命の重さと可能性の重み

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第三十七話

「そういえばそうだったわね。…普通に無詠唱で使えているから、わかって使っているんだと思い込んでいたわ…」

「確かに詠唱はしてないけど、そもそも肉体強化魔法に詠唱って必要なの?」

そう。
あまりにも簡単に、当たり前のように無詠唱イメージだけで使っている肉体強化魔法なのだが、何系統の魔法で、どんな原理で使っているのかをまったく知らないで使っていたのだ。
街に向かう途中から気にはなっていたのだが、聞く機会がなかったので、聞かないでいたのだ。
しかし、今ちょうど肉体強化魔法を互いに使っての組み手をしたので、良い機会だと思ったのだ。

「それじゃあ説明するけど、その前におさらいね。魔法の系統は全部でいくつか覚えてる?」

「それは…「回復系統」「付加系統」「属性系統」の3つだろ?…それ以外にもあるのか?」

「えぇ「系統魔法」はその3つであっているわ。でも魔法の中には、その3つの系統魔法に当てはめられない魔法があるの。…肉体強化魔法は、その1つね…」

「系統魔法に当てはめられない魔法か。…確かに、肉体強化魔法は「世界についての知識①」で知った系統魔法の中には入ってなかったな…」

「そういうことよ。この「系統魔法に当てはめられない魔法」は、基本的に詠唱を必要としないものが多いわ。イメージに魔力を通すだけで扱えてしまうの。そのことから、この「系統魔法に当てはめられない魔法」のことを、私たちは「原初魔法」とよんでいるわ」

「「原初魔法」…か」

「そう…そして、この「原初魔法」の中でも「肉体強化魔法」は、少し特殊なもの…詠唱で使える魔法なの」

「そうなのか?…でも俺は、イメージだけでできちゃったぜ?」

「それはまぁ、さっきいった通り「原初魔法」は基本的に無詠唱で使えるからね。センスのある人は、最初からイメージで使えるのよ」

「そうなのか。…それで?詠唱で使えるってことが、どうして特殊なんだ?」

「それは…実際にやってみたほうがはやいわね。………「我が意志に応えよ、しんなるたいよ…「アップテンポ」」」

エリカが呪文と魔法名を唱えると、俺の体が光り出す。

「うぉっ、と?………って、なにもおきてないぞ?」

「いいえ、ちゃんとかかったわ。…ちょっとその場でジャンプしてみて?」

「わかったよっ、ってうわっ!」

「どう?ちゃんとかかっていたでしょ?」

そう。
俺は今肉体強化魔法を使っていなかったのに、肉体強化魔法を軽く使ったくらいと同じくらいジャンプができた。

「すごいな…詠唱すれば、他人のことを強化できるのか…」

「その通りよ。…更に、この肉体強化魔法は別名「成長魔法」といってね、植物などにかけると、かけたものがはやく成長するのよ」

「そんな効果もあるのか?肉体強化魔法ってすごいんだな…」

「ちなみに、街で売られている野菜とかは、基本的にこの肉体強化魔法…成長魔法を使ってつくられているわ」

「そうなのか。…だからあんなにおっきかったんだな」

「そういうことっ。…さて、そろそろ組み手の続きをしましょうか?」

「まだやるの!?さっきので俺はやられてるじゃん…」

「そんなことないわ。後ろに跳んでいるから、ダメージはほとんどないでしょ?今度は攻撃してきてもいいから」

「そうはいってもなぁ…俺はもともと女性とは戦えない性格だし、エリカは見た目が子供だからさ…どうしてもやりにくいよ」

「ムキッ!…しょうがないじゃない、私は130歳だけど、長命なかわりに成長が遅いのよっ!人族にあわせたら、まだ13歳よっ!」

「13歳!?…おもいっきり子供じゃないか」

「そうよ、体はね。…でも、実際の年齢は130歳なんだから、ゲンよりずっとお姉さんよっ!…しのごの言わずにかかってきなさいっ!ゲンごときにおくれはとらないからっ!」

「いったな?…ならやってやろうじゃねぇかっ!今の言葉取り消させてやるぜっ!」

「来なさいっ!」

そうして俺とエリカの組み手の、第二ラウンドが開始した。

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