欠陥魔力騎士の無限領域(インフィニティ)
一年実技授業初回③ | 二人の限無の実力②
欠陥魔力騎士7
一年実技授業初回③  二人の限無の実力②
「さてさて、一戦目が終わったわけだが……誰か次の立候補者はいないか?」
「はいっ」「はい」「はーいっ」「はいはいはいッ!!」「……はい」
一番目と言う、この学園での初戦を確認した他の人たちが、次々手をあげていく。
「先生……俺にやらせてもらえませんか?」
そんな中でも堂々と、ハッキリと通る声で僕ではない天通限無が手をあげる。
「天通弟か。いいだろう。彼の相手になろうという者はいるか?」
先生は彼の目に光る炎を見てから、彼を二戦目の一人に選ぶ。
「…………いない、か。先程までの威勢はどうしたんだ?」
誰一人手があがらなくとも無理もない。
前年度首席だったとしても、留年している僕に対し、彼は今年の首席だ。
全員同じ試験を受けてここにいるわけで、わざわざ首席という明らかに格上だとわかっている相手と戦おうと思うわけが……いや、一人だけいたようだ。
「先生、私がやりますッ!!」
そう言って手をあげたのは、大和さんだった。
何事にも物怖じせず、同じ満点で首席と言う女子のトップ。
先程僕と戦えなかった事もあり、彼女の目にも炎が宿っていた。
「いいだろう。これで二戦目が決まったな。それでは両者は前へ」
先生の合図で、二人が向かい合う。
新一年生のトップ同士の戦いに、自然と空気が緊張感を増す。
「双方、準備は良いか?」
「俺はいつでも大丈夫です」
「こちらも問題ありません」
二人は武器を展開して構え、開始の合図を待つ。
「では、カウントを開始する」
5、4、3、2、1………Let's GET yourself(レッツゲット……ユアセルフ)!!
「始めッ!!」
「ハァァァッ!!」
「ッ!?」
開始の合図と同時に、大和さんが仕掛ける。
展開していた武器は、いつの間にか剣から鎖で繋がれた双銃となっており、そのまま両手で連射する。
「うまいっ。ただの連射ではなく、両手のタイミングを上手くずらしているっ!」
二人の距離は残り3歩程だろうか? 天通君はタイミングをはかるのではなく、目で見て対応することで、あの対応しづらい銃撃を防いでいる。
「すごいね、大和さん。先手を取られたのは久しぶりだッ!!」
「ありがとうと言っておくわ。でも、まだまだこれから……よッ!!」
大和さんの姿が一瞬消え、天通君の後ろで現れる。
「ッ!?」
「確か、猫だまし……だったっけ? 有用そうだし、使わせてもらったわッ!!」
そう言って天通君の背後から仕掛ける大和さんは、その手に双銃ではなく刀を握っていた。
「ハァァァッ!!」
「ヤァァァッ!!」
大和さんが続いて光閃へと動き出したところで、先程の僕が使った防御と同じように天通君が剣を構える。
「ッ!!」
その構えを見た瞬間、大和さんの動きが変わる。
「確かこうだったわね……胴解ッ!!」
「ッッッ!?」
まさしく天才的としか言えない戦闘センスだ。
確かに光閃と胴解は同じような動きから始まる。
けれどその二つは似て非なるものであり、同じ構えに見せているだけで別物だ。
「すごいや……大和さん」
僕は久しぶりに、他人の試合で興奮を覚えていた。
「ハァァァッッッ!!」
「天通流三指……半絶ッ!!」
誰もがそこで決まると思ったその瞬間、天通君が牙を剥いた。
「なッッッ!?」
「ヤァァァッ!!」
完璧に見えた大和さんの胴解がいとも容易くガードされ、そのまま逆に押し返される。
よく見れば大和さんの刀の纏っていた魔力が打ち消されており、同時に天通君の剣が魔力を纏っている。
「なかなかやるわね……」
「あなたも……ね。正直驚いてるよ」
二人は向き合ったままじりじりと近づき、徐々に距離をつめていく。
「ッ!!」
やはり今回も、先に仕掛けたのは大和さんだった。
けれど今回は……。
「天通流一指……指旋突」
「ッッッ!?」
大和さんが動いた瞬間に天通君が動き、大和さんの出だしを止める。
「なかなかいいカンだね。けどそれは……悪手だ」
「なッッッ!?」
