命の重さと可能性の重み

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第五十七話

「…というわけで、どの木に使ってみる?どんなやつでも大丈夫だよっ」

「そうですわねぇ…」

「どうせなら、大きな物がいいんじゃない?…あれとかっ」

そういってエリカが指差したのは、このあたりにはえている木の中で一番大きく育っているもので、高さが五メートルくらいある。

「それ…ですか?」

マリアさんが指を差してといかける。

「そう、それ。…一番効果がわかりやすいと思うんだけど…」

「そうだね。たしかに一番わかりやすいかもっ?」

「そうですわね。…では、そちらの木にかけていただけますか?」

「りょ~うかいっ!………「凍れ氷れ、絶対なる温度。すべての動きを止め、その命すら金縛れ「アイスエンド」」…っと、これで氷づけの完成だよっ」

「すごい…」

「ですわね…」

俺が大木に向かって「アイスエンド」使うと、その大木のみが凍り付き、見事な氷のオブジェが完成した。

「きれいね…」

「そうですわね。きれいだと思いますわ…」

「さて?効果は確認してもらえたかな?」

「えぇ、確かに。…少々驚きましたが…」

「私は二回目だけど、やっぱり驚きだわ…」

「そうだね。…たしかに、今回は俺も少しびっくりしたよ。…まさかというか、知ってはいたんだけど…ほんとに一瞬で氷になるとはねぇ…」

「たしかに、一瞬でしたわね。…タイムラグなどはありませんの?」

「ないよ!…って言って良いと思うよ」

「歯切れが悪そうですが、なにか問題でも?」

「いや、なに…実際は、効果を発動した対象から効果が与えられる範囲を、秒速百メートルで氷らせて仮死状態にするんだよ」

「秒速百メートル…ですか?…それは、具体的にはどの程度の速さなんですの?」

「たしかに。秒速百メートルとかいわれても、あまりピンとこないし、わからないよ…」

「たしかに、そうかもな。…具体的にと言われると、一番簡単なのは「音の約三分の一の速さ」なんだけど…よけいにわかりづらいよね?」

「そうですわね。…そもそも、音の速さがどれくらいなのかを知りませんもの…」

「私もわかりづらいかな。とんでもなく速い…って事はわかるんだけど…」

「だよねぇ…」

俺だって、どのくらい速いのか具体的なイメージは思い付かない。

「そのへんの話は後にしましょう。今はこの失われた魔法ロストマジックについてですわっ」

「そうねっ。難しい話はおいておいて、元に戻してみてよっ!」

「先に戻しちゃっていいの?ボスーピットに使ってた「フリー」の魔法も見せた方がいいかと思ってたんだけど…」

「そういえば、そうだったわね」

「何ですの?その「フリー」という魔法は?」

「簡単に言うと、重さをなくす魔法ですよ。………「重さを無くし、枷を外せ…「フリー」」ってやると…」

「なん…ですって!?」

「やっぱすごいわねぇ…」

俺が魔法を使うと、氷のオブジェだった大木が、見事にその場から浮かんだ。

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