ギャルゲの世界で二重人格!
プロローグ
「今日は久しぶりにしっかりと遊ぶぞ!」
俺こと須藤博樹は専門学校に通う21歳。
今日は学校の創立記念日で、平日なのに休みなのだ。
なので、久しぶりにオタクの聖地秋葉原までやってきていた。
「とりあえずメイトとマップとバナナブックスを回っておくか……」
秋葉原に来た時は必ずと言っていいほどこの三つを歩き回る。
メイトはマンガメイトの略で、その名の通りマンガを中心に幅広くオタク系の物を扱っているお店だ。
マップはソフトマップズというゲームソフトを主に扱っている家電量販店で、いくつかの別館があり、中にはエロゲやギャルゲなどを専門に扱っている店もある。
バナナブックスは同人誌を含めたほぼすべてのジャンルの本を扱っているお店で、ハードカバーからライトノベル、歌集などまでそろうなんでもこいの店である。
「まずはメイトからだな。いつも通り、近場から回って行こう」
現在の時刻は13時12分。
今日は夕方まで遊ぶつもりだから、後でゲーセンによることを考えても、まだまだ時間はたっぷりとある。
「青になったら渡るんですよ? 赤からかわるまでしっかりと待ちましょうね?」
「「「はーい!!」」」
ケータイをいじりながら信号待ちをしていると、すぐ近くで子どもたちが引率の先生らしきお姉さんに連れられて集まっていた。
「あ、青になった! いっそげー」
信号が変わったのを見た一人の男の子が、勢いよく駆け出していく。
「何やってんだよ!? 早く来いよー」
男の子は道路の真ん中で手を振って先生を呼ぶ。
「はいはい、あせらないでー」
そんな微笑ましい光景を見ながら、ふとサイレンのような音が聞こえた気がして周りに目を凝らしてみてみる。
すると、一台の車が猛スピードでこちらに向かってくるのが見える。
「危ない!!」
思った瞬間に走り出していた。
背負っていたリュックを投げ出し、ケータイを握りしめて必死に走る。
「キャー!! 危なーい!!」
道路の真ん中で笑顔でいる少年に向かい、暴走車は突っ込んでくる。
「間に合えっ!!」
誰より先に気づけたのが幸いし、ギリギリで少年と車の間に体を入れて、少年を車の前から突き飛ばすことに成功する。
キキーーーーー!!! ドン!!!
「うぅっ!?」
背中にものすごい衝撃を受け、俺の意識はもうろうとする。
何とか少年を車から守ることはできたようだが、かわりに俺自身が背中からぶつかり吹き飛ばされた。
その衝撃で頭から地面にぶつかった俺は、そのまま意識を失った。
・・・
・・
・
「大変なことになったのぅ……。とりあえず青年よ、おきたまえ」
んぅ? ここはどこなんだ? 何か頭の上から声が聞こえる……?
「これから大事な話をするからの? 起きてくれんと困るのじゃがな? 青年よ、おきたまえ!」
「んぅ? どちら様……ですか?」
「おぉ、おきたか青年よ。ここは境界の間とよばれる世界の狭間じゃよ。わしはここの管理者をしておるものじゃ。いわゆる神様の一種じゃな」
「はぁ、そうですか…………って神様!?」
「ほっほっほ、良いリアクションじゃの。その通り、わしは神様じゃよ。まぁ、あくまでこの狭間の世界限定のじゃがの?」
「……そうですか。それで、その神様が俺に何の用ですか? 多分俺は死んだはずなんですけど……?」
「ほっほっほ。その通りじゃ。先ほどの事故で君は死んでおる。……しかしの? そのことが原因で一つ問題が発生してしまったのじゃよ……」
「やっぱり俺は死んだのか……。それで? その問題というのは?」
「うむ。この世界には様々な並行世界があるのじゃが、そのうちの一つとまったく同じ出来事が同じ時間におきたことにより、二つの世界が融合してしまいそうになっているのじゃよ……」
「世界が……融合? そうするとどうなるんですか!?」
「うむ。両方とも消滅してしまうのじゃ!」
「…………消滅っ!? そ、そんな! 俺がいた世界がなくなっちゃうんですか!? 何か方法は!?」
「慌てるでない。もう対処はすんでおる。……まぁ、そのせいで青年は死んでしまったのだがな?」
「…………どういう、ことです?」
「うむ。二つの世界で同時に同じことが起こったのが今回の原因じゃ。なのでの? 片方の世界では生かし、片方の世界では死んでもらったというわけじゃ」
「…………はい? それはつまり、俺は死んで、もうひとつの世界の人は生かされたということですか?」
「うむ。その通りじゃ。青年にはすまない事をしたと思うが、向こうの世界の青年と同じ名を持つ存在は、その事故により死んでしまうと、その後の世界に多大な影響を与えてしまう存在なのじゃ。ゆえに、わしは神として決断せざるをえなかった。青年には悪いと思ってはおる。しかし、世界のためには仕方がなかったのじゃ。すまんの……」