連続で放たれる天通流一指……指旋突。
剣の先端にエネルギーを集め、螺旋と化して超高速で打ち出す技だ。
「ヤッ、ヤッ、ヤァァァッ!!」
「ッ、ッ、ッッッ!?」
大和さんが何かに気づき、ガードから直前で回避に変える。
無理な体勢ながらも見事な回避で立ち回り、天通君の攻撃をしのぎきる。
「あんた……さっきので何かしたわねッ?」
そう問いかける大和さんの顔には、驚きと興奮が混ざっていた。
「ご明察。さっきあなたの攻撃を防いだときに使った技……三指半絶は、攻撃にも防御にも使える便利な技でね? 自らのエネルギーを武器同士の衝突時に相手へと浸透させて、しばらく相手のエネルギー操作を誤らせる技なんだ。……驚いたかい?」
確かに驚いた。
あのタイミングで半絶を完璧にカエシとして使った力量もそうだし、大和さんほどのコントロール力を持った相手のエネルギー操作を誤らせているという事実も。
「えぇ……驚いたわ。ここまで魔力を練れないのは、年端もいかない頃以来かしら? 素直に恐ろしく、素晴らしい技だと思うわ」
言葉だけ聞けば、大和さんの台詞は諦めにしかとれない。
しかしその台詞を吐く彼女の顔は、喜色満面としか言えないものだった。
「あんたの力を評価して、私の奥の手を1つ見せてあげるわ。カートリッジ……フルロードッ!!」
ガチャンガチャンガチャン
彼女の言葉と同時に、いつの間にか刀から銃剣……それも見たこともない形状のソレへと変わっていた武器が、リボルバーのような弾倉から音をたてて連続でなにかを打ち出す。
しかし銃のリボルバーとは違い、銃剣の先端からは何も発射されない。
しかし変化は目に見えた形で現れる。
「奥の手の1つ……カートリッジシステムよ。これはあらかじめ登録しておいた魔力を、弾倉から打ち出すように充填することで、本来は自らの出せる瞬間最大出力以上の出力を出すための装置ね。今回は意図しない使い方になったけどッ!!」
弾倉六つを全て使い、大和さんの剣には可視化するレベルで魔力……エネルギーが纏われている。
「行くわよ? しっかりと受けなさいッッッ!!」
十分に魔力が剣に馴染んだ事を確認した大和さんが、大上段に構える。
「集束せし……魔力光の剣ァァァァァッッッッ!!!!」
「ッッッ!? 天通流八指希刻泉ッ!! 続いて九指……夜魔打乃大蛇ッッッ!!」
天通流八指希刻泉により、自らのエネルギーを限界以上に強化。
続いて九指夜魔打乃大蛇によって九頭の大蛇をエネルギーで顕現させる。
更にその大蛇を1つに束ね、大和さんの魔力剣と同等のエネルギー剣として解き放つ。
「ッァァァァァッッッ!!」
「ッヤァァァァァッッッ!!」
互いが発したエネルギーが、うねりとなって衝突。
互いの全てをかけて、互いを喰い尽くし合う。
「ハァァァァァッッッ!!」
「ヤァァァァァッッッ!!」
二人のすべてがのせられた攻撃は、凄まじい影響を周りにまで及ぼし始める。
余波で授業用に軽量化されているフィールドが震え始め、衝撃がフィールド外にまで伝わり始める。
「お前らアホかッ!! なんちゅうレベルのエネルギーを衝突させやがるッッッ!! 試合は中止だッ!!」
そんな二人の激突は、唐突に終わりを告げる。
先生が危険と判断し、緊急システムを作動してフィールド内のすべてをリセットしたのだ。
「このバカモンがッ!! 授業でマジになるんじゃないッ!! そういうのは来月の新入生総当たりトーナメントまでとっておけッッッ!!」
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
「フゥッ、フゥッ、フゥッ……」
唐突な幕切れに暫く呆気にとられていた二人は、終わったという実感を得ると同時に、息を整えるために座り込む。
見学していた生徒全員も、呆けたように腰を落として座り込む。
「大変残念ではあるのだが、今日の授業はここまでだ。この二人のせいでシステムをチェックしなければならないからな。各自研鑽に励むように……解散ッ!!」
先生のその言葉に少しずつ現実感が戻ってきた僕たちは、立ち上がり各々の自主トレなどへと向かっていった。
