命の重さと可能性の重み
第三十三話
受付に戻ると、そこには先ほどまでは居なかった女性がいた。
受付の少女は俺の事を待っていたようすで、俺が近付くと声をかけてきた。
「ゲンナイ様、お待ちしておりました。…こちらが依頼人のセリカ・ライオット様になります。詳しい依頼内容や、報酬の条件などについての確認をお願いいたします」
「紹介にあずかった、セリカ・ライオットです。この度は私の出した依頼を受けていただき、ありがたくおもいます…。さっそくですが、まずは私の店に来てもらえますか?話はそこでさせていただきたく思います…」
セリカさんはそう言うと、入り口に向かって歩き出す。
「わかりました。…それではマリアさん、行って来ます。
また後で…受付さんも、ありがとうございました」
俺はマリアさんと受付の少女に頭を下げる。
「いってらっしゃいませ…無事のお帰りをお待ち申し上げております…」
俺の礼に、受付の少女が頭を下げ返してくる。
「えぇ、いってらっしゃい。エリカもしっかりね?」
マリアさんは手を振りながら、微笑んでいる。
「わかってるわ」
マリアさんの言葉にエリカがうなずき、俺と共にセリカさんの後に続いて入り口から出て行く。
「何事もなければいいんだけど…」
マリアさんの心配した声が、扉が閉じる音に消えていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さて、つきました。ここが私の店です」
セリカさんに案内されて来た店は立派な構えをしており、料亭やホテルのレストランなど、豪華な高いお店を連想させるつくりだった。
「中に入ってください。そこで話をします…」
セリカさんに促され、店の仲に入る俺とエリカ。
店の中はテーブル席がたくさんならんでおり、天井にはシャンデリアがあった。
「そこに座ってください。詳しい説明と報酬について話します…」
「わかりました」
「わかったわ」
俺とエリカは、促されるままに一番近い席に座る。
「さて、それじゃあ詳しい説明をさせてもらいますね?…まずは依頼の確認ですが、スーピットを捕獲してきてほしいんです。私の店ではスーピットのスープを出しているんですが、最近仕入れ先から送られてこなくなりまして…原因をさぐったところ、どうやらボスーピットが出たらしいんです」
「ボスーピットですって!?SSランクの魔物じゃない!その相手を私たちにしろと!?」
エリカが声を荒げてつめよる。
「そうではありません…私からの依頼はあくまでスーピットの捕獲です。その依頼の最中に、ボスーピットが出てくるかもしれない…という事です」
「それは…そうかもしれないけど…」
「この話を聞いたうえで、受けるかどうかを判断してかまいません。…断られると、店をひらけなくなるのですが…」
「それは何故ですか?」
「スーピットの肉の在庫がもう少しで切れてしまうのです。…なので期限を一週間にさせていただきました…」
「そうなんですか。…エリカ、ボスーピットってそんなに危険なのか?」
「危険度で言ったらそれほど高くはないわ。でも、その特性がやっかいなのよ…」
「特性って?」
「殺すのは簡単なんだけど、殺した時に匂いをまき散らすの…この匂いにつられて、魔獣がよってくるのよ…」
「具体的には?」
「SランクとSSランクよ」
「それは…危険かもだね…」
「まぁ、Sランクなら私たちでもなんとかなるけど…SSランクはきついわね…」
「生け捕りにすればいいんじゃない?」
「それは無理よ…大きすぎるもの…」
「大きいってどれくらい?」
「2メートルくらいね…」
「2メートル!?それは大きすぎるね…」
「まぁ…私たち2人で運べば、運べないほどではないけどね…」
「そう?なら受けようよ、この依頼」
「いいの?この依頼、下手したらSSランクの依頼よ?」
「そうかもしれないけど、俺としてはこの店がつぶれるのは見たくないかな…。セリカさんとも知り合っちゃったしね」
俺がセリカさんに微笑むと、俺たちの会話にビクビクしていたセリカさんが笑顔になる。
「わかったわ…受けましょう、この依頼」
「ありがとうっ」
俺とエリカが受ける事を決めると、セリカさんが俺の手を握ってくる。
「まぁ…成功するかどうかは保証できませんよ?」
「それでもかまわないわっ。希望ができただけましだもの」
「そうですか?なら、さっそく向かいたいと思います…朗報を期待していてください」
「はいっ。よろしくお願いいたします」
俺がセリカさんに頭を下げると、セリカさんも頭を下げ返してくる。
「それじゃあ、行きましょうか?」
「うん…それじゃあ行ってきますね」
俺は再度セリカさんに頭を下げると、店から出た。
