命の重さと可能性の重み

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第九話

彼女が死んだ直後から、俺は家に引きこもり一人で泣いていた。
翌年の1月24日。彼女が死んでから初めての彼女の誕生日。その日に俺の両親が殺された。
両親を殺したのは彼女の父親だった。
泣きながら「娘を返せ」と言われた俺は、目の前で両親が殺された事にも何も感じず、彼女の父親が振るう刃が早く自分を殺す事を望んで目をつぶった…。
しかし俺は死ななかった。死ねなかったの方が正しいかもしれない。
彼女の父親は、俺付きの執事に取り押さえられ、メイドが呼んだ警察に連れて行かれた。
その際に彼女の父親は、俺に向かって「彼女の死を抱え、彼女の望みを叶え続けろ」と言い残し、俺に手紙を渡して去っていった。
その手紙は、彼女から俺への手紙であり、遺書だった…。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




彼女からの手紙には、彼女の想いと願いが書かれていた。
彼女も俺のことを好きでいてくれた事、俺の気持ちに気付いていた事。その事実は、俺を複雑にさせた。
彼女が俺を好きでいてくれた事に歓喜し、同時に想いを伝えられなかった事を深く後悔した。
そして、続く彼女の願い。
「自分の事を気にせずに、少しでも多くの命を助けて欲しい」という願いに俺は、彼女の「願い」と彼女の「想い」に誇れる様な自分になる事を誓った。

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