A Lifeオブchange

ミラRISE

エピソード7

裕斗は祠につき2人の話を聞いていた、水晶を触るとその場が一時的にその環境を生かした戦闘場に変わる。そしてそれは倒すまたは死ぬ寸前までHPが減る以外には出ることが出来ない、という事らしい。そこにでる敵は固定なのだが出現させるまでは、何が出るのか分からないらしいのだ。戦闘時2人は観戦モードになるらしい。

「それじゃあ始めます」
「気をつけてくださいね、敵次第では物理が効かなかったりするので」
「把握しました」

準備が出来たと言い、石の剣を片手に水晶を撫でる。すると瞬きをしている間に今さっきいた場所に似ているが祠が無くなり開けた場所になった、敵はどこにいるのか…と周りを見回すもどこにも敵がいなかった。さしより構えは解かずにゆっくり見回す…

「敵の場所が分からないことには、どうしようもありませ…ッ!」

ゆっくりと周りを見渡していると不意に後ろからさっきを感じとった、だが明らかに近いため振り向く時には攻撃されるだろう。自分の運に掛けて石の剣を後ろに向かって投げる、すると投げた直後に後ろから猪のような鳴き声がした。怯んでいる隙に、相手から距離をとり敵を確認する。そこに居たのはクツクツと煮え滾る溶岩の様な橙色の外装を持った、大きな猪がいた。裕斗は神崇目を使い相手の観察をすると、色々話に出なかった内容が見えて来た。



name深層猪ディープリェアーハイ
属性:地・炎

部位破壊ボーナス




さしより属性が分かったのは良かったこれは物理攻撃は控えた方がいいタイプの敵だろう、あんな溶岩みたい体に触ったら腕が溶けそうだ。
先程投げた石の剣は刃の部分が半分程溶けて無くなっていた、それで石の剣で倒すことは無理そうだと思いタブのアイテムボックスから別の剣を出す。
この前GETした波状攻石で作った大剣『漣魂リポウソウル』を取り出した、剣刃は波の様に蠢き手元まで少しひんやりしている。
剣を出し終え構えようと前を向くと敵は既に突っ込んで来ていた、直ぐに構え突撃を止めようとしたが。止めることが出来ず受け流す様に剣をずらし横に飛ぶ、猪を勢いを止めず巨木に突撃し押し倒して勢いを止めた。
それを3度繰り返し止めるのは無理だと気付いた、だが止めないことには攻撃が当てられない。裕斗は猪の突進を避けながら、解決策を考える。そして固有スキル『創造』に気付いた、説明には考えたものを魔力と引き換えに出現させるスキルと書いてある。
今考え付いた方法は檻のようなもので捕らえるというものだ、だがどれで止める?属性を考えると水で止めるのがいちばんいいのではと思う。
頭の中で考え場所を指定する、するとそこには猪がギリギリ入る程の大きさはある檻が出現した。だがその檻に突っ込んだ猪は檻を打ち破りそのまま直進して来た、やばい!咄嗟に考えを巡らせ次の動きをシュミレートする、だが横に動いても剣で守っても今までと何も変わらない。今出来るようになったのは作り出す、これを使えば現状打破も出来るだろう…何か、何かあるだろうか。
一瞬が永遠に感じる、目の前の敵は真っ直ぐ直進し道を塞ぐものをいとも容易く蹴散らしてしまうような化け物。

「考えても仕方ない!」

考えれば考える程、攻略の手口が見つからなくなる。それならば切り裂けばいいその単純な作戦、だが考えれば1番倒せる策だと気付いた。方向を変えこちらに向かってくる猪を見据え呼吸を整える、規則正しい足音敵の呼吸全ての情報が耳から入る音で分かる。
そしてボスが剣の範疇に入るのと同時に敵を横に一刀両断、横を歩き剣を納める。
そしてスピードを落とした猪はドスンと音を立てて崩れ落ちた、ボスを倒された事でステージが消え去り元の祠へと戻された。1様クリアになったようで水晶を取ると、あるタブが目の前に現れた。

__部位破壊ボーナス
    『鬼角無面きかくむめん』獲得__

取り敢えず水晶以外のアイテムは後で見るとして、タブを閉じ水晶を覗いてみる。
 周りはやや暗めの橙色だが中心に力強い赤の奇彩を放っていた。まるで地球の内部を見ているかの様な感覚に陥る、そこで観戦していた2人が近寄って来た。

「ラインさんまさかあの化け物をこうもあっさりと倒すなんて、本当に人間なのか疑いたくなりますよ…」
「確かにあんなに早くそれもほぼダメージは受けずにやるなんて、ポーションも使ってないし」
「確かに!ラインさんってポーション持ってきてます?」
「ポーションって何?」
「「あっ……」」

何か聞いちゃいけなかったのかと思い、裕斗は詮索はせず自然な動きで後ろを向き足を進めた。残された2人は何故ポーションも持たずにこのクエストを受けられたのか、裕斗の事がとても不思議に覚えたそれは戦闘時に基礎として覚える回復手段のひとつだからだ。今回戦った指定ボスディープリェアーハイは攻撃に特化しているため第1に必要なものは回復のための低位回復薬治癒ポーションと守りを上げる中位強化薬ディフェンダーポーションこの2つを大量に使用しないと現状勝てないような今回の指定ボスの中では手間とする暇、それに時間と神経を要するものなのだ。だがそれを、常識を打ち破るように倒した裕斗はトップギルドの団長2人からしてもとてつもない化け物としか思えなかった。

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