エピソード15

ある女の子は自分をさらけ出す事を完全に封じられた、周りからはおかしな子・災いの子とまで言われ続けていた、始まりは母親の死から始まった。
　それは公園へ遊びに行った時の事だった、楽しく遊んで帰る途中だった周りが揺れガタガタと遅い次の瞬間、隣に居た母は紅くあたたかい景色を残し別の場所に倒れていた。駆け寄ることも叫ぶことも出来ずただ呆然と立ちつくしていた、これから彼女は『無慈悲』『感情無しの人形』そして父親から『愛のないの置物』と言われたそこから彼女の自閉が始まった。

それが今の彼女の戦い方に反映されている

「それがどうしたんですか？人にはそんなこともあります、それを彼女は他の人よりも多く言われたんです。私達はそこに気づかなくては行けないんです」

そんな話で彼女と空気が悪くなったので別れた、最近は変な空気になって別れている気がする、ここは自分から変えていかなくてはダメだな…
自分のダメなところをまた一つ見つけた裕斗だった。

そして試合開始5分前今彼女と対峙する時を、ただ待っている。

「それでは選手入場！」
「「「うおぉぉぉ！！！」」」

会場内またゲーム内にてLIVE中継されている大会それの第1試合グリムノーツＶＳ平和の執行官が始まろうとしていた、相手はいわゆるゴスロリ系の服装をした銀髪ロングの少女だった、地域で同じ年頃の女の子達は皆仲良くワイワイ過ごしているが、この子だけは違う雰囲気を纏っていた。

「どうも対戦相手をさせてもらいますラインと申します、どうぞお見知り置きを」

軽く挨拶をし握手をしようとしたが少女は拒否するように酷く怯えていた、まさかと思い観客…支持者席を見ると美未奈さんと話していた、グリムノーツさんの父親がいた。その目は語り掛けるようではなく命令する、脅迫するかのように睨んでいた、多分このせいだろうすると父親は急に声を上げた。

「負けたらどうなるかくらい分かるな、わざわざお前のために500万もかけたんだ…」

ドカン

低く轟々と鳴り響く爆発音が少女の父親の言葉を遮った、その音を出したのは裕斗、平和の執行官だそれも今までとは違う確実な殺意を向けていた。仮面を付けていようとも向けられては喉が詰まったかのように声が出なくなる、そんな人間技では無い殺意を発していた。

「あの人の言葉は聞かなくて大丈夫です、それでは試合開始の合図をしていただきましょうか…」

殺意を消し少女と審判へ語り掛けた。

「それでは開始させて頂きます！一柱グリムノーツ対一柱平和の執行官の試合を開始します、両方準備完了の様なのでスタートさせてもらいます」

パンッ！

両者相手の出方を伺っていたが、グリムノーツは実施的には攻撃を与える戦術をするプレイヤーだった。グリムノーツの名の元になった技を出して来る、それは黒い空間に閉じ込め相手を蝕み体力を全て奪うその名も『モッシュルォウ』レイドボスなどもこれを食い絶命している。
だが裕斗は避けずに技を受けただが裕斗が飲まれた瞬間その技は綺麗な蕾へと姿を変えた、その現象を見た者は皆不思議と見とれていた、それは本人も同じだ自分でも自覚する「醜い」という事だが自分を示した技はとても綺麗な花を咲かせた。

(綺麗…)

すると中から裕斗が無傷で降り立った、少女は『綺麗』そう感じても父親が頭に浮かぶ次は要らないそう言われる事が今の自分ではもう耐えられないと自覚があった。

(こんな私が綺麗なわけない、きったあの殿方が美しく綺麗なんだ…)

無心で技を繰り出す『醜い』技を5・10と繰り出していくだがその全てが『美しい』『綺麗』で収まる、だが少女は涙が出ておることにも気づかず技を出す。

(だからこんな私が綺麗なわけ…)

「あるよ」

技を受けていた裕斗は観客も気付かぬ速度で少女の目の前へ近寄り抱き締めた。

「へ…」
「君は醜くなんてない、それは周りが分からないだけだよ」
「そんなわけない！だって私見た目も何もかも醜い、だから私の人生は何もかも醜いよ」
「それなら何故君の技心はあんなに綺麗だったんだい？」
「それはあなたの心が…」
「自分は技を内から外側に切り替えただけです」
「どういうこと」
「周りが貴女がどう思おうと貴女自信は綺麗で美しいものであるということです」
「でもこれで勝たないとお父様が…」
「あなたを醜いなどと言う親を私は親だとは思いません、自分の気持ちに聞いてみて下さい」
「でも私ひとりじゃ何も出来ない」
「困った時は頼ってください、私は手を差し伸べます何度でも貴女が望むなら」

そう言いきり裕斗は仮面をずらし微笑みながら頭を撫でる、少女は試合を自主的に降参した、だが少女の顔には醜の文字はなく代わりに残ったのは…



　　　　　　　　　花



その文字が残っていた。
裕斗は客席へ行くと美未奈と美紅ちゃんに睨まれていた、勿論本人は何も悪かった所を思い浮かばずどうしたのか？と言う顔をして2人に呆れられていた。