欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)

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光の限無の放課後デイズ⑤| 光と限無の過去語り②

欠陥魔力騎士16

光の限無の放課後デイズ⑤ 光と限無の過去語り②

「これは僕が十歳の頃。ちょうど天通流に通い始めた頃の話だ」

 そう言って話し始めた彼は、どこか寂しげであり、とてもいとおしく感じた。
 普段から弱味を見せない彼だけど、私の前ではふとした瞬間に本音や弱さを見せてくれる。
 それがたまらなく嬉しくて、それを向けられるのが自分だけだと酔いしれて。
 けれど彼はハッキリしない。
 確かに付き合いの長さは短いし、私自身恋愛には疎い方だと自覚もある。
 けれど先程のかれの言葉のように、嫌われていないのは本当みたいだ。

(むしろ好かれてる……のよね? そうだと思ってもいいのよね?)

 彼の語り口はとても聞きやすく、自然と耳から頭へと入ってくる。
 優しさと力強さ。
 そこにほんの少しの暗さと重さ。
 けれどその暗さや重さは嫌なものではなく、今現在の彼を作り上げている重要な要素の1つなんだと実感できる。

(だけど、もどかしいわよね)

 彼の過去を聞くたびに、私はこう思ってしまう。
 「何でその場に私が居なかったんだろうか」と。
 私なら彼を見放した奴等のように、彼を受け入れないなどあり得ない。
 この目で見て、今現在習得しようと必死になっている彼の強さの本質は、とても高貴で、とても孤高で、とても気高く、とても難しい。
 「本当の天才とは、周囲に理解されないものだ」ということは、理解しているつもりだった。
 私自身、沢山の経験があるし、最終的には相手に伝わるレベルにまで落とし込めていた。

(けれど彼はそうじゃなかった)

 彼の力は異質すぎる。
 ハッキリ言って異常なのだ。
 それほどまでに、彼の持ってしまった力は強大だ。

(その気になったら多分、トッププロの大会に殴り込んで、力づくで黙らせることだってできたはず……)

 それほどにこの「気力」は強すぎる。
 国を預かる王族の一員としては、当時の運営が彼にした仕打ちは理解できる。
 理解できるが、納得はできないのだ。

(私が頑張れば……)

 もしこのまま修行を続けて、彼の扱う力の一部でも習得できたなら、彼の力は彼以外にも扱えるという証明になる。

(それに、私自身がもっともっと強くなれるっ)

 私はこれまで、どちらかというと体よりも頭で戦ってきた。
 自力で勝てない相手だとしても、自分で開発した武装具の力で上回ってきた。

(けれどいつまでもそれでは、私自身が停滞してしまう)

 天才とは孤独だ。
 「理解者がいない」だとか、「同レベルで話せない」だとか、様々な理由で孤独になる。
 それは必然であり仕方ないことだが、だからこそ私たちは「誰か」を求める。

(互いに本音で話せる相手。互いに気を使わないで話せる相手。そんな「自分と同じ者」を常に求めてる……)

 私は彼と初めて出会ったとき、予感がしたのだ。
 「彼とならそうなれるかもしれない」という予感が。
 そしてそれは正しかった。

(いいえ、違うわね……)

 今の私では足りない。
 彼と釣り合えていない。
 それは「気力」だけでなく、彼の本気に触れた時に感じた事実。

(でもそれは嫌ッ!!)

 私は絶対に追い付いて見せる。
 そして自信をもって彼の隣を歩くのだ。

(もっともっと頑張らなきゃッ!!)

 彼の妹の話を聞きながら、私は決意を新たにした。



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