一年実技授業初回③  二人の限無の実力②
「さてさて、一戦目が終わったわけだが……誰か次の立候補者はいないか?」
「はいっ」「はい」「はーいっ」「はいはいはいッ!!」「……はい」
一番目と言う、この学園での初戦を確認した他の人たちが、次々手をあげていく。
「先生……俺にやらせてもらえませんか?」
そんな中でも堂々と、ハッキリと通る声で僕ではない天通限無が手をあげる。
「天通弟か。いいだろう。彼の相手になろうという者はいるか?」
先生は彼の目に光る炎を見てから、彼を二戦目の一人に選ぶ。
「…………いない、か。先程までの威勢はどうしたんだ?」
誰一人手があがらなくとも無理もない。
前年度首席だったとしても、留年している僕に対し、彼は今年の首席だ。
全員同じ試験を受けてここにいるわけで、わざわざ首席という明らかに格上だとわかっている相手と戦おうと思うわけが……いや、一人だけいたようだ。
「先生、私がやりますッ!!」
そう言って手をあげたのは、大和さんだった。
何事にも物怖じせず、同じ満点で首席と言う女子のトップ。
先程僕と戦えなかった事もあり、彼女の目にも炎が宿っていた。
「いいだろう。これで二戦目が決まったな。それでは両者は前へ」
先生の合図で、二人が向かい合う。
新一年生のトップ同士の戦いに、自然と空気が緊張感を増す。
「双方、準備は良いか?」
「俺はいつでも大丈夫です」
「こちらも問題ありません」
二人は武器を展開して構え、開始の合図を待つ。
「では、カウントを開始する」
5、4、3、2、1………Let's GET yourself(レッツゲット……ユアセルフ)!!
「始めッ!!」
「ハァァァッ!!」
「ッ!?」
開始の合図と同時に、大和さんが仕掛ける。
展開していた武器は、いつの間にか剣から鎖で繋がれた双銃となっており、そのまま両手で連射する。
「うまいっ。ただの連射ではなく、両手のタイミングを上手くずらしているっ!」
二人の距離は残り3歩程だろうか? 天通君はタイミングをはかるのではなく、目で見て対応することで、あの対応しづらい銃撃を防いでいる。
「すごいね、大和さん。先手を取られたのは久しぶりだッ!!」
「ありがとうと言っておくわ。でも、まだまだこれから……よッ!!」
大和さんの姿が一瞬消え、天通君の後ろで現れる。
「ッ!?」
「確か、猫だまし……だったっけ? 有用そうだし、使わせてもらったわッ!!」
そう言って天通君の背後から仕掛ける大和さんは、その手に双銃ではなく刀を握っていた。
「ハァァァッ!!」
「ヤァァァッ!!」
大和さんが続いて光閃へと動き出したところで、先程の僕が使った防御と同じように天通君が剣を構える。
「ッ!!」
その構えを見た瞬間、大和さんの動きが変わる。
「確かこうだったわね……胴解ッ!!」
「ッッッ!?」
まさしく天才的としか言えない戦闘センスだ。
確かに光閃と胴解は同じような動きから始まる。
けれどその二つは似て非なるものであり、同じ構えに見せているだけで別物だ。
「すごいや……大和さん」
僕は久しぶりに、他人の試合で興奮を覚えていた。
「ハァァァッッッ!!」
「天通流三指……半絶ッ!!」
誰もがそこで決まると思ったその瞬間、天通君が牙を剥いた。
「なッッッ!?」
「ヤァァァッ!!」
完璧に見えた大和さんの胴解がいとも容易くガードされ、そのまま逆に押し返される。
よく見れば大和さんの刀の纏っていた魔力が打ち消されており、同時に天通君の剣が魔力を纏っている。
「なかなかやるわね……」
「あなたも……ね。正直驚いてるよ」
二人は向き合ったままじりじりと近づき、徐々に距離をつめていく。
「ッ!!」
やはり今回も、先に仕掛けたのは大和さんだった。
けれど今回は……。
「天通流一指……指旋突」
「ッッッ!?」
大和さんが動いた瞬間に天通君が動き、大和さんの出だしを止める。
「なかなかいいカンだね。けどそれは……悪手だ」
「なッッッ!?」
連続で放たれる天通流一指……指旋突。
剣の先端にエネルギーを集め、螺旋と化して超高速で打ち出す技だ。
「ヤッ、ヤッ、ヤァァァッ!!」
