新しい世界で今度こそ幸せをつかみたい

ゆたぽん

7話

あれから数ヶ月、奥様との接触は無いものの周りのメイド達の虐めが酷い。私は旦那様の子の為、直接何をされるわけでも無いが、母親を叩くのは当たり前。しかも見えない所を叩く為、タチが悪い。それに、時には泥水をかけ罵声を浴びせる。母乳をあげている為か食事には細工はしてないようだか、きっと離乳すれば時間の問題だろう。先生が時折、往診に来てくれるが、母親がいない時に案内される。先生も気にしてくれていたが、他のメイドが対応し、母親を休ませてると話している。そのため、赤子の私は母親と2人になった時に以前お医者さんが言ってたヒールを使ってみるが、発音できない為微々たる効果しかない。なので母親は。

「…ノエル様を抱いていると、とても安らぐわね。やっぱり自分で産んだからなのかしら?グスッ…。」

「ダー!(ヒール!)」

私の小さい手では母親の涙を拭うことが出来ないが、必至にヒールを唱え続けていた。

更に数ヶ月が経過し、目がはっきりと見えるようになり、周りをよく観察していた私は鑑定が使えるようになっていた。そこで母親の名前が只のメアリーである事、虐めているメイド達には家名が有ることに気が付いた。他のメイド達の話だと家名の有る子供が上位の爵位の有る家に奉公し、貴族と言うものを学ぶそうだ。そして平民からも奉公を受け入れることにより格差を教えるらしい。中には平民でなく奴隷を使うところも有るそうだが領土の平民を使う事により、何というか、領主様は平民にまで気を使える素晴らしい領主様という事を示しているそうだ。ただ、平民と言う理由でメアリーを虐めているメイド達と、黙認している旦那様では領民を下に見てるとしか思えない。確かに貴族には貴族の責任があるが、それをわかっているとは到底感じることができなかった。そしてついに離乳食が始まると旦那様から母親に。

「下のノエルも離乳食が始まったと聞いた。子供らに本の読み聞かせをしなければならないから、そなたの役目はここまでだ。」

「!!!な、何故でございますか!?字なら読めます!まだ私は乳母として働けます!」

旦那様がふぅ、とため息をついた後、下がりなさい。と他のメイドを下げさせると。

「…他のメイドがそなたに辛く当たっているものがおるとの報告があってな?今まで気付かず、すまなかった。」

「!!!」

「それに、そなたはまだ若い。今まで辛かったであろう?新しいところでゆっくりと暮らせばよかろう…。安心しなさい、嫁の先は我が家から見て、爵位としては下がるが男爵だ。悪い話ではなかろう?そなたの村には使いを出して有るから、安心して嫁に行くがよい。」

メアリーは旦那様から労いを言われるとは思ってもいなかった様子で戸惑っていたため、旦那様の表情を見ていなかった。その表情は嘘くさい笑顔を浮かべていた。

「そ、そんな旦那様、で、ですが、ノエル様の成長を近くで見守りたいのです…。もう少しだけでも駄目でしょうか…?」

「ふむ、これだから平民は…ボソ。」

「えっ?」

「あ、いや、そなたは今まで十分働いてくれたから、後は任せれば良いのだよ。なぁに、そなたのおかげで、この子らも順調に育っておる。それに、男爵も支度金は要らないと言っておったし、そなたの家族には礼金を渡す手筈になっておる。なぁにずっと会えないわけではない。少ししたら様子でも見に来るが良い。」

「!?か、家族の事まで考えて下さったのですか!…わかりました。それでは一度田舎に顔を出した後向かわせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか?」

「ふむ、それなんだが、男爵の家から使いのものが明日やって来るので明日出発してもらう。なぁに、きちんと家族には使いを出すから安心しなさい。朝は早いから、今夜はもう休むが良い。」

旦那様の優しい態度に戸惑いながらもメアリーは。

「母さん達にお金が行くなら、喜んでくれるだろうし、ノエル様を時々見に来れるのであれば、影から成長する姿を見るんだから嬉しいわ!…本当は近くで見守りたいけど、明日お迎えが来るって言ってたし、きっと近くの男爵様だわ!直ぐには無理だけど、必ず会いに来るからね」

メアリーはギュっと私を抱きしめた後、ベッドに寝かせドアの外にいたメイドに声をかけ部屋を出た。しばらくしてメアリーが出た後に入ってきたメイドはボソっと。

「…ふふ、馬鹿な子。」

と言っていたのだが、この時私は寝ていたため気付くことが出来なかった。


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