欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)

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新入生歓迎トーナメント③| 本戦開始は激闘の始まり①

欠陥魔力騎士21

新入生歓迎トーナメント③ 本戦開始は激闘の始まり①

「昨日の予選、ご苦労だったな。一部に負けた者もいるが、今年も本戦参加者のほとんどが我がSクラスとなり、大変嬉しく思う。今日の本戦はSクラス同士での戦いが主となるが、全員悔いを残さぬように励むこと!! それでは全員、本戦会場へ急ぐように。以上、解散ッ」

 朝のホームルームの時間、先生は僕たちに激励の言葉を送り、そのまま解散としてくれた。
 この後始まる本戦は11時から。
 現在時刻が10時30分なため、本戦に向けて軽くアップしていくことにした僕は、会場となる第一競技場への道を走り出す。

「本戦は四日かけて行われるわけだから、毎日カートリッジを補充できる。油断はしないけども、最終日以外は少し余裕が持てるな……」

 本戦は基本的に一日一回戦だけ行われ、32人が16人に、16人が8人に、8人が4人、4人が2人、そして最後の決勝戦となっている。
 この内準決勝と三位決定戦が三日目に行われ、決勝と決勝で勝った者VSこの日のために招かれた卒業生のエキシビションが四日目となっている。

「一試合に持ち込めるカートリッジは6個まで。持ち越しはできないから、使いきる方針でいこう。三日目か最終日の連戦も、追加補充は2つまで認められているし、なんとかなる……よね」

 100%大丈夫だといえるほど楽観はしていないが、それでもトーナメントの組み合わせ次第では、準決勝でもカートリッジを温存できる。

「どちらにしろ、カートリッジを使う範囲での全力を出すだけだ。僕を再び戦いの舞台へと立たせてくれた彼女のためにも、優勝を目指す。そしてできれば決勝で、彼女と戦って勝ちたい」

 先日交わした約束を思いだし、自らへの誓約とする。

「まずは会場でわかるトーナメント表を見てからだよな……」

 僕は遠目に見えてきた会場に向けてランニングをダッシュへと変えると、久しぶりの大舞台へと期待と高揚感を高めていった。

………………
…………
……

「それでは、これより新入生歓迎トーナメント本戦を開始するッ!! 出場者は舞台へ」

 本戦の審判を勤める錬先生が、拡声器を使ってトーナメントの開始を宣言する。
 僕たち参加者は舞台上へと並び、トーナメント表が掲示される空中を見上げる。

「知っての通り、この新入生歓迎トーナメントは四日かけて行われる。1つ1つの戦いに全力を出すようにッ!! それでは組み合わせを発表する!!」

 ババンッバンッバンッ
 小さな花火が上がると同時に、空中に四面スクリーンが現れ、トーナメント表を写し出す。

「一回戦第一試合はSクラス天通限無兄VS同じくSクラス陵陵ッ!! 呼ばれた者以外は舞台から降りて自らの戦いへの準備をするように。なお、このトーナメントはすべてが公式戦だ。ゆえに実況と解説付きで動画として残る。ゆめゆめみっともない試合はしないようにッ!!」

 先生の宣言を聞いた僕らは、先生の言葉に促され舞台から降りていく。
 最終的に僕と陵君以外の選手が舞台を間にしてトーナメント通りに別れて座る。

「約束通り、決勝で戦えそうね? 私に当たるまで負けるんじゃないわよ?」

「大和さん……。もちろんだよ。そっちも僕と戦うまで負けないでよ?」

「当たり前よッ。私はこのトーナメントで、貴方にだってかってみせるッ!! そして貴方に本気を出させてみせるわッ!! お互い頑張りましょう!!」

「ありがとう、大和さん。君がくれたカートリッジシステムこのちからで、必ず優勝する。君に恥じない僕でいるために、ね?」

 待機位置から僕に声をかけてくれ大和さんから対戦相手(陵君)へと視線を戻す。
 同時に僕は、戦いへと意識をシフトさせた。

「双方、戦う準備は良いな?」

「大丈夫です」

「アァ、もちろんだぜェェェ」

「それではカウントを開始する」

 5、4、3、2、1………Let's GET yourself(レッツゲット……ユアセルフ)!!

「カートリッジロードッ!!」

 開始と同時に、まずは1つ目のカートリッジをロードする。
 剣に魔力をまとわせ、彼にダメージを通せる状態に。
 同時に完全掌握操作状態パーフェクトコントロールゾーンまで自らを高め、彼の出方をうかがう。

「あんたはヨォ、多分本当なら、俺ごときの実力じゃあ決して倒せないんだろうヨォ?」

「どういう意味だい?」

「初日の戦い……入学式前の戦いだ。俺はあの時、何をされたのかすらわからなかった。けど二回目の時は真逆だった……」

 初日の戦いでは、僕は気力を使って戦った。
 フェーデでは気力を使えない上に、僕は気力が強すぎるせいで武器が魔力に耐えきれないから、武器に魔力すらまとわせられなかった。
 でも今はカートリッジシステムのおかげで、普通に戦える。