「ッ、ッ、ッッッ!?」
大和さんが何かに気づき、ガードから直前で回避に変える。
無理な体勢ながらも見事な回避で立ち回り、天通君の攻撃をしのぎきる。
「あんた……さっきので何かしたわねッ?」
そう問いかける大和さんの顔には、驚きと興奮が混ざっていた。
「ご明察。さっきあなたの攻撃を防いだときに使った技……三指半絶は、攻撃にも防御にも使える便利な技でね? 自らのエネルギーを武器同士の衝突時に相手へと浸透させて、しばらく相手のエネルギー操作を誤らせる技なんだ。……驚いたかい?」
確かに驚いた。
あのタイミングで半絶を完璧にカエシとして使った力量もそうだし、大和さんほどのコントロール力を持った相手のエネルギー操作を誤らせているという事実も。
「えぇ……驚いたわ。ここまで魔力を練れないのは、年端もいかない頃以来かしら? 素直に恐ろしく、素晴らしい技だと思うわ」
言葉だけ聞けば、大和さんの台詞は諦めにしかとれない。
しかしその台詞を吐く彼女の顔は、喜色満面としか言えないものだった。
「あんたの力を評価して、私の奥の手を1つ見せてあげるわ。カートリッジ……フルロードッ!!」
ガチャンガチャンガチャン
彼女の言葉と同時に、いつの間にか刀から銃剣……それも見たこともない形状のソレへと変わっていた武器が、リボルバーのような弾倉から音をたてて連続でなにかを打ち出す。
しかし銃のリボルバーとは違い、銃剣の先端からは何も発射されない。
しかし変化は目に見えた形で現れる。
「奥の手の1つ……カートリッジシステムよ。これはあらかじめ登録しておいた魔力を、弾倉から打ち出すように充填することで、本来は自らの出せる瞬間最大出力以上の出力を出すための装置ね。今回は意図しない使い方になったけどッ!!」
弾倉六つを全て使い、大和さんの剣には可視化するレベルで魔力……エネルギーが纏われている。
「行くわよ? しっかりと受けなさいッッッ!!」
十分に魔力が剣に馴染んだ事を確認した大和さんが、大上段に構える。
「集束せし……魔力光の剣ァァァァァッッッッ!!!!」
「ッッッ!? 天通流八指希刻泉ッ!! 続いて九指……夜魔打乃大蛇ッッッ!!」
天通流八指希刻泉により、自らのエネルギーを限界以上に強化。
続いて九指夜魔打乃大蛇によって九頭の大蛇をエネルギーで顕現させる。
更にその大蛇を1つに束ね、大和さんの魔力剣と同等のエネルギー剣として解き放つ。
「ッァァァァァッッッ!!」
「ッヤァァァァァッッッ!!」
互いが発したエネルギーが、うねりとなって衝突。
互いの全てをかけて、互いを喰い尽くし合う。
「ハァァァァァッッッ!!」
「ヤァァァァァッッッ!!」
二人のすべてがのせられた攻撃は、凄まじい影響を周りにまで及ぼし始める。
余波で授業用に軽量化されているフィールドが震え始め、衝撃がフィールド外にまで伝わり始める。
「お前らアホかッ!! なんちゅうレベルのエネルギーを衝突させやがるッッッ!! 試合は中止だッ!!」
そんな二人の激突は、唐突に終わりを告げる。
先生が危険と判断し、緊急システムを作動してフィールド内のすべてをリセットしたのだ。
「このバカモンがッ!! 授業でマジになるんじゃないッ!! そういうのは来月の新入生総当たりトーナメントまでとっておけッッッ!!」
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
「フゥッ、フゥッ、フゥッ……」
唐突な幕切れに暫く呆気にとられていた二人は、終わったという実感を得ると同時に、息を整えるために座り込む。
見学していた生徒全員も、呆けたように腰を落として座り込む。
「大変残念ではあるのだが、今日の授業はここまでだ。この二人のせいでシステムをチェックしなければならないからな。各自研鑽に励むように……解散ッ!!」
先生のその言葉に少しずつ現実感が戻ってきた僕たちは、立ち上がり各々の自主トレなどへと向かっていった。
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