「そう……ですか。…………それで? この後俺はどうなるんですか? このまま輪廻転生に移るんですか?」
「うむ。その事なんじゃがの? 青年よ、向こうの世界で過ごす気はないか? すでに向こうの青年には了承を得ておる。二人の存在を重ね合わせ、同時に存在させるのじゃ。いわゆる二重人格というやつじゃな」
「二重人格……ですか? 俺はその俺と同じ名前の青年と一緒の存在になると? そうすれば俺はまだ生きることができるということですか?」
「そのとおりじゃ」
「その世界はどんな世界なんですか? 俺が元いた世界との違いは?」
「技術レベルなどは大差ないの。ただ、その世界は……ギャルゲの世界での?」
「ギャルゲの世界……?」
「うむ。「四色姫の一番星」というタイトルのギャルゲが元になった世界なんじゃが……知っておるかの?」
「四色姫の一番星!? 知ってるも何も、一番好きなギャルゲですよ! ってことはあれですか? 俺と同じ名前ってことはもしかして…………主人公の須藤博樹になれるってことですか!?」
「おぉ、知っておったか。その通り、青年と同じ名前の存在とは、その世界の主人公のことじゃ。これで青年を死なせるしかなかった理由がわかったじゃろ? さすがに世界の主人公を死なせるわけには……のぅ?」
「ははは、たしかにそれはそうですね。……わかりました。俺はその世界で生きていきます!」
「そうかそうか……よかったよ。これでわしも無理をしたかいがあった」
「無理……ですか?」
「うむ。わしも一応神様なのでな? 特例を許可するにはそれなりの対価が必要なのじゃよ……何事にもな? 今回の場合は、わしが責任を持ってお主らを見守るということじゃな」
「見守ってくれるんですか?」
「あぁ。お主らの守護霊という形で現世に降りることになっておるよ。他の世界を管理している神たちとのそれが対価じゃからな」
「そうなんですか……。ということは、今回みたいなことが起きた時に、事前にそれを防いでくれたりするんですか?」
「うーむ、それは難しいかのう……。あくまでもわしにできるのは見守ることだけじゃ」
「そうですか……。でも、見守ってくれているというのが分かっているだけ前向きになれますよ。ありがとうございます」
「ほっほっほ、よいよい。今回のことはイレギュラーなことじゃからの、これくらいはさせてもらうよ。…………さて、そろそろ時間のようじゃな。あちらの世界で博樹が目覚めるぞい」
「わかりました。俺は向こうの世界で精一杯生きます」
「ほっほっほ。それではよき人生を」
「はいっ!」
次の瞬間、俺は光に包まれた。
俺こと須藤博樹は専門学校に通う21歳。
今日は学校の創立記念日で、平日なのに休みなのだ。
なので、久しぶりにオタクの聖地秋葉原までやってきていた。
「とりあえずメイトとマップとバナナブックスを回っておくか……」
秋葉原に来た時は必ずと言っていいほどこの三つを歩き回る。
メイトはマンガメイトの略で、その名の通りマンガを中心に幅広くオタク系の物を扱っているお店だ。
マップはソフトマップズというゲームソフトを主に扱っている家電量販店で、いくつかの別館があり、中にはエロゲやギャルゲなどを専門に扱っている店もある。
バナナブックスは同人誌を含めたほぼすべてのジャンルの本を扱っているお店で、ハードカバーからライトノベル、歌集などまでそろうなんでもこいの店である。
「まずはメイトからだな。いつも通り、近場から回って行こう」
現在の時刻は13時12分。
今日は夕方まで遊ぶつもりだから、後でゲーセンによることを考えても、まだまだ時間はたっぷりとある。
「青になったら渡るんですよ? 赤からかわるまでしっかりと待ちましょうね?」
「「「はーい!!」」」
ケータイをいじりながら信号待ちをしていると、すぐ近くで子どもたちが引率の先生らしきお姉さんに連れられて集まっていた。
「あ、青になった! いっそげー」
信号が変わったのを見た一人の男の子が、勢いよく駆け出していく。
「何やってんだよ!? 早く来いよー」
男の子は道路の真ん中で手を振って先生を呼ぶ。
「はいはい、あせらないでー」
そんな微笑ましい光景を見ながら、ふとサイレンのような音が聞こえた気がして周りに目を凝らしてみてみる。
すると、一台の車が猛スピードでこちらに向かってくるのが見える。
「危ない!!」
思った瞬間に走り出していた。
背負っていたリュックを投げ出し、ケータイを握りしめて必死に走る。
「キャー!! 危なーい!!」
道路の真ん中で笑顔でいる少年に向かい、暴走車は突っ込んでくる。
「間に合えっ!!」
誰より先に気づけたのが幸いし、ギリギリで少年と車の間に体を入れて、少年を車の前から突き飛ばすことに成功する。
キキーーーーー!!! ドン!!!