「実戦授業の時は、あんたは必ず先手を譲る。そして受けた攻撃をより高い練度の連携を見せてくる。まるで指導のようになァァァ」

「僕は欠陥魔力騎士だからね。カートリッジシステムこのちからがなければ、このトーナメントも同じようにしか戦えなかったよ」

「ハハハッ!! そうなんだろうな? そうなんだろうヨォォォ!! 悔しいが、今の俺は、あんたに、勝てる気がしない」

「何が言いたいんだい?」

 彼は先程から、喋るばかりで仕掛けてこない。
 僕は彼の狙いがわからなかった。

「……そろそろだなぁ。補充しなくていいのかァァァ? 切れかけてんぞォォォ?」

「ッッッ!?」

 彼のその言葉で、僕は彼の狙いを悟る。

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「こ、こ、こ、これは一体どういう事でしょう!? 公式戦にもかかわらず、陵選手は逃げきると言い放ちました。それこそが彼の導きだした、勝利への道だと言うのでしょうか!?」

「その通りなのだろうよ。実際天通君のカートリッジロードは、6回限りの切り札だからね……」

「と、言いますと?」

「今回の試合は公式戦、つまりは今私たちがしているように実況と解説がつく。だからこそ本来ならば、逃げるなど恥をさらすだけの行為だ」

「その通りです。実況として2年実況部所属の私、山谷要やまたにかなめが実況を担当させていただいていますし、解説には学園長である神薙武かんなぎたける先生に来ていただいていますッ!!」

「しかし陵君は外道流。つまりは勝つためならあらゆる手段を厭わない流派だ。そして先程言った通り、天通君のカートリッジロードは6回しか使えない……」

「つまりはその6回すべてを使わせてしまえば、陵君の勝利というわけですねッ!?」

「そう言うことになるな。このまま無駄にカートリッジを使うだけならば、天通君に勝ち目はない……」

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「カートリッジシステムってのはすげぇよなァァァ? 魔力を使えないあんたでも、普通に魔力を使えるようになるッ!! けどそれは逆に、カートリッジシステムそのちからが尽きちまえば、あんたは何もできないっことだよなァァァ? つまり俺はこの試合中、あんたが6つのカートリッジをすべて使いきるまで逃げていれば良いってことだろォォォッ!?」

「カートリッジロードッ!!」

 僕は彼の狙いを理解したが、新しく2つ目のカートリッジをロードする以外に手がなかった。

「さすがは外道流だね。勝つために逃げ続ける何て言う方法もとれる。素直に感服したよ」

「ハッハァァァァ!! あんたの天通流の技はもう一人の限無が散々見せてくれてるからなァァァ? 対策は万全なんだヨォォォ!! 俺は、あんたの攻撃すべてから、逃げきってみせるぜェェェ!!」

「でもそれは悪手だよ、陵君。僕はカートリッジシステムこの力を使った試合で、まだ一度も本気を出していない」

「なん……だとォォォォォ!?」

「カートリッジ、フルロードッッッ!!」

 ガチャンガチャンガチャンガチャンガチャン

「君が逃げきると言うのなら、僕は逃げきれない攻撃をすれば良い……」

「まさか!? まさかまさかまさかァァァァァ!?」

「いくよ? 約束通りの全力だッ!! 集束せしエクス……魔力光の剣カリバァァァッ!!!!」

「畜生がァァァァァッッッ!!!!」

「そこまでッ!! 勝者天通限無兄ッ!!」

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「き、き、き、決まったぁぁぁッ!! なんということでしょう!? カートリッジを連続でロードした天通選手の剣から、とてつもない量の魔力が放出され、それが剣の形をなし、そのまま陵選手を一刀のもとに切り伏せましたッ!!」

「これは大和光君が実戦授業の初回で見せた技だね。同じ技術を使っている彼ならば、これを使えても不思議ではない」

「つまりこれは、本家本元の技と言うことですか?」

「その通りだ。カートリッジを連続でロードすることで、擬似的な魔力飽和状態を作り出し、それを素晴らしいコントロール力で集束させて剣となす。恐らくこの学園の上級生でも、一握りしか扱えないだろう技だな」

「つまり天通選手は、魔力を使うことさえできればこの学園でもトップに立てる実力の持ち主と言うことですか!?」

「それは当然だろう? 彼は仮にも去年の首席だからね。これでも恐らく彼は、本気を出していないと思うよ」

「なるほどなるほど。今後の試合が楽しみになってきましたッ!! それでは次の試合へと移りましょう。実況は引き続き私、山谷要と」

「解説に私、神薙武で進めていくぞ」

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「あんたもそれ、使えたんだなァァァ」

「一度見ていたし、彼女から教えられてもいたからね」

「チッ、ムカつく野郎だぜ。どうせ俺ごときなんて、眼中にねぇんだろォォォ?」

「そんなことはないよ。まさか初戦でこの技を使うことになるとは思わなかった。やっぱり君は強いね。これからがとても楽しみだ」

「ケッ、ありがたく受け取っとくぜ。次だ。次こそは、あんたをこの手で倒してみせるさ」

「ははっ、それこそ僕の望むところだよ……」

 僕は彼を横目にそれだけ伝えて、そのまま舞台から降りた。


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