新しい世界で今度こそ幸せをつかみたい

ゆたぽん

9話

「オラァ!なぁに寝転がってんだ?ノエル坊ちゃんよ?お前はレオナルド様のオマケで鍛えてやってるんだから休んでる時間はねぇんだよ!オラ、起きろ!」

ドガッと音がし腹部に鈍い痛みが走り目を覚ますと、ニヤニヤした顔のアーロン教官が立っていた。

「折角のメシの時間も寝てる間に過ぎちまったから今日はメシ抜きだな〜、この後はレオナルド様の訓練だからどっかいけよ?」

フワッと体が浮いたかと思うとそのまま屋敷の壁に吹き飛ばされた。アーロン教官は剣士だが、風魔法も使える。それを使って僕を好きなように吹き飛ばすのだ。教官と言っているが僕には何も教えてはいない。走り込みと素振りだけだ。基本は大事なので続けているが、体力作りの基本をしてないレオナルド様には丁寧に剣の握り方や振り方を教えている。…あんなにゆっくりでは魔物は倒せないだろう。バレないように回復しながら屋敷に入り、午後の勉強部屋に向かった。僕は身体中に傷があるけど、綺麗に治すと疑われるから表面の傷が治していない。側から見ればボロボロだけど、自立したら治そうと考えている。勉強部屋の前に到着し、コンコンコンとノックすると中から入りなさい、と声がした。

「失礼します。チャーリー教官、今日もよろしくお願いします。」

一言挨拶をすると、チャーリー教官はチラッと見て。

「そんな挨拶はいりません。そこの本を黙読してなさい。良いですか?貴重な本なのですから汚してはダメですよ?」

と、いつも通りに話した後、チャーリー教官は黙々と読書し始めていた。この教官も僕の時は何も教えてくれない。ただ、必要最低限の知識だけは教えてくれた。

まずはここの世界はセルディ、1年は365日で地球と同じで1月から12月まであり、一ヶ月30日だそうだ。
1日は24時間、地球とかわらない。そして12月から1月に掛けて5日間は聖誕祭として各地でお祭りがある。そして世界は魔族が暮らし魔王が統一をしているクラウディア、獣人族が暮らし獣王が統一をしているエルギア、人族が暮らし帝王が、統一をしているトルメキアの3つがあり、中立を保っているが、どこの国も自分が一番!と考えており戦争は絶えないみたい。ここにある本はいかに人族が優秀であり、他の種族はいかにダメかと書かれている。

幼少時代からこれを教われば人族至高主義になるかな…。通過は世界共通でゼルといい、感覚的には日本円と一緒のようで、1ゼル1円程だ。ニワトリ擬きやイノシシ擬きのような動物も存在する。そしてこの世界には魔素というのが存在し、魔素はどこにでもあるのだが、体内に魔素を溜め込み魔石を形成している生き物は魔物と呼ばれている。

ちなみに動物には解体が必要だが魔物には解体はいらない。魔物を倒したら体は消え魔石とともにドロップアイテムとお金が落ちる。

ドロップアイテムは宝箱として出るが、レア度によって中身が違う。木箱、銀の箱、金の箱、虹色の箱もあると噂されているがドロップを取ると箱は無くなり、ドロップを取らなくても箱は時間が経つと消えてしまう。またはそこでしか開けられず持ち運べないそうだ。戦闘で勝っても倒した場所によっては報酬が取れなくなるって事もあると書いてあった。

ふと、魔族・獣人族・人族も魔法を使う際魔素を取り込む事があるが魔石は出来ない。何故だろうと思い、一度チャーリー教官に聞いてみたのだが、

「…魔石が出来ないのなら魔物になりません。それだけですよ?昔からそう言われているんです。現に魔族・獣人族・人族からも魔物になったなんて話を聞いたことはないですよ。一度、魔族・獣人族で実験して魔素を当て続けても何も起こらなかったと記録があるぐらいですからね。そんなくだらないことを考えてる暇があるならこっちの本を黙読してなさい。」

と言われ、幼児が読むにはかなり難しい本を渡された。まぁ、僕は全言語習得スキルを持っているので読めるが、教官は読めないと思っているんだろう。読めると思われてもいけないので、パラパラめくりながらその時は過ごした。

基本文字ばかりで読みづらく、しかも句読点もないため目が疲れる。写真などはなく挿絵もない為、子供には読書は辛いと思う。チャーリー教官でさえ1ページ読むのに苦労しているようにみえた。魔獣や魔法に関する本を読みたいのだが、それを言うと一生見せてもらえないため大人しくチャーリー教官が置く本をほぼ毎日読んでいる。同じ本の時もあるけど、読書は好きだったから楽しいし、何より叩かれないので、体を休めるには丁度良い。そんなある日、一冊の本に僕は驚きを隠せなかった。

「異世界からの召喚勇者…。ボソ」

思わずボソっと呟くとチャーリー教官が、

「ん?何か言いましたか?」

僕が首を横に振るとそう、と呟き教官は自分の読書に戻った。それをみてホッとし、改めて読み始めると、その扱いは酷かった。

大概が召喚してるのは人族で、魔族・獣人族に喧嘩を売り負けそうなところを召喚勇者をし、戦ってもらいなんとか、中立に収めてもらう形になっている。勇者はいわば当て馬のようなものだ。勇者は魔族・獣人族と戦ったとはあるがその後はどこにも書かれていない。そんな勇者に姪たちは巻き込まれそうになっていたのか…。

5年前にも召喚しようとしたけど失敗したと書いてある。そのため一部の土地を譲渡し和平に持ち込んだと書いてある。まぁ女神様には悪いけど、失敗してくれて良かった。その後は召喚はしてないと書いてある。戦争するにも兵力や食費、テントなどお金がかかるから直ぐには出来ないようだ。平和が一番だと思うんだけどなぁ。

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