしらの修正をしてしまうと現代や未来に歪みが出来てしまい、最悪世界の崩壊に繋がるそうだ。
そして見るだけならば大丈夫なので、女神様は私の魔力残留から過去に遡ってみると、私の魂は本来なら地球ではなくセルディで生まれるはずであったが、地球の魔導師によって中途半端に引っ張られて日本で生まれたのだと。自分の惑星ではないため、その魔導師の事は調べられなかったと。

ただ、セルディでも召喚があるように、他の惑星でも召喚はある。
知られてはいないが、地球でも魔法は使えるし、科学が進化していて知られていないが幻獣や妖精も存在しているそうだ。
科学が発展する前までは特殊能力を鍛える人たちもいて、日本で言うならば陰陽師、海外は魔法使いなどは普通いたんだそうだ。

今でも、俗に言う奇跡の生還とか、九死に一生といった本来なら助からない、ありえない事などは魔法だったり幻獣や妖精などが絡んでいたりするんだそうだ。

「貴方は向こうでは双子だったでしょう?だから姪っ子ちゃんたちもセルディの影響をほんの少しだけ持っていて、召喚の対象になったのよ。そこで、いざ召喚!ってなった時に偶々貴方が近くに居たから、本来セルディで生まれるはずだった魂を引っ張ってきちゃったってわけ。それに、きちんと魂を馴染ませないと、番いが出来ても子供も出来ないし、環境に慣れないから荒れた生活を送る事になるのよ。」

女神様の話だと召喚や転生する時は必ず神様が関わり、身体と魂を混ぜ合わせ、世界に馴染ませるそうだ。稀に神様に会えず召喚や転生する者もいるけど世界に馴染めず結果、孤独死であったり、不慮の死を遂げるなど、不幸なる傾向があるそうだ。

何十、何百億ともある生命体の中から一粒の魂を見つけるのは不可能であり、神様からのコンタクトを取ることは出来ないそうだ。
何事も始めが肝心らしく、一度見落としてしまえば一生会えないらしい。
私も本来なら地球に転生した時に神様に会えば大丈夫だったが、中途半端に引っ張られてしまい地球の神様に会えず転生してしまったのだという。

私は、確かに思い当たる節はあった。地球では周りが結婚し始めていたからと焦り始めて、飲み会で知り合った男性と勢いのまま結婚した。家族は反対し、私は聞く耳を持たず、籍だけ入れ家族とは疎遠になった。

結婚し、知らない土地に引っ越し、一回り以上離れた旦那と、旦那の両親と同居だったため、出かける事も少なかった。
それに職場と家の往復はかりで、親しい友達も出来きなかった。旦那と言うと、仕事を転々とし、働かない時期の方が多かった。そのため、私は黙々と、兎に角働くしかなかった。

唯一の救いは、双子の妹とは連絡が取れていた
ので、半年に一度ぐらいだが、姪っ子たちと過ごせる時間が何より癒しだった。

私は、反対を押し切ってまで結婚していた事もあり、幸せだとしか言ってなかった。
狭い団地に家族4人で生活していたし、旦那の両親に生活費を渡していたが、どうやら旦那が預かると言って、全部使っていたようだ。
そんな生活を送っていたが、今更帰るところもなく、離婚して新たな場所で生活すると言うには年をとってしまっていたので、結局離婚せずに生活していた。
旦那の両親からは孫が見たいと言われプレッシャーをかけられ、旦那が働けないなら嫁が働くのが当たり前、と働きに出された。

そのため、何をしても達成感がなくどんどん楽な方に逃げいった。
家に決まったお金さえ入れれば何も言われなかった(まぁ、給料の2/3は持っていかれてたが…。)ので、趣味はタバコ、酒、ギャンブルといったダメな大人に成り果ていた。
きっとそのまま生きていれば、旦那の両親、旦那の介護し、最後は孤独死して居たんだと思う。

「ちょっと、聞いてるの!何があったかはわかっているけど、もう今の話じゃないんだからね!本来だったら貴方はセルディで生まれ変わるはずだったの。だ・か・ら!その…あぁ!もう!良い?貴方は地球よりもセルディの方が生活しやすくなってるの!努力した分報われるわ!だ、だから泣くのはやめなさいよ!まるで私が虐めてるみたいじゃない!」

再びウガーっとなった女神様から言われて私は始めて涙を零していることに気づいた。
一度気づいてしまうと涙を留めるどころが溢れてしまい目の前でオロオロしている女神様を放置し、暫く泣き続けた。

地球にいる時はいつだって努力した。看護師になるにも准看護師の学校に働きながら行き、そのまま進学しバイトしながら看護師を取得した。
仕事も家事も睡眠時間を削ってやっていた。
家族になった人たちからは文句は言われたが、一度も感謝されなかった。
私の努力が足りないから、もっと頑張らないとと、誰に相談する事もなかった。

そうだったのか…。努力したところで、足掻いたところで無駄だったのかと思うと、虚しかったが、妙に納得した。数10分ほど泣き落ちた私は。

「申し訳なかったです。色々とビックリしましたが落ち着きました。」

「よ、良かったわ!それじゃあここに呼んだ理由を話すわね!」

そう言って女神様は微笑んで話し始めた。

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