「うぅっ!?」
背中にものすごい衝撃を受け、俺の意識はもうろうとする。
何とか少年を車から守ることはできたようだが、かわりに俺自身が背中からぶつかり吹き飛ばされた。
その衝撃で頭から地面にぶつかった俺は、そのまま意識を失った。
・・・
・・
・
「大変なことになったのぅ……。とりあえず青年よ、おきたまえ」
んぅ? ここはどこなんだ? 何か頭の上から声が聞こえる……?
「これから大事な話をするからの? 起きてくれんと困るのじゃがな? 青年よ、おきたまえ!」
「んぅ? どちら様……ですか?」
「おぉ、おきたか青年よ。ここは境界の間とよばれる世界の狭間じゃよ。わしはここの管理者をしておるものじゃ。いわゆる神様の一種じゃな」
「はぁ、そうですか…………って神様!?」
「ほっほっほ、良いリアクションじゃの。その通り、わしは神様じゃよ。まぁ、あくまでこの狭間の世界限定のじゃがの?」
「……そうですか。それで、その神様が俺に何の用ですか? 多分俺は死んだはずなんですけど……?」
「ほっほっほ。その通りじゃ。先ほどの事故で君は死んでおる。……しかしの? そのことが原因で一つ問題が発生してしまったのじゃよ……」
「やっぱり俺は死んだのか……。それで? その問題というのは?」
「うむ。この世界には様々な並行世界があるのじゃが、そのうちの一つとまったく同じ出来事が同じ時間におきたことにより、二つの世界が融合してしまいそうになっているのじゃよ……」
「世界が……融合? そうするとどうなるんですか!?」
「うむ。両方とも消滅してしまうのじゃ!」
「…………消滅っ!? そ、そんな! 俺がいた世界がなくなっちゃうんですか!? 何か方法は!?」
「慌てるでない。もう対処はすんでおる。……まぁ、そのせいで青年は死んでしまったのだがな?」
「…………どういう、ことです?」
「うむ。二つの世界で同時に同じことが起こったのが今回の原因じゃ。なのでの? 片方の世界では生かし、片方の世界では死んでもらったというわけじゃ」
「…………はい? それはつまり、俺は死んで、もうひとつの世界の人は生かされたということですか?」
「うむ。その通りじゃ。青年にはすまない事をしたと思うが、向こうの世界の青年と同じ名を持つ存在は、その事故により死んでしまうと、その後の世界に多大な影響を与えてしまう存在なのじゃ。ゆえに、わしは神として決断せざるをえなかった。青年には悪いと思ってはおる。しかし、世界のためには仕方がなかったのじゃ。すまんの……」
「そう……ですか。…………それで? この後俺はどうなるんですか? このまま輪廻転生に移るんですか?」
「うむ。その事なんじゃがの? 青年よ、向こうの世界で過ごす気はないか? すでに向こうの青年には了承を得ておる。二人の存在を重ね合わせ、同時に存在させるのじゃ。いわゆる二重人格というやつじゃな」
「二重人格……ですか? 俺はその俺と同じ名前の青年と一緒の存在になると? そうすれば俺はまだ生きることができるということですか?」
「そのとおりじゃ」
「その世界はどんな世界なんですか? 俺が元いた世界との違いは?」
「技術レベルなどは大差ないの。ただ、その世界は……ギャルゲの世界での?」
「ギャルゲの世界……?」
「うむ。「四色姫の一番星」というタイトルのギャルゲが元になった世界なんじゃが……知っておるかの?」
「四色姫の一番星!? 知ってるも何も、一番好きなギャルゲですよ! ってことはあれですか? 俺と同じ名前ってことはもしかして…………主人公の須藤博樹になれるってことですか!?」
「おぉ、知っておったか。その通り、青年と同じ名前の存在とは、その世界の主人公のことじゃ。これで青年を死なせるしかなかった理由がわかったじゃろ? さすがに世界の主人公を死なせるわけには……のぅ?」
「ははは、たしかにそれはそうですね。……わかりました。俺はその世界で生きていきます!」
「そうかそうか……よかったよ。これでわしも無理をしたかいがあった」
「無理……ですか?」
「うむ。わしも一応神様なのでな? 特例を許可するにはそれなりの対価が必要なのじゃよ……何事にもな? 今回の場合は、わしが責任を持ってお主らを見守るということじゃな」
「見守ってくれるんですか?」
「あぁ。お主らの守護霊という形で現世に降りることになっておるよ。他の世界を管理している神たちとのそれが対価じゃからな」
「そうなんですか……。ということは、今回みたいなことが起きた時に、事前にそれを防いでくれたりするんですか?」
「うーむ、それは難しいかのう……。あくまでもわしにできるのは見守ることだけじゃ」
「そうですか……。でも、見守ってくれているというのが分かっているだけ前向きになれますよ。ありがとうございます」
「ほっほっほ、よいよい。今回のことはイレギュラーなことじゃからの、これくらいはさせてもらうよ。…………さて、そろそろ時間のようじゃな。あちらの世界で博樹が目覚めるぞい」
「わかりました。俺は向こうの世界で精一杯生きます」
「ほっほっほ。それではよき人生を」
「はいっ!」
次の瞬間、俺は光に包まれた。
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
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