命の重さと可能性の重み

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第十三話

「じゃあ、この世界について説明するわね。まずは世界の基礎知識から。気になる事があったら、すぐに質問してくれてかまわないわ」

そう言って彼女が話し始める。

「まずはこの世界の名前ね。この世界はマリースと言って、創造神マリスによって創られた現象世界の一つよ。現象世界っていうのは、知的生命体が暮らす現象によって動く世界の事で、このマリースでいう現象とは、魔法の事よ」

早速気になる単語が出てきたので、俺は彼女に質問する。

「魔法とは具体的にはどういうものなんだ?神様いわく、俺の力は魔法らしいのだが…」

早速の俺の質問に、彼女が答える。

「魔法とは魔力を用いた現象よ。基本的に魔力をイメージで操作して、現象を実現させるの。こんなふうにね…」

そう言って彼女は、右手の指に火を灯してみせる。

「魔力とは世界にあるエネルギーの総称で、今みたいに火を灯すのは、熱エネルギーが使われるの。あなたの世界にも、エネルギーはあったでしょ?」

確かに。地球でも当然、エネルギーはあった。
地球では科学で現象をおこしていたから、地球は科学による現象世界という事になるのか。

「説明に戻るわね…。このマリースには知的生命体がたくさんいるの。私達エルフやハイエルフ以外に、竜人りゅうじん鍛冶人ドワーフ精霊族エルフィー人族ひとぞく水の民ディーネ魔獣族まじゅうぞく。そろぞれのハーフがこれにあたるわ」

「そんなにたくさんいるのか。地球とは大違いだな」

「当然よ。マリス様いわく、始まりの世界だもの。あなたのいた世界も、このマリースがもとになってできているのよ」

そういって彼女が胸をはる。

「そうなのか。なら俺が魔法を使えたのは、その事が関係しているのかもな…」

「そうかもしれないわね…」

と彼女がうなずく。

「ならこの世界でも、俺は魔法を使えるのかな?」

「おそらく使えると思うわ。あなたが持つ力は、Sランクの魔獣に匹敵するもの」

「魔獣とは何だ?魔獣族とは違うのか?」

「その通りよ。魔獣族は知能を持った獣の総称なのだけど、魔獣とはその中でも危険な存在の事を指すの。知能を持つ悪意ある獣が魔獣よ」

「なるほど。ならSランクとはどの程度の強さなのだ??」

「そうね。次はランクについて説明しましょうか」

そう言って彼女は俺に同意を求める。

「よろしくたのむ」

「じゃあまずは、ランクがどのように分けられているかから説明するわね…。………ランクは全部で十段階にわかれているの。それぞれ、E~A、A~AAA、S~SSSとなっていて、Sランク以上はいわゆる超一流よ。Sランクっていうのは、努力のみでたどりつける限界のランクね。それ以上となると、才能がないとなれないわ…」

「つまり俺は、努力してもこれ以上にはならないのか…」

「そういうことになるわね。まぁ可能性目録が埋まってないようだし、これから伸びる可能性はおおいにあるわよ。」

「確かに俺の可能性目録には、まだまだスペースがあるのはたしかだ…。まだ三つしか書かれていないしな。」

「それは本当!?私もSランクだけど、もう半分以上の13個は埋まっているわよ!」

「そうなのか?まぁ、俺はこの世界に来たばかりだからな。これから埋まっていくんだろう」

「それもそうね…」

「そういうことだ」

俺と彼女は笑い合う。その瞬間
『可能性、助けてくれた少女との絆を達成しました。新しい可能性の扉が開きます。』
という音声が響く。

「何だこれは?システムメッセージか?」

「そのようなものね。可能性目録が達成されたのよ。可能性目録を開いてみなさい。新しい事が書いてあるはずよ」

「そうなのか?とりあえず見てみるか」

俺は可能性目録を開いてみる。
そこには新しく
「世界の知識①」と
「エリカとの絆」と
「魔法の担い手」の三つが書いてあり、
「助けてくれた少女との絆」が消えていた。

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