受付の少女は俺の事を待っていたようすで、俺が近付くと声をかけてきた。
「ゲンナイ様、お待ちしておりました。…こちらが依頼人のセリカ・ライオット様になります。詳しい依頼内容や、報酬の条件などについての確認をお願いいたします」
「紹介にあずかった、セリカ・ライオットです。この度は私の出した依頼を受けていただき、ありがたくおもいます…。さっそくですが、まずは私の店に来てもらえますか?話はそこでさせていただきたく思います…」
セリカさんはそう言うと、入り口に向かって歩き出す。
「わかりました。…それではマリアさん、行って来ます。
また後で…受付さんも、ありがとうございました」
俺はマリアさんと受付の少女に頭を下げる。
「いってらっしゃいませ…無事のお帰りをお待ち申し上げております…」
俺の礼に、受付の少女が頭を下げ返してくる。
「えぇ、いってらっしゃい。エリカもしっかりね?」
マリアさんは手を振りながら、微笑んでいる。
「わかってるわ」
マリアさんの言葉にエリカがうなずき、俺と共にセリカさんの後に続いて入り口から出て行く。
「何事もなければいいんだけど…」
マリアさんの心配した声が、扉が閉じる音に消えていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「さて、つきました。ここが私の店です」
セリカさんに案内されて来た店は立派な構えをしており、料亭やホテルのレストランなど、豪華な高いお店を連想させるつくりだった。
「中に入ってください。そこで話をします…」
セリカさんに促され、店の仲に入る俺とエリカ。
店の中はテーブル席がたくさんならんでおり、天井にはシャンデリアがあった。
「そこに座ってください。詳しい説明と報酬について話します…」
「わかりました」
「わかったわ」
俺とエリカは、促されるままに一番近い席に座る。
「さて、それじゃあ詳しい説明をさせてもらいますね?…まずは依頼の確認ですが、スーピットを捕獲してきてほしいんです。私の店ではスーピットのスープを出しているんですが、最近仕入れ先から送られてこなくなりまして…原因をさぐったところ、どうやらボスーピットが出たらしいんです」
「ボスーピットですって!?SSランクの魔物じゃない!その相手を私たちにしろと!?」
エリカが声を荒げてつめよる。
「そうではありません…私からの依頼はあくまでスーピットの捕獲です。その依頼の最中に、ボスーピットが出てくるかもしれない…という事です」
「それは…そうかもしれないけど…」
「この話を聞いたうえで、受けるかどうかを判断してかまいません。…断られると、店をひらけなくなるのですが…」
「それは何故ですか?」
「スーピットの肉の在庫がもう少しで切れてしまうのです。…なので期限を一週間にさせていただきました…」
「そうなんですか。…エリカ、ボスーピットってそんなに危険なのか?」
「危険度で言ったらそれほど高くはないわ。でも、その特性がやっかいなのよ…」
「特性って?」
「殺すのは簡単なんだけど、殺した時に匂いをまき散らすの…この匂いにつられて、魔獣がよってくるのよ…」
「具体的には?」
「SランクとSSランクよ」
「それは…危険かもだね…」
「まぁ、Sランクなら私たちでもなんとかなるけど…SSランクはきついわね…」
「生け捕りにすればいいんじゃない?」
「それは無理よ…大きすぎるもの…」
「大きいってどれくらい?」
「2メートルくらいね…」
「2メートル!?それは大きすぎるね…」
「まぁ…私たち2人で運べば、運べないほどではないけどね…」
「そう?なら受けようよ、この依頼」
「いいの?この依頼、下手したらSSランクの依頼よ?」
「そうかもしれないけど、俺としてはこの店がつぶれるのは見たくないかな…。セリカさんとも知り合っちゃったしね」
俺がセリカさんに微笑むと、俺たちの会話にビクビクしていたセリカさんが笑顔になる。
「わかったわ…受けましょう、この依頼」
「ありがとうっ」
俺とエリカが受ける事を決めると、セリカさんが俺の手を握ってくる。
「まぁ…成功するかどうかは保証できませんよ?」
「それでもかまわないわっ。希望ができただけましだもの」
「そうですか?なら、さっそく向かいたいと思います…朗報を期待していてください」
「はいっ。よろしくお願いいたします」
俺がセリカさんに頭を下げると、セリカさんも頭を下げ返してくる。
「それじゃあ、行きましょうか?」
「うん…それじゃあ行ってきますね」
俺は再度セリカさんに頭を下げると、店から出